医学部は留年が多いって本当?注意点や対策方法、留年しやすい人について解説
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カテゴリ:勉強・対策
医学部は留年する人が多いといわれています。
では、なぜ留年する人が多いといわれているのでしょうか?
その理由と、もし留年した場合はどのようなデメリットがあるかについて解説しています。
また後半では、ストレートで進級する際の秘訣を紹介しています。
毎日の勉強がはかどらない、進級できるか不安という方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 医学部で留年が多い理由
- 留年のデメリットや留年しない方法
- ストレートで進級するための勉強方法
医学部は留年が多いといわれる原因
医学部は、留年する人が多いといわれています。
しかし、4年制大学と医学部の留年割合はどちらも15%前後と割合だけで見れば実はあまり変わりません。
では、なぜ医学部は留年が多いといわれているのでしょうか。
医学部の留年が多い理由は以下の6つの理由です。
- 進級規定の厳格さ
- 科目難易度の高さ
- 医師国家試験合格率への影響
- 自己管理能力の欠如
- 入学をゴールにしてしまっている
- 精神的負担から心身を崩す
進級規定の厳格さ
進級規定が厳しいことから、医学部は留年しやすいといわれています。
進級規定とは、卒業条件のことです。
医学部以外の一般的な学部では、進級規定には「卒業までに〇〇単位を取得しておくこと」「必修科目を2年生までに履修しておくこと」などとあり、卒業条件に余裕を持たせているケースが多いです。
そのため、たとえ1年生で必修科目を取得できなくても、次の2年生で取得すれば留年することはありません。
医学部は進級規定が一層厳しい
医学部は一般的な学部よりも進級規定が厳しく設定されています。
科目のほとんどが必修科目というケースが多いため、ひとつでも単位を落としてしまうと留年してしまいます。
もちろん再試験や追試験が存在するため、一応の救済措置は取られていますが、すべての試験に落ちてしまった場合は留年となります。
科目難易度の高さ
科目の難易度の高さも留年する学生が多い理由です。
人命を扱う医者という仕事に就く際には、万が一にでも事故やミスがあってはいけません。
そのため、医学部では必然的に学ぶ科目の難易度は高く、範囲が広いのが特徴的です。
特に症例の診断や、それに合った薬の選別ができるようになる、人体や細菌などを学ぶ薬理学や生化学、細胞生物学などの基礎医学は、3年生からの臨床医学のためにも必要な知識です。
しかし、科目数が多く、専門的な内容が多いため、ついていくにも精一杯という方も多いです。
また基礎医学は、1年時のときよりも2年時のほうが内容が難しくなります。
2年生は、新たに解剖学座学と実習が加わるため、スケジュール的にハードなのも進級が難しくなる原因でしょう。
医師国家試験合格率への影響
医師国家試験で合格する見込みが低いと判断された学生は、意図的に留年させられる場合があります。
卒業試験で不合格となり、留年せざるをえない状況となるのです。
大学側は、医師国家試験の合格率を上げて、多くの受験者に選ばれる人気の大学にしたいと考えています。
そのため、卒業試験で国家試験に受かる可能性が低い学生を落として、受かる可能性が高い学生だけを卒業させているのです。
あらかじめ卒業試験対策の準備をしておこう
留年せずにストレートで卒業したいという学生は、卒業試験対策をあらかじめ取っておく必要があります。
試験内容は大学ごとに異なるため、前もって出題傾向や過去問をおさえることが大事です。
また、共用試験で不合格の場合も留年するケースがあるため注意しましょう。
4年時に「CBT」「OSCE」の共用試験を受けますが、それぞれの試験に合格しなければ、臨床実習に行けない進級させないなどの措置を取られるケースがあります。
一度、入学時に配布される医学部履修要項を確認しましょう。
自己管理能力の欠如
自己管理能力が欠如している場合、留年に追い込まれてしまいます。
受験前は規則正しい生活を送っていた学生も、合格後は今まで自分を律していた気持ちが緩みだし「少しくらいなら勉強以外の時間を設けてもいいか」と考えやすくなります。
結果として、不規則な生活を送る、勉強以外のものに夢中になるなど、学業に支障をきたしてしまうのです。
大学は自己管理が重要
受験時なら学校や予備校が体調面や勉強面のサポートをしてくれますが、大学に入ってからはすべてのことを自分で管理しなければなりません。
自己管理能力を高めることで、留年を回避できます。
入学をゴールにしてしまっている
医学部の入学がゴールとなっているため、勉強に身が入らなくなっているケースもあります。
いわゆる燃え尽き症候群です。
医学部合格のためには、一日に5時間前後、トータルで5,000時間以上の勉強時間が必要です。
今まで医学部合格のために勉強一色の毎日だったため、いざ合格が決まってしまうと、もう勉強したくないという気持ちが働いてしまい、モチベーションが低下しまうのです。
基礎医学の学習も手を抜かない
とくに基礎医学を学ぶ1、2年生は、やる気が出ないという方が多いようです。
低学年の時期は科目数も多く、専門的で高度な内容を勉強しなければならないからです。
留年を避けるためには、医学部入学は単なる通過点であることを忘れずにいることが大切です。
その後に続く国家試験に合格し、医者になることこそが本当のゴールです。
精神的負担から心身を崩す
留年しないために限界まで頑張ることにより、心身のバランスを崩してしまう可能性があります。
医学部は勉強量が多く、進むスピードも速いため効率的に勉強しなければ途端に講義についていけなくなります。
勉強が追いつかないと、試験を突破できずに再試験が多くなる、点数ぎりぎりで進級するなどして、ますます追い詰められていきます。
人間関係やストレスには注意
医学部は人間関係も特殊なため、まわりに理解者がいないことで孤立してしまう場合もあります。
結果として、過度なストレスからうつ病を発症してしまい、急激なやる気の低下や大学に通えなくなるなどの弊害を起こしかねません。
定期試験で点数が稼げず、出席日数が足りなければ単位を落としてしまいます。
留年しないためには、自分を追い込みすぎないことも大切です。
留年したときのデメリット
では、もし留年した場合は、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
留年した際のデメリットはこちらになります。
- 学費がかさむ
- 医師になるまでの年数が伸びる
- 退学のおそれもある
以下でくわしく解説します。
学費がかさむ
留年した場合は、追加で学費がかかることになります。
学費が安い国公立大学は経済的な負担は少ないといえますが、私立大学の場合は入学費用を含めると、6年間で2,000万円〜4,000万円必要となり、負担は大きくなります。
留年した際は、これにプラスして、さらに1年分の学費を納めなければなりません。
ただでさえ高額な医学部の学費がさらにかかることになり、経済的な負担増は免れません。
医師になるまでの年数が伸びる
留年してしまうと、当然ながら医師になるまでの年数が伸びてしまいます。
医学部を卒業して医師国家試験に合格しても、研修医として病院で実務を学ばなければ医師にはなれません。
研修医として基礎研修を受ける期間は2年間で、その後専門医となるための専門研修を受ける期間は3年〜6年かかります。
ストレートで進んでも医師になるには11年かかる
つまりはストレートで卒業しても、入学から最短で8年、専門医の場合は最大で11年かかることになります。
18歳で入学した場合、医師になるには最短で26歳、専門医は最短30歳です。
留年してしまうと、さらに年数が伸びることになります。
退学のおそれもある
万が一留年してしまった場合は、その後退学のリスクも出てきてしまいます。
大学規則では、あらかじめ留年について定められており、規定された年数を超えて留年しまうと退学となってしまうからです。
頑張って医学部に入学したのですから、退学してしまっては元の子もありません。
事前に大学規則を読んでおく必要があります。
最長何年まで留年可能?
では一体、最大で何年間まで留年可能なのでしょうか?
実は「在籍期間の2倍の年数までは在学可能」としている大学が一般的です。
医学部は6年間通学するため、最大で12年間は在籍できることになっています。
留年年数にいたっては、最大で6年間です。
ただし大学によっては、留年年数ではなく留年回数で制限しているところもあるため、注意が必要です。
たとえば「同じ学年で2回以上留年した場合は退学」の場合です。
このケースでは、2年生で2回留年してしまうと卒業できなくなるため、一度留年してしまったら必ず進級する必要が出てきます。
留年しないための心構え
留年しないためには、留年回避のための強い意志と、心構えを身につけることが大切です。
以下でくわしく解説します。
自己管理の徹底
自己管理を徹底することにより、勉強時間が確保でき、モチベーションアップが可能になります。
以下でその内容を紹介します。
生活サイクルを定着させる
規則正しい生活を送り、そのサイクルを定着させることが大切です。
不健康な生活を繰り返していると、生活リズムが崩れやすくなるからです。
結果として、集中力が下がりイライラしてしまう、夜眠れずに授業中にぼーっとしてしまうなどの弊害が出かねません。
入学後はとくに、受験が終わった気の緩みから生活サイクルが乱れやすいため、健康的な生活を送れるように心がける必要があります。
サークル活動やバイトに打ち込みすぎない
大学で、サークル活動やバイトを始めたという人も多いでしょう。
しかし、あまり熱中してしまうと勉強がおろそかになる可能性があります。
当初はそれほど乗り気でなかった方も、好成績を残す、交流の輪が広がるなどすると、途端にのめり込んでしまいます。
サークル活動やバイトに熱中するのもよいですが、勉強に集中できなくなっては本末転倒です。
留年しない程度の活動を心がけましょう。
自分の心に過負荷をかけない
留年しないためには、自分を追い込みすぎないことが大切です。
難関学部である医学部に入学できたのですから、まわりからの期待やプレッシャーは相当なものでしょう。
しかし、自分を追い込んでしまうと心身のバランスを崩してしまう危険性があり、より留年リスクが高まってしまいます。
以下で心に過負荷をかけない方法について解説します。
「完璧」より「完了」を目指す
医学部で留年する人に多いのが、完璧主義者です。
実は医学部では、試験対策として完璧ではなく完了を目指すことが大切です。
医学部は科目数が多く、暗記量が膨大です。
完璧主義な方ほど、問題を完全に理解するまでは次の問題には進まず、結果として試験日までに勉強が終わらずに、多くの得点を逃すことになります。
問題を理解できなくても次の問題に進み、問題集を何周かする人ほど得点が大きく伸びています。
勉強する際は、完璧ではなく完了を目指すようにしましょう。
根性論で乗り切ろうとしない
留年を回避しようと、根性論で乗り切ろうとしている方も多いですが、おすすめはできません。
少しくらい寝なくても大丈夫だと勉強時間を増やし、暗記できるまで寝ないなど自分の限界を超える行為は、心身への過度な負担となります。
逆に勉強に身が入らなくなり、暗記が進まない原因となります。
医学部では毎日の地道な勉強が大切であり、根性だけでは乗り切れません。
不調を感じたら早めに専門機関へ
勉強していて不調を感じたら、すぐに大学のカウンセリングや病院、クリニックなどの医療機関を受診しましょう。
不調を隠していたら、さらに症状が悪化する危険性があります。
症状が軽微のうちに対処することで、悪化を防ぎ、留年を防止できます。
ストレートに進級するための勉強方法
ここからは、ストレートで進級するための勉強方法について紹介します。
ぜひ参考にして、留年回避を目指しましょう。
定期試験の際に気をつけること
定期試験前には、気をつけておきたいポイントが2点存在します。
- 過去問や再試の情報を手に入れる
- 難易度と合格基準を把握する
過去問や再試の情報を手に入れる
ストレートで進級している学生は、過去問題集や再試験の情報をあらかじめ入手しています。
医学部の定期試験は、真面目にがむしゃらに試験勉強している人よりも、試験情報をもっている人が有利となるからです。
医学部の試験は範囲が広く、科目数が多いため、全部を丸暗記しようとするのは、なかなか難しいといわざるをえません。
そこで、試験の出題傾向が把握できる過去問題集で重要なポイントをつかみ、万が一単位を落としてしまったときに備えて、再試験の情報が必要となるのです。
友人や先輩、または試験対策委員から、試験に関する情報を入手しましょう。
難易度と合格基準を把握する
試験対策として、定期試験や再試験の難易度、合格基準を事前に把握しておくことが大切です。
試験は科目ごとに難易度に違いがあり、難易度が高い科目は、ほかの学生と情報のすり合わせをする必要があります。
自分以外の学生が解ける問題は必ず解けるようにして、解けない問題は手を抜いてもかまいません。
自分もほかの学生も解けない問題が多く試験に出てくれば、留年する学生を減らすために再試験を実施するはずです。
また、テストで何点を取れば単位がもらえるのかの確認も大切です。
再試験では、定期試験とは異なる問題が多く出る可能性が高いため、事前の情報収集を心がけましょう。
自分に合った勉強スタイルを見つける
医学部をストレートで進級するためには、自分にあった勉強方法を見つけ、確立することが大切です。
受験勉強の際には、予備校が立てたカリキュラムをもとに勉強していたと思いますが、大学では自分で勉強法を確立しなければなりません。
以下で、自分にあった勉強方法の見つけ方について解説します。
効率のよい勉強を心がける
医学部では、効率のよい勉強を心がけることが大切です。
試験範囲が広く暗記量が膨大な医学部では、ペース配分や重要箇所のメリハリのある勉強ができていなければ、単位は取れません。
まずは過去問題集から始めて、わからないところがあれば教科書やノートで確認する方法を取りましょう。
勉強の優先順位をつける、問題を深く理解しようとせずにスピーディーにこなすなど、定期試験に特化した対策が重要となります。
先輩や同級生の意見も取り入れる
先輩や同級生に、おすすめの勉強方法について聞くことも留年対策として重要です。
自分以外の人がどのような勉強法を取り入れているのか、進んで聞くようにしましょう。
とくに医学部は、一般的な学部とは異なり板書はあまり使わないため、低学年のうちはノートの取り方や講義の聞き方に戸惑います。
効率的なノートの取り方ひとつで科目の理解度が上がるため、先輩や同級生と普段から関わりを持ち、積極的に情報交換するようにしましょう。
留年防止目的の予備校
留年防止を目的とした予備校に通うことで、留年を回避できます。
予備校は受験生だけのものではない
予備校と聞くと受験を想像すると思いますが、予備校の利用者は受験生だけではありません。
留年防止や、国家試験合格を目的とした予備校も存在します。
講師とマンツーマンで個室指導というところが多いため、留年対策として予備校に通っていることが周囲に知られたくないときでも利用しやすいでしょう。
事前に定期試験の過去問題集や予想問題集がもらえるため、試験の情報を集めようと試験前に苦労することもありません。
予備校に通うことで、プロにサポートしてもらいながら進級を目指せるのです。
まず医学部受験対策を行うなら医進の会
医学部に合格するには、まず医学部受験に合格して大学進学する必要があります。
留年しないためにも目的を持って、入学後に意欲高く学習をしていく必要があります。
医学部に入学すると同時にどの大学に進学して、どういう学習をするのかという目的を明確にすることも重要です。
医進の会では医学部受験対策とともに個別対策による志望校選びなども熱心にサポートしているため、志望校選びから相談したいという方もお待ちしております。
面談は無料のため、少しでも医学部受験のことでお悩みの方は医進の会にご相談ください。
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まとめ
留年してしまうと、経済的な負担増は免れません。
卒業できる年数が伸びてしまい、医者になるのに最短で27歳以上かかってしまいます。
しかし、科目数が多く試験範囲が広い医学部では、試験対策なしにストレートで進級することは困難です。
事前に試験情報を入手し、効率的に勉強しましょう。
大学1、2年生は自分に合った勉強法の確立や定期試験への対策、6年生は卒業試験対策が重要です。
しかし、ひとりで勉強することに限界を感じている、サポートがほしいという方も多いでしょう。
その場合は予備校を検討してみてください。
この記事の執筆者:医進の会代表 谷本秀樹
大学入試は四谷学院などの大手予備校や多くの医学部受験予備校で、主に生物の集団授業と個別授業で300人以上の受験生を担当。
自身の予備校『医進の会』発足後は、これまで500人以上の生徒の受験と進路指導に携わってきた。
圧倒的な医学部入試情報量と経験値、最適なアドバイスで数多くの受験生を医学部合格に導いてきた、医学部予備校界屈指のカリスマ塾長。