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【中学生・高校生必見】医者になるのに必要な時間や年数を解説

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カテゴリ:基礎知識

医者になるには、6年制である医学部入学をはじめ、長い時間と高額のお金が必要になります。
本記事では、医者を目指すにあたってかかる年数や費用、そして医者に向いている人の特徴などについてご紹介します。
日本で目指せる職業のなかで、トップクラスの難易度を誇るのが医者です。
人の命を預かる職業であるために、医者になるためには長い時間をかけて、さまざまな試験を突破する必要があります。
また、医者を目指す学生の数も多く、競争率も非常に高いです。
今回は、医者を目指している中学生や高校生向けに、医者になるまでの流れ、そしてその間に必要な年数や費用についてご紹介します。
医者を目指すにあたって、必要な勉強量や取り組むべきことについても一緒に取り上げるので、ぜひ最後までご覧ください。

医者になるために必要な年数と流れ


それでは、早速医者になるために必要な年数と流れについてご紹介します。
医者になるためにはどのような試験をクリアしなければならないのか、順番にみていきましょう。

医学部に入学する

まず大前提として、医者になるためには医学部へ入学し、学位を取得したのちに、後述の医師免許を獲得しなければなりません。
医学部はその名のとおり、大学において、医学に関する教育や研究を行っている学部であり、基礎医学、臨床医学、そして社会医学について学びます。
大学によってカリキュラムの細かい内容や流れは異なりますが、1年生の間は一般教養を勉強しながら医師としての倫理観や心構えを身につけ、2年生以降からは本格的に専門科目の実験や解剖などの実習が増えるようです。
そのほかの特徴として、通常の大学の学部が4年制であるのに対して、医学部は6年制である点が挙げられます。
これは、医学には幅広い知識と確実性が求められ、長期間かけて学ぶ必要があるからです。

入学方法

医学部へ進学するためには、各大学の医学部の試験を突破する必要があります。
医学部を置いている大学は、国立大学42校、公立大学8校、そして私立大学31校の計81校です。
国公立大学の医学部と私立大学の医学部では、試験の流れが異なります。
国公立大学の医学部を受験する場合、1次試験として、毎年1月に全国で実施される大学入学共通テストを受けなければなりません。
入学を希望する大学が設定した、足切りラインと呼ばれるボーダーを1次試験で突破した人たちだけが2次試験へ進み、2次試験も突破すると、晴れて医学部合格となります。
私立大学の場合、国公立と異なり、個別試験のみを実施している大学が多いです。
筆記試験の内容も違いがあり、国公立大学の医学部が文系科目から理系科目まで幅広く対応しなければならないのに対し、私立は英語と数学、理科(2科目)を必須としている学校がほとんどです。

難易度

2023年度入試の国公立大学における医学部受験倍率の平均は、前期が4.4倍、後期が21.0倍でした。
倍率からもわかるとおり、医学部の人気は非常に高いです。
とくに昨今は、日本の大学の最高峰である東京大学に入るより、国公立の医学部に入る方が難しいともいわれています。
日本の医学部の最難関である、東京大学の理科3類を例に挙げると、1次試験の足切りラインは2021年度まで90%以上でした。
センター試験から共通テストへ移行した2022年度は、89%まで低下していますが、受験生全体の点数が下がった影響のため、実際の難易度は変わっていません。
私立大学の最難関は、名門慶應義塾大学の医学部です。
2023年度の倍率は7.3倍で、2022年度の6.6倍よりも高くなっています。
このように、医学部は国公立、私立を問わず、倍率も試験の難易度も非常に高いのが一般的です。

費用の目安

医学部といえば、ほかの学部と比較しても、特に私立大学医学部では学費が非常に高いことで有名です。
学費が高い理由としては、実験や教育設備に高額なものが多い、学費が高くても受験生が殺到する、などが挙げられます。
国公立大学の医学部の場合、入学金として282,000円、年間の学費が535,800円かかり、6年間通うと、学費だけでおよそ350万円前後払わなくてはなりません。
国立大学の千葉大学や東京医科歯科大学は、授業料の値上げにともない、学費を414万円まで値上げしています。
私立大学の医学部は、国公立の医学部の5倍以上の学費が必要です。
私立大学のなかで、最も学費が高い川崎医科大学の場合、6年間で47,365,000円かかります。

医師免許を取得する

医学部に入学し、6年間の在学期間中に所定の単位をすべて取得して卒業見込み、または卒業すると、医師国家試験受験資格を得られます。
医師国家試験とは、その名のとおり医師免許を獲得するための国家試験です。
試験の日程は2日間で、問題は疾患ごとの知識を問う各論、研修医になるための最低限の知識を問う必修、そして疾患を跨いで横断的に問う総論の3つに分類されます。
問題数は1日200問で、2日間で合計400問です。

合格率

医師国家試験の合格率は高く、例年90%前後を推移しています。
2023年度の医師国家試験の合格率は、91.6%でした。
医師国家試験の興味深い点は、合格率の高い大学のトップ3に日本の医学部最難関の東大理3が入っていない点です。
2023年度の医師国家試験合格率の1位は順天堂大学、2位は自治医科大学、3位国際医療福祉大学でした。
これは、私立大学の方が医師国家試験の対策が充実していることと、大学の入試は学力が求められているのに対し、医師国家試験は医学に関する深い知識や暗記力が試されているためです。
そのため、医学部を受験する際は、医師国家試験の合格率も重視するのをおすすめします。

年齢制限の有無

医学部への入学、そして医師国家試験の受験資格に、年齢制限はありません。
10代や20代に限らず、30代以上の受験生も多数存在しており、熊本大学医学部を卒業した66歳の男性が、2003年に医師国家試験に合格したデータも残っています。
ただし、年齢を重ねると記憶力が落ちるだけでなく、体力的にも衰えてくるのが一般的です。
乗り越える壁は多いですが、医者になりたいという強い気持ちを持ち続け、努力を重ねて乗り越えている人は数多くいます。

診療科目の研修を受ける

医師免許を取得し、厚生労働省の医籍登録まで完了したあとは、研修医として全国各地の医療機関で研修を行います。
研修は初期研修と後期研修に分類され、研修期間は合わせて5年です。
初期研修では、2年間かけて複数の科を回り、経験を積みます。
診療の知識や技術だけでなく、患者やスタッフとの円滑な意思疎通を行うためのコミュニケーション能力習得も、初期研修において重要なテーマです。
初期研修が終了し後期研修に入ると、専攻医として専門領域について、より深く学ぶことになります。
任される仕事の量や責任も、初期研修とは比べものになりません。
研修期間が終了すると、研修した施設や関連施設に医師として就職する、大学の医学部で研究に専念するなど、それぞれ希望の進路へ進み、医者としての一歩を踏み出します。

医師に向いている人の特徴


医者は年齢、性別問わず誰でも目指せる職業ですが、向き不向きは存在します。
どのような性格、特徴の人が医者に向いているのでしょうか。

他人に対して思いやりがある

他人に対して思いやりの気持ちを持っている人は、医者に向いています。
なぜなら、思いやりは、患者の心を開く効果があるからです。
患者の病気を治すにあたって、医者の知識や技術が重要なのはいうまでもありません。
しかし、一番大切なのは、患者本人の病気を治したいという気持ちです。
病院に訪れる患者は、多かれ少なかれ、自身の病気に対して不安を抱えています。
とくに難しい病気を抱えている患者は、治療そのものに後ろ向きな気持ちを抱えているケースも珍しくありません。
そんなとき、言葉や眼差し、態度に配慮しながら患者に接すれば、患者が抱えている不安を取り除き、なんでも話せる信頼関係を築けます。
その結果、医者による一方的な診察や治療にならず、患者に寄り添った医療の提供が可能になるでしょう。

コミュニケーション能力がある

病院にやってくる患者すべてが、自身の病気の症状や日常生活について、正確に説明できるわけではありません。
なかには、医者に言いたいことを引き出して欲しい、察して欲しいと思っている人もいます。
そのため、医者には患者の言葉を引き出し、言いたいことを丁寧に噛み砕いて、会話のキャッチボールができるコミュニケーション能力が必須です。
患者とコミュニケーションが取れれば、治療を円滑に進められます。
また、コミュニケーション能力は患者と接するときだけではなく、現場にいるほかの医者や看護師、病院のスタッフたちと良好な関係を築くためにも大切です。
医療は、医者ひとりで行えるものではありません。
周囲の人の協力を得られれば、患者に対して、よりよい医療を提供できます。

誠実さや粘り強さがある

誠実さや粘り強さも、医者を目指す人にとって重要な要素です。
患者が治療に対して前向きに取り組むためには、本人の病気を治したいという気持ちだけでなく、周囲の協力も必要になります。
そのため、患者の病気を治す立場である医者が、患者の回復を一番に考え、行動する誠実さを持つことが重要です。
また、病気の種類や病状によっては、治療を始めてもすぐに効果が出ない場合もあります。
長丁場になればなるほど、患者は完治を諦め、治療に対してもネガティブになるでしょう。
しかし、ここで医者が諦めてしまうと、本当に患者の病気は治りません。
医者を目指すのであれば、可能性があるかぎり最善を尽くし、患者を慰め、勇気づける粘り強さを持ちましょう。

体力や向上心がある

医者は体力勝負の仕事です。
週あたりの労働時間が60時間以上のケースや、当直明けの日勤で丸一日睡眠が取れないケースも珍しくありません。

昨今の働き方改革で、医者の労働環境も改善傾向にありますが、人手の足りない部署などは、依然として長時間勤務が当然になっています。
そのため、医療に関する知識や技術だけでなく、体力をつけることも必要です。
また、医療技術は常に進化しています。
新しい知識を探求し、学び続ける姿勢を持てるかどうかが、仕事を続けるうえで非常に重要です。
積極的に学会に参加し、海外の論文も読み込むなど、向上心がある人に向いている仕事といえます。

医者になるために必要な勉強量


医者になるために必ず入らなければならない医学部は、日本国内屈指の難易度を誇ります。
そのため、並大抵の努力では医学部に合格することはできません。
では、どのような勉強をすれば医学部へ進学できるのでしょうか。
中学生の場合と高校生の場合に分けて説明します。

中学生から勉強を始める場合

中学生から医者を目指す場合、クラスの成績上位層をキープするのが必須です。
成績上位層の平日の平均勉強時間である、2時間から3時間を目標にしつつ、休日や学力が足りていない場合は、さらに勉強時間を費やしましょう。
中学生の間に必要なのは、基礎固めと勉強の習慣化です。
中学校で学ぶ英語と数学の知識は、医学部受験時に必要な基礎学力に直結するものが多いため、苦手分野があれば、中学生の間になくしておきましょう。
医学部の受験をするにあたって、英語や数学など、幅広い範囲を勉強する必要があるため、多くの時間が必要です。
そんなとき、勉強の習慣が身についていれば精神的な負荷も減り、ほかの受験生よりも早く知識を習得可能です。

高校生から勉強を始める場合

医学部は、高校生から勉強を始めても十分合格できます。
ただし、勉強を始める時期は早いに越したことはありません。
できるだけ高校1年生、遅くとも高校2年生の冬から、医学部受験を見据えた勉強を始めましょう。
高校から医学部を目指すにあたって、いくつか勉強で注意すべき点がありますが、とくに苦手分野を作らないことを意識してください。
医学部の1次試験である共通テストは、最低でも85%以上は得点しなければ、2次試験へ進む前に足切りにあってしまいます。
苦手分野があると、受験のとき致命的な弱点になるだけでなく、勉強の効率も著しく落ちてしまうため、どの教科も基礎からマスターできるようにしましょう。
どうしてもわからない分野がある場合は、学校の各教科の担当教員に質問するか、予備校で行われている夏期講習や冬期講習に参加するのもひとつの手です。

医者を目指すなら取り組むべきこと


医者を目指すにあたって、事前に取り組んでおくべきことをご紹介します。
本気で医学部を目指す場合は、以下のポイントについて、できるだけ早く実行するようにしましょう。

医学部予備校に通う

医学部に合格するにあたって、自力での勉強だけで合格するのは至難の業です。
そのため、医学部受験に特化した予備校に通うのをおすすめします。
医学部専門予備校は、医学部の受験専用のカリキュラムが用意されており、指導する講師も医学部受験に関する豊富な知識と経験を有した専門家ばかりです。
個別指導や少人数生を採用している場合は、生徒一人ひとりに合わせた指導を受けられます。
また、受験において、ライバルの存在は重要です。
医学部予備校に通うと、自分以外の医学部受験者に出会う機会が増えるため、勉強に対するモチベーションの向上効果も期待できるでしょう。

家庭でも自習学習する

医学部の受験勉強の範囲は、非常に広いです。
本気で医学部を目指す場合、学校や予備校の授業を受けるだけでは、十分な勉強時間を確保できません。
そのため、自宅でも自習学習を行う姿勢が重要になります。
日常的に机に向かって勉強するなど、普段から自習学習を習慣化するようにしましょう。
また、勉強において重要なのは質と量、どちらなのかよく議論になりますが、どちらがかけても医学部には合格できません。
そもそも量をこなさなければ、質のよい勉強方法はわからないため、まずは勉強時間を確保し、そのなかで自分に合った効率的な勉強方法を見つけるのがベストです。

生活リズムを整えて体調管理を行う

医学部に十分合格できる学力を身につけることに成功しても、受験当日に体調を崩して、実力を発揮できなければ意味がありません。
そのため、受験まで生活リズムを整え、体調管理を徹底する必要があります。
とくに重要なのは睡眠時間です。
受験生の多くは睡眠時間を削って、勉強時間を少しでも多く確保しようとしますが、睡眠時間が不十分な状態で勉強しても効率はよくなりません。
十分な睡眠時間を確保して、脳を常にフレッシュな状態に維持できるようにしましょう。
また、運動の習慣も体調管理に役立ちます。
軽いウォーキングなどで血行が促進されると、脳も活性化し、勉強の効率、モチベーションの向上効果が期待できるでしょう。

費用の捻出方法を検討する

晴れて医学部に合格できても、学費が工面できなければ、大学に通い続けられません。
そのため、医学部に入学する前に、どのようにして費用を捻出するか考えておきましょう。
一般的な費用の捻出方法として、奨学金制度の利用が挙げられます。
奨学金には貸与型と給付型の2種類があり、前者は大学卒業後に返済義務が発生しますが、後者は返済義務が発生しません。
また、奨学金だけでなく、教育ローンを利用する方法もあります。
利用目的や申し込みの時期の自由度が高く、返済義務が発生するのは親なので、子供に学費の負担をかけずに済むのがメリットです。
ただし、金利が奨学金に比べて高く、審査に落ちる可能性があることも考慮しておきましょう。

まとめ


医者になるために必要な年数や費用、医者に向いている人の特徴などについて取り上げてきました。
医者になるためには、膨大な時間とお金が必要です。
なかには10回以上医学部に受験し、不合格となってしまう人もいます。
しかし、医者は、それだけの時間とお金をかけて目指す価値がある職業です。
人の命を預かる責任は大きいですが、それだけやりがいのある仕事でもあります。
医学部受験予備校 医進の会では、医学部入学を目指している中学生、高校生の学びをしっかりとサポートします。
入学だけを目標とするのではなく、第一線で医師として活躍するために、一人ひとりに合ったカリキュラムを組み立てています。

この記事の執筆者:医進の会代表 谷本秀樹

医進の会代表 谷本秀樹
中学入試の希学園の集団授業で600名以上の多くの生徒を受験指導。
大学入試は四谷学院などの大手予備校や多くの医学部受験予備校で、主に生物の集団授業と個別授業で300人以上の受験生を担当。
自身の予備校『医進の会』発足後は、これまで500人以上の生徒の受験と進路指導に携わってきた。
圧倒的な医学部入試情報量と経験値、最適なアドバイスで数多くの受験生を医学部合格に導いてきた、医学部予備校界屈指のカリスマ塾長。

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