コラム - 大阪の医学部予備校

HOME コラム一覧 基礎知識 地方医学部のメリットやデメリットをご紹介!都市医学部との違いも解説

地方医学部のメリットやデメリットをご紹介!都市医学部との違いも解説

  • 公開日
  • 更新日

カテゴリ:基礎知識

医学部進学を考える受験生にとって、地方医学部と都市医学部のどちらに進学するのかは非常に重要な決断です。
この記事では医学部受験を控えている方に向けて、地方の医学部に進学するメリットとデメリットを詳しく紹介します。
また、地方医学部と都市医学部の違いや、自分に合った地方医学部の選び方、地方医学部を受験するうえで効果的な勉強法などもあわせて紹介します。
医学部選びに悩んでいる受験生は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。

地方医学部の3つのメリット


地方医学部への進学には、都市部の医学部とは異なる独自のメリットがあります。
主なメリットは次の3つです。

・地域枠を利用できる
・都会にはないカリキュラムを受けられる
・費用が抑えられる

それぞれのメリットを理解しておくと、自分に合った医学部を選びやすくなります。

地域枠を利用できる

地方医学部の大きなメリットのひとつは、地域枠入試を受験できる点です。
地域枠入試は地方の出身者や、地方医療機関への就職を希望する学生に向けた制度で、経済的なメリットが大きいのが特徴です。
医学部に通ううえで、授業料の負担は避けて通れません。
たとえ国公立大学であっても、6年間にわたる学費は高額で、卒業後の奨学金返済が負担となる可能性があります。
地域枠で医学部に入学した場合、一定の条件をクリアすれば地域枠限定の奨学金が利用できます。
地域や大学によっては、卒業後に地域の医療機関で一定期間勤務すれば、奨学金の返済義務が免除されるケースもあります。
たとえば大阪府は「大阪府地域医療確保修学資金」という制度を設けており、地域枠の医学部生を対象に奨学金を貸与しています。
経済的な理由で医学部への進学を迷っている学生にとって、このような制度は非常に便利です。
また、地方には地域に根差した教育を行っている医学部が多いため、地域医療に興味がある学生にとっては実践的な学びの場となり得ます。
将来的に地方の医療機関に就職することに抵抗がなければ、地域枠を利用した地方医学部の受験は魅力的な選択肢です。

都会にはないカリキュラムを受けられる

地方医学部は地域密着型の医療教育を重視しており、地域医療に特化したプログラムを提供しているのが特徴です。
学生は地域社会の実情に応じて、より実践的な医療の知識と技術を身につけられます。
また、地方医学部では小規模なクラスでの授業が多く、個別指導に近い形式で医療を学べます。
学生一人ひとりの理解度に合わせて、きめ細やかな教育を受けられるため、習熟度に不安がある学生にとって魅力的です。
さらに地方医学部には、地域の医療現場で実習やプロジェクトに取り組む機会もあります。
地域の医療現場を深く理解し、実践的なスキルを習得できるため、将来的に地域医療に貢献したい学生にとっては非常に有益です。

費用が抑えられる

一般的に地方医学部では、都市部の医学部に比べて生活費が安く抑えられます。
とくに住居費に関しては、地方の方が都心部に比べて家賃が安い傾向にあります。
学生にとって大きな経済的負担である住居費を節約できるため、進学費用が気になる方におすすめです。
さらに地方都市では、食費や交通費などの日常生活にかかる費用も都市部に比べて低いため、全体的な生活費も安くなります。
経済的なメリットは、医学部生活を送る上で大きな支えとなり、学業に専念する環境を整えやすくなります。

地方医学部の3つのデメリット


地方医学部への進学には多くのメリットがある一方で、次のようなデメリットも存在します。

・キャリアの選択肢が減る恐れがある
・都会に比べて充実度が劣る
・他大学の医学部と交流できない

地方医学部への入学を考える際は、メリットとデメリットの両方を正しく理解したうえで進路を選択することが重要です。

キャリアの選択肢が減る恐れがある

地方医学部は地域医療に特化した教育機関です。
したがって、都市部の医学部に比べて、特定の医療分野や研究分野へのアクセスが限定される可能性があります。
また、地方医学部を卒業した学生の大半は地域の医療機関に就職します。
そのため、大都市の大学病院や研究機関への就職、およびキャリアアップが困難になるかもしれません。
さらに地方医学部は都市部の医学部と比べて、卒業後に医療業界内で人脈を作るのが難しくなる場合があります。
ただし、地方医学部の卒業後も、積極的に情報を収集してネットワークを広げれば、キャリアの選択肢を広げることも十分に可能です。

都会に比べて充実度が劣る

地方医学部によっては、最新の医療機器や研究設備が整えられていない場合があります。
また、人が集まりやすい大都市と比べて、地方医学部では医療関連のイベントやセミナーの開催数が少ないことも否めません。
学生が最新の医療知識や技術に触れられる機会が限られると、必然的に学びの幅も狭まるおそれがあります。
さらに地方医学部は、都市部の医学部に比べて医療関連の企業や研究機関との連携が少ない場合もあります。
より実践的な知識や経験を習得し、将来の研究やキャリア形成に活用するためにも、外部企業や研究機関とのコネクションは医学部にとって欠かせません。
医学部を選ぶ際は、多様な学びの機会が提供されているかどうかを注意深くチェックしましょう。

他大学の医学部と交流できない

地方医学部は地理的な制約から、ほかの大学や研究機関との物理的な距離が遠くなります。
他大学との共同研究や学術交流の機会が限られるため、学生が多様な視点や新しい知識を身につけにくい点がデメリットです。
他大学に通う医学生との交流には、医学関連のイベントやカンファレンスなどが挙げられます。
これらのイベントは、学生が医療業界の最新動向や研究成果に触れる貴重な機会で、医療分野で幅広い視野を持つうえで不可欠です。
進学先の地方医学部で他大学と交流する機会が少ない場合、学生のキャリア形成や専門知識の深化にネガティブな影響をもたらすかもしれません。

地方医学部と都市医学部の違い


地方医学部と都市医学部の違いは、次の3つのポイントに分けると理解しやすくなります。

・偏差値
・学費
・将来的な就職のしやすさ

上記の3つは、医学部受験を控えた学生にとって重要な選択基準です。
それぞれの違いについて詳しく解説します。

偏差値

地方医学部と都市医学部の偏差値には顕著な差が確認できます。
一般的に、都市部の医学部は国公立・私立問わず、偏差値が高い傾向にあります。
たとえば、東京大学理Ⅲの偏差値は77、京都大学医学部は76、大阪大学は76です。
ほかにも、国内トップクラスの難関大学には、偏差値60台後半から70台後半の医学部が多く見られます。
一方、偏差値70を超える大学はほとんど地方には存在せず、基本的に偏差値が60台前半の大学が多いです。
たとえば、島根大学医学部の偏差値は68、鳥取大学医学部も68、大分大学医学部も68、新潟大学医学部は69、福島県立医科大学は67です。
医学部選びにおいて、偏差値の差は重要な要素のひとつであり、受験生の進路選択に大きな影響を与えます。
都市部の医学部に比べて偏差値が低い地方医学部は、比較的入学しやすいという特徴があります。

学費

地方医学部と都市医学部の間で、学費に大きな違いは見られません。
国公立大学の学費は一律であり、地域による差はありません。
私立大学においては、大学によって学費に差が生じます。
ただし、学費の差は地域の違いによるものではなく、各大学の規定に基づくものです。
したがって「〇〇地方の医学部はほかの地方の医学部に比べて学費が安い」といった傾向はありません。
一方、学生が一人暮らしをする場合、都心部と地方のどちらに住むのかによって生活費に大きな差が生じます。
交通機関の利便性が低い地方の場合、下宿はもちろん、人によっては車の購入も必要になるかもしれません。
学費自体には大きな違いはないものの、生活費に関しては地方と都市で差が出ることを理解しておきましょう。

就職のしやすさ

一般的に、都市部の医学部は大学のブランド力や、就職先となる病院の選択肢の豊富さから、就職活動を有利に進められます。
とくに東京や大阪などの大都市に位置する医学部は、多くの大学病院や研究機関と連携しているため、学生は多様なキャリアパスを選択可能です。
一方で地方医学部の場合、就職先が限定される傾向があります。
とくに地域推薦枠を利用した学生の場合は、卒業後に特定の地域での医療業務に従事することが条件です。
ただし地方医学部の卒業生は、地域医療において重要な役割を果たすことが期待されており、地域社会における需要が高いことも事実です。
地方医学部がある地域では、地元での就職には有利な面もあります。

地方医学部でも都会の病院へ就職可能


地方医学部を卒業しても、首都圏の病院への就職は十分に可能です。
平成16年には卒後臨床研修が必修化され、研修先を自由に選べるようになりました。
したがって、地方医学部の卒業生でも、首都圏の病院を研修先として選べます。
もちろん、首都圏の病院を希望する研修医は多いため、必然的に競争率は高くなります。
しかしながら、実力と意欲があれば首都圏で働くことは可能です。
さらに近年、首都圏の医療機関では医師不足が深刻化しています。
医療従事者への需要を考慮すると、今後はより都心部の病院へ就職しやすくなると推測できます。
ただし、地方医学部卒業生が都心部の医療機関へ就職する場合は、出身大学の人脈を利用できません。
後期研修先を探す際に苦労する地方医学生は少なくないため、相応の覚悟が必要です。

自分に合った地方医学部を選ぶ際の注意点


次の5つのポイントを注意深く比較すると、自分に合った地方医学部を選びやすくなります。

・校内の雰囲気が合っているかを確かめる
・試験内容を把握しておく
・試験にかかる全般的な費用を確認する
・自分のキャリアと照らし合わせる
・定員数や競争率を確かめる

それぞれのポイントを詳しく紹介します。

校内の雰囲気が合っているかを確かめる

自分が快適に学べる環境かどうかを見極めるためには、オープンキャンパスや学校見学を活用することがおすすめです。
実際にキャンパスを訪れ、学生や教員の雰囲気を直接感じることで、その大学が自分に合っているかを判断できます。
また、大学のウェブサイトやパンフレットだけでなく、在校生や卒業生の声を聞くことも大切です。
彼らの体験談からは、学校の実際の雰囲気や学生生活の様子が伺えます。
さらに、医学部予備校や進学相談会などで大学の特色やカリキュラムを調べ、自分の将来のキャリアプランに合った学校を選ぶことも重要です。

試験内容を把握しておく

国公立大学と私立大学では、試験科目や出題形式に違いがあります。
自分の得意分野や学習スタイルに合った大学を選ぶことが、医学部入試を成功させる鍵です。
たとえば、国公立大学の医学部入試では、共通テストと二次試験の両方をクリアしなければなりません。
とくに二次試験では学科試験だけでなく、面接試験も実施されるケースが主流です。
一方、私立大学は試験内容にくわえ、入試日程や受験料まで大学によってさまざまです。
入試の難易度も学校ごとに千差万別であるため、過去問を入念に比較検討する必要があります。
地方医学部を選ぶ際は、自分が受験する大学の試験内容を詳細に調べたうえで、自分に合った学習計画を立てましょう。

試験にかかる全般的な費用を確認する

医学部受験では受験料だけでなく、交通費や宿泊費、教材費など、さまざまな費用が必要です。
とくに地方医学部を受験する場合、遠方からの受験となるケースが多く、交通費や宿泊費の負担が大きくなります。
受験する大学の数によっても費用は大きく変わるため、どの大学を受験するかを慎重に選ぶ必要があります。
さらに、医学部受験に際して予備校や塾を利用する場合は、学習支援サービスにかかる費用も考慮しなければなりません。
地方医学部を選ぶ際は、受験に必要な費用を総合的に把握し、家計に無理のない範囲で計画を立てることが大切です。
また、地方枠を利用した奨学金制度や学費免除制度など、経済的なサポートを受けられる方法もあわせて調べておきましょう。

自分のキャリアと照らし合わせる

医学部を受験する場合は、卒業後どのような医師になりたいか、どの分野で活躍したいかを考え、ビジョンに合った大学を選びましょう。
たとえば研究医を目指す場合は、研究設備が充実している大学や、研究活動に力を入れている大学がおすすめです。
地域医療に貢献したいなら、地方医学部の中でも地域医療に特化したプログラムを提供している大学が適しています。
将来的に開業医として独立したいなら、臨床経験を積む機会が多い大学や、開業医に関するカリキュラムを提供している大学が最適です。
自分のキャリアプランに合わせて大学を選ぶことで、将来の目標に向かって有意義な医学部生活を過ごせます。

定員数や競争率を確かめる

医学部の定員数は大学によって異なります。
定員が多い大学では受験生の受け入れ枠が広いため、合格の可能性が高くなります。
地域枠を設けている地方医学部の場合、枠を利用することで合格率を高めることも可能です。
ただし、地域枠を利用する場合は、卒業後の地域医療への貢献など特定の条件が課せられます。
したがって、自分の将来のキャリアプランと照らし合わせて、地域枠を利用するべきかを検討する必要があります。

地方医学部に合格するための勉強法


地方医学部に合格するためには、次の3点を意識した勉強が効果的です。

・不合格になる要因を把握しておく
・共通テストの対策を急ぐ
・医学部に特化した塾に通う

それぞれのポイントを押さえて、より効率的に受験勉強を進めましょう。

不合格になる要因を把握しておく

医学部は全学部のなかで最も偏差値が高い学部です。
周りのライバルが優秀であるがゆえに、受験生は「基本的な問題に正解できたところで、周りに差をつけられない」と思い込み、重箱の隅を突くような特殊な問題の対策に躍起になってしまいがちです。
しかし実際の医学部受験では、一部の難問を解く能力よりも、基礎知識の習得と応用が重要視されます。
基本的な公式や定理を正しく理解し、正しく使いこなせれば、テストに合格できるように設計されているのです。
医学部受験の参考書を選ぶ際は、ニッチな問題ばかりが載っている教材ではなく、基本知識を着実に身につけられる教材を選びましょう。

共通テストの対策を急ぐ

共通テストは医学部受験の第一関門であり、高い得点を獲得することが合格への大きなステップです。
とくに医学部受験では理科と数学の得点が重要視されるため、理数系科目に重点を置いた対策が欠かせません。
同時に、英語や国語などの科目もバランスよく対策し、全体的な得点を高めることが求められます。
共通テストの対策には、過去問の徹底的な分析と解答練習が効果的です。
また、時間管理や試験の進行に慣れるために、模擬試験を積極的に受けることも大切です。
基礎から応用まで幅広い知識を習得し、問題解決能力を高めましょう。

医学部に特化した塾に通う

地方医学部に合格するためには、医学部に特化した専門塾に通うことも有効です。
医学部専門塾では、医学部受験に特化したカリキュラムや指導法が実践されており、基礎知識の徹底的な習得から応用問題、面接まで幅広く対策できます。
また医学部専門塾には、医学部の受験はもちろん、過去に数多くの学生を医学部に合格させた実績がある講師が在籍しています。
経験豊富な講師は、受験生の弱点を的確に把握したうえで、個別に合わせた指導が可能です。
さらに、医学部専門塾なら同じ目標を持つ受験生と切磋琢磨できるため、モチベーションも維持しやすくなります。
自分の学習スタイルや、目指す医学部に合った塾を選べば、より有利に受験勉強を進められます。
地方医学部のメリットやデメリットを解説しましたが、そもそもなぜ医学部は人気があるのでしょうか。
こちらでは医学部が注目されている理由を解説しますので、合わせてご覧ください。

まとめ


この記事では、地方医学部のメリットやデメリット、都市医学部との違い、など地方医学部に合格するための勉強法について詳しく解説しました。
本サイトでは、医学部合格を目指す受験生に向けて、医学部予備校の学費や選び方についてまとめています。
さらに、大阪エリアでおすすめの医学部予備校13選をピックアップして、予備校ごとの授業コースや合格実績、学費、教室や寮などの施設に関する情報も紹介しています。
詳細ページから各予備校の公式サイトに飛べば、最新情報のチェックはもちろん資料請求も可能です。
医学部受験を成功させたい方は、ぜひ本サイトを活用してみてください。

この記事の執筆者:医進の会代表 谷本秀樹

医進の会代表 谷本秀樹
中学入試の希学園の集団授業で600名以上の多くの生徒を受験指導。
大学入試は四谷学院などの大手予備校や多くの医学部受験予備校で、主に生物の集団授業と個別授業で300人以上の受験生を担当。
自身の予備校『医進の会』発足後は、これまで500人以上の生徒の受験と進路指導に携わってきた。
圧倒的な医学部入試情報量と経験値、最適なアドバイスで数多くの受験生を医学部合格に導いてきた、医学部予備校界屈指のカリスマ塾長。

記事一覧はこちら