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医師になるには何年かかる?医学部卒業後のステップや医師になる年齢についても解説

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カテゴリ:基礎知識

受験するために必要な年数や過程、医師になれるまでに必要な期間について気になる人は多くいます。
また、医学部受験や医師国家試験に合格するためには、どのような準備が必要なのかご存知でしょうか。
この記事では、医師になるために必要な期間や勉強法について解説します。
医学部受験に合格するための勉強法や、医師国家試験に合格するための勉強法など、医師になるために必要な情報が詳しく説明しているためぜひ参考にしてください。

この記事を読むとわかること
  1. 医師になるには何年かかるのか?
  2. 大学6年間で何を学んでどうやって医師になるのか
  3. 日本と海外で医師になるまでの年数は?

医師になるまでに何年かかる?

医学部に通って何年で医師になれるのかは気になる人が多いものです。
結論から言うと、6〜11年ほどかかります。
ここからは、必要な年数やどのような過程があるのかを下記に分けて解説します。

結論:6年から11年かかる

結論:6年から11年かかる

医師になるには、大学の医学部に進学し6年間の教育を受け、医師国家試験に合格しさらに2年間以上の臨床研修を経て、ようやく医師として一人前と認められます。
そのため、医師になるまでにかかる時間は、国家試験に合格するだけなら6年、一人前と呼べるのは11年前後です。
後述で詳しく解説しますが、医師になるまでのステップは以下のとおりです。

  1. 医学部受験に合格する
  2. CBT/OSCEに合格する
  3. 医学部卒業試験に合格する
  4. 医師国家試験に合格する
  5. 臨床研修を受ける

なお、大学の医学部に進学してストレートに進級できた場合に限り6年という短い期間で国家試験へ挑めます。
多くの場合、どこかで単位を落としてしまうということがあるでしょう。
私立大学ではすべての単位を再取得しなければならない一方で、国公立では落とした単位だけの取得となります。
この違いにも目を向けながら大学を選ぶとよいでしょう。

医学部受験に合格する

医師になるための最初の一歩が、医学部受験に合格することです。
医学部受験の勉強は早ければ早いほど有利で、高校1年生から勉強を始めれば、大学入学共通テスト対策と医学部二次試験対策を並行して進められます。
また、高校2年生から勉強を始めれば大学入学共通テスト対策に集中できるでしょう。

CBT/OSCEに合格する

医学部受験に合格できれば、次の目標はCBT/OSCEに合格することです。
CBTとOSCEは、医学部の6年間のカリキュラムの一部である共用試験です。
CBTはコンピューター上で行われる試験で、OSCEは実際に患者に触れて診察を行う試験です。
どちらの試験も、医学部6年間で学んだ知識や技能が問われます。

医学部卒業試験に合格する

CBTとOSCEに合格できれば、卒業試験に挑みます。
医学部卒業試験は、医学部6年生が受ける試験で医学部卒業試験に合格しなければ、医師国家試験を受けられません
そのため、医学部卒業試験は、医学部生にとって非常に重要な試験となるでしょう。
医学部卒業試験は、各大学によって問題内容や試験方式が異なります

医師国家試験に合格する

卒業試験を乗り越えたら、医師になるために必要な「医師国家試験」への挑戦となります。
医師国家試験は、医学部を卒業した者が医師免許を取得するために受験する試験です。
試験は筆記試験と口頭試験の2つで構成されており、筆記試験では医学全般から出題されます。
口頭試験では、臨床医学の知識や技能が問われます。

医師国家試験は難しい?

医師国家試験は、難易度の高い試験です。
合格率は近年は約90%程度ですが、過去には合格率が60%を下回った年もあります。
そのため合格するためには、日々の勉強を欠かさず効率的に勉強することが重要です。

臨床研修を受ける

医師国家試験に無事に合格できれば、臨床研修を受けて基本的な診察能力を身につけていきます。
臨床研修とは、医師が医学部を卒業した後に2年間の研修期間を経て、医師として認定されるための研修制度です。
臨床研修を受けることで、医師は診断、治療、手術などの基本的な医療行為を習得し医師としての自立を目指せます。
そのため当面は研修医として、内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、救急科、麻酔科、放射線科、病理学などの診療科でさまざまな症例を経験することになるでしょう。
このように、研修医としての経験を積み上げて一人前になるまでに、およそ11年ほどがかかります

医師になるまでの流れ
  1. 医学部受験に合格する(6年間学習)
  2. CBT/OSCEに合格する
  3. 医学部卒業試験に合格する
  4. 医師国家試験に合格する
  5. 臨床研修を受ける

医学部は大学6年制が法律で決まっている

医学部は大学6年制が法律で決められており、現在でも継続されています。
ここからは、下記の2つに分けて6年という勉強期間について詳しく解説します。

  1. なぜ6年制なのか
  2. 6年間で何を学ぶのか

なぜ6年制なのか

医学部は大学6年制とすることが、教育基本法の第87条第2項に定められています。
この法律には、下記が記されています。

医学を履修する課程、歯学を履修する課程、薬学を履修する課程のうち臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするもの又は獣医学を履修する課程については、前項本文の規定にかかわらず、その修業年限は、六年とする
引用:中央教育審議会 大学分科会 制度部会-文部科学省

医学部が6年制となったのは、1947年(学校教育法1947年3月31日公布)です。
当時は、医学部は5年制で、卒業後に医師国家試験に合格することで医師になれました。
しかし、医療技術の進歩に伴い、より高度な医学知識と技術を身につけた医師が必要となり、医学部を6年制としてより多くの時間をかけて医学を学べるようにしたのが背景です。

6年制になったのはより多くの学習時間が必要だから

6年である理由は、医師に必要な知識や技術を身につけるのに6年程度の時間がかかるからです。
医師は人々の命を守る重要な仕事であり、幅広い知識と技術を身につける必要があります。
そのため、医学部では、解剖学、生理学、病理学、薬理学、診断学、治療学などの科目を学ぶことになるでしょう。
また、臨床実習では、患者を診察したり、手術に参加したりするなどの経験を積みます。
これらの科目をすべて学び、医師国家試験に合格するには、6年程度の時間がかかると考えられています。

医学部生は6年間で何を学ぶのか

医学部に入って6年間で何を学ぶのかは、およそ下記の内容になります。

学年 学びの内容
1年生 基礎医学(解剖学、生理学、生化学、薬理学、病理学など)を学ぶ
2年生 臨床医学の基礎(内科学、外科学、小児科学、産婦人科、精神医学など)を学ぶ
3年生 臨床医学の専門知識(内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、救急医学、麻酔科、放射線科など)を学ぶ
4年生 臨床実習で経験を積み、医師として臨床に臨むための準備をする
5年生 臨床実習を通して、医師としての知識と技術を身につける
6年生 国家試験に合格し、晴れて医師になる

大学によって異なる部分はあるものの、基本的には文部科学省が作成した医学教育モデル・コア・カリキュラムがベースとなっています。
医学教育におけるコア・カリキュラムは、各大学が定めるカリキュラムの中で、全ての大学で共通して取り組むべき部分を抜き出し体系的に整理したものです。
つまり、どの大学でもほぼ同じ順番や内容で学ぶことになります。
これにより、医学教育の質の均質化が図られているのが実情です。

医学教育モデル・コア・カリキュラムとは

医学教育モデル・コア・カリキュラムは、2016年に改訂され、以下の6つの領域に分類されています。

  • 基礎医学
  • 臨床医学
  • 社会医学/公衆衛生学
  • 医療倫理/医療法制
  • 医療情報学
  • 医療英語

各領域では、医学生が卒業時までに身に付けるべき知識・技能・態度が示されています。
医学部では、この医学教育モデル・コア・カリキュラムに沿って、医学生がこれらの知識・技能・態度を身に付けられるように教育を行っている形です。

1年生で学ぶこと

医学部1年生では、主に基礎医学を学びます。
基礎医学とは、人間の身体の仕組みや病気の仕組みを学ぶ学問です。
授業で受けられる科目では、人体の構造や機能、病気の原因とメカニズム、薬の作用などを学びます。
医学部1年生では、これらの基礎知識を身に付けることで、臨床医学を学ぶための土台を築きます。
講義だけでなく実習も行われ、実際に解剖学や生理学の模型や器具を使って、学んだことを実践的に学べます。
また、病院や診療所での臨床実習も行われ、患者さんと接する機会も得られるでしょう。

2年生で学ぶこと

医学部2年生では、主に臨床医学を学びます。
臨床医学とは、病気や怪我の診断、治療、予防などを学ぶ学問です。
学ぶ科目では、病気の症状、診断方法、治療法、予防法などを学びます。
医学部2年生では、臨床知識を身に付けることで医師として患者さんを診療するための準備をします。
実習では実際に患者さんと接し、病気の診断や治療を経験できるのが利点です。
また、病院や診療所での臨床実習も行われ、医療従事者としてのチームワークやコミュニケーション能力を身につけられるでしょう。

3年生で学ぶこと

医学部3年生では、主に臨床医学を学びます。
医学部2年生で学んだ臨床医学の知識をさらに深め、医師として患者さんを診療するための準備をします。
科目では、病気の症状、診断方法、治療法、予防法などをさらに深く学びます。
医学部3年生では、卒業研究も行われます。
卒業研究では、医学部で学んだ知識を活かして、オリジナルの研究を行います。
卒業研究は、医師として臨床に臨むための基礎的な研究能力を身につける大切な機会です。

4年生で学ぶこと

医学部4年生では、主に臨床実習を行います。
臨床実習とは、病院や診療所で実際に患者さんを診療する実習です。
臨床実習では、実際に患者さんを診療し、病気の診断や治療を経験できます。
医学部4年生では、国家試験の勉強も行われるのが一般的です。
国家試験とは、医師として活動するための資格試験です。
国家試験の勉強に集中するために講義や実習の授業数を減らして、国家試験の勉強に集中する時間を作ることもあります。

5年生で学ぶこと

医学部5年生では、主に臨床実習を行います。
臨床実習では、循環器内科、呼吸器内科、心臓血管外科、耳鼻咽喉科などすべての診療科を2週間ほどでローテーションして実習します。
各科では、患者の診察や検査、手術の助手など、医師の仕事を実際に体験できるでしょう。
5年生で学ぶ内容は医学部6年生で受ける国家試験の範囲にも含まれています
国家試験を見据えて学習することを意識しましょう。

6年生で学ぶこと

医学部6年生では、主に医師国家試験の受験準備を行います。
国家試験は、医学部を卒業するために必要な試験です。
国家試験に合格するためには、医学部で学んだ知識と技術を総動員する必要があります。
医学部6年生では国家試験の過去問を解いたり、模擬試験を受けたり、国家試験対策講座を受講したりして試験対策を行います。

復習も入念に行う

また、臨床実習で得た経験を振り返り、自分の知識や技術をブラッシュアップすることも大切です。
医学部5年生で学んだ内容をさらに深く学ぶことになります。
そのため医学部6年生では、過去に学んだことを更に定着させることが重要です。

医師になるのに時間を要してしまう理由

医師になるのに時間を要してしまう理由は、下記の3つが挙げられます。

  1. 医学部受験で苦戦する
  2. 大学在学中に留年してしまう
  3. 医師国家試験に落ちてしまう

医学部受験で苦戦する

医学部受験は、受験生にとって非常に困難な道のりです。
合格するには、膨大な量の勉強をする必要があり、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。
そのため、医学部受験で苦戦する受験生は少なくありません。

原因 改善策
学力の不足 苦手科目の克服、参考書の活用、予備校の受講など
勉強時間の不足 部活動やアルバイトの時間を調整、早起きや夜更かしなど
モチベーションの低下 目標を明確にする、合格した自分を想像するなど
メンタル面の不調 十分な睡眠をとる、趣味を楽しむ、リラックスできる時間を作るなど
受験勉強以外の負担 部活動やアルバイトの時間を調整、両立するための工夫をするなど

医学部受験は、非常に困難な道のりです。
場合によっては合格までに浪人を選ぶというケースも発生します。
結果として、医師になるまでにかかる時間が伸びてしまうのが実情です。
努力すれば必ず合格できると自分を信じて、諦めず原因を見極めて対処する必要があるでしょう。

大学在学中に留年してしまう

医学部の授業は難易度が高く、多くの学生が苦労します。
特に、医学の基礎知識を学ぶ1年生や2年生は授業についていけずに留年する学生が少なくありません
これに加えて、国公立と私立の大学では、単位を落とした場合の取り扱いが異なるのも実情です。

国公立大学の単位事情

国公立大学では、単位を落とした科目だけ再履修できます。
再履修は、1年の間に何回でも行えます。

私立大学の単位事情

私立大学では、単位を落とした科目すべてを再履修する必要があります。
再履修は1年の間に何回でも行えますが、再履修の単位数によっては卒業までに要する年数が増えることもあるでしょう。
そのため、国公立大学に比べて私立大学の方が単位を落とすと卒業までに要する時間が長くなる可能性があります。
留年しないようにするには、早めに勉強計画を立て、計画通りに勉強を進めるなどの対策を講じることが大切です。

医師国家試験に落ちてしまう

医師国家試験は医師になるための最終的な試験で、合格できなければ医師として働くことはできません
医師国家試験は、毎年7月に行われ全国の医学部生が受験します。
合格率は約90%ですが、毎年数百人の人が不合格になっているのが現状です。

医師国家試験は再受験が可能

医師国家試験に落ちてしまうと、次の年に再受験する必要があります。
しかし、再受験にかかる費用や時間は決して少なくありません
そのため医師国家試験に落ちてしまうと、医師になるまでに時間がかかってしまいます。

医師国家試験に落ちてしまったらどうなるのか

医師国家試験に不合格になった場合、次に受験できるのは1年後になります。
また、不合格の回数が増えるにつれて、合格するのが難しくなる傾向があります。
そのため医師国家試験に不合格になった場合は、早めに原因を分析し対策を立てることが重要です。
また、医師国家試験に落ちてしまった場合、次のような選択肢があります。

  • 次の試験で受験する
  • 医療系の別の職に就く
  • 別の職に就く

別の職業に就く場合、医学の知識や技術を活かせる職業を選べます。
例えば、医療事務、臨床検査技師、薬剤師などがあります。
医師国家試験に落ちてしまった場合、落ち込んでしまいがちですが必ずしも希望がないわけではありません。
上記の3つの選択肢から、自分の将来についてよく考えて最適な選択をしてください。

日本と海外の医師になるまでの年数に違いはあるのか

日本とアメリカでは、医師になるまでの年数が異なります。
日本では医学部を6年間で卒業し、その後初期研修医として2年間の研修を受ける必要があります。
一方アメリカでは、4年制大学を卒業した後医学部に進学し、その後レジデンシープログラムとして3〜7年間の研修を受ける必要があるのが一般的な流れです。

◇日本:6年(医学部)+2年(初期研修)+4年(後期研修)=12年
◇アメリカ:4年(大学)+4年(メディカルスクール)+3~7年(レジデンシー)=11~12年

アメリカの医学部事情

アメリカでは、4年制大学を卒業した後、医学部に進学します。
医学部は4年間で卒業し、その後医師国家試験(USMLE)への合格が求められます。
USMLEに合格すると、レジデンシープログラムとして3〜7年間の研修を受けるのが通常です。
レジデンシープログラムを修了すると、医師として認定されます。
国家試験を受けられる年数は日本よりも短いものの、医師として働けるまでには長い研修期間が必要です。
このように、日本と海外の医師になるまでの年数には違いがあります。
しかし、どちらの国でも、医師になるためには、長い時間と努力が必要なことに変わりはないでしょう。

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まとめ

医師になるためには、長い時間と多大な努力が必要ですが、目標に向かって努力することで、その夢を叶えられます。
医師になるための第一歩は、医学部受験。医学部受験に合格するためには、自分に合った勉強法を見つけ、効率的に勉強することが大切です。
また、医師国家試験に合格するためには、過去問題を解いたり、模擬試験を受けたりすることも有効です。
この記事を参考にして、自分の勉強計画を立て、努力を続けましょう。

この記事の執筆者:医進の会代表 谷本秀樹

医進の会代表 谷本秀樹
中学入試の希学園の集団授業で600名以上の多くの生徒を受験指導。
大学入試は四谷学院などの大手予備校や多くの医学部受験予備校で、主に生物の集団授業と個別授業で300人以上の受験生を担当。
自身の予備校『医進の会』発足後は、これまで500人以上の生徒の受験と進路指導に携わってきた。
圧倒的な医学部入試情報量と経験値、最適なアドバイスで数多くの受験生を医学部合格に導いてきた、医学部予備校界屈指のカリスマ塾長。

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