医学部の奨学金は何がある?返済不要な奨学金や国公立・私立独自の奨学金も解説
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カテゴリ:料金・費用
この記事では、医学部生が利用可能な奨学金制度について説明しています。
公的および民間の奨学金制度についても触れており、利用を検討している方は、自分の条件に合った奨学金を確認してみてください。
国公立や私立独自の奨学金もまとめているため医学部生や医学部受験を考えている方は必見です。
医学部で利用できる公的な奨学金制度とは?
医学部生が利用できる公的な奨学金制度には、たくさんの種類があります。
国や自治体が行っている公的な奨学金をご紹介します。
日本学生支援機構奨学金
日本学生支援機構(JASSO)では、学生の修学を支援する目的で奨学金事業や留学支援、生活支援事業などを実施しています。
日本学生支援機構は3分の1以上の学生が利用するくらい、最もメジャーな奨学金です。
その中で、多様な奨学金の種類をご紹介していきます。
返済不要の給付型
給付型奨学金とは、返済の必要がない奨学金のことを指し、他の奨学金と併用することもできます。
さらに、返済不要な給付型奨学金は非課税扱いとなるため、親の扶養から外れる心配もありません。
ですが、給付型奨学金は貸与型奨学金と比べて、学力や家計基準の条件が厳しかったり、採用の人数が少なかったりもします。
返済が必要な貸与型
貸与型奨学金とは、大学在学中に借り、卒業後に自分で返済する奨学金になります。
貸与型には、利子の無い第一種奨学金と呼ばれるものと、利子のある第二種奨学金の2種類が存在しています。
在学中も卒業した後も、返還の猶予申請や払い戻しの免除申請ができます。
貸与型奨学金を利用するためにも、学力、家計など基準を満たす必要があります。
【国公立大学】学費減免制度
全ての国公立大学には奨学金制度が用意されていますが、奨学金を支給するといった形ではなく、本来支払うべき学費の一部あるいは全額を免除するといった減免制度を用意している大学もあります。
減免制度は、返済の必要がある貸与型の奨学金と違い、返済をする必要がなく、負担するべき学費を抑えられるといったメリットがあります。
国公立大学の学費減免制度は大学によって様々です。詳細については各大学へお問い合わせください。
【高等教育】修学支援新制度
高等教育における修学支援制度は、進学や将来の進路に対する意欲がある方を対象に、家庭の経済状況を問わず、大学などに進学できる機会を提供するべく、文部科学省が実施している制度です。
授業料ならびに入学金の免除や減額、返済不要な給付型の奨学金により意欲ある学生の進学を支援します。
支援を受けるには一定の条件があり、その条件を満たしていると国などが確認した大学・短大・高等専門学校・専門学校に通っている学生全員が支援を受けることが可能です。
世帯収入によって支援金額が変わります。
地域枠
地域枠とは地方における医師不足や診療科の偏りといった問題を解決するためにつくられた制度です。
出願条件として、深刻な医師不足である地域において、卒業後も規定年数その地域で勤務することが決まりになっています。
なお、選抜の時期、卒業後の従事条件や奨学金の有無によって制度は異なります。出身地の指定がある地元出身者枠と指定がないものもあります。
また、都道府県が支援することとされており、今後さらに拡大していくであろうと予想されています。
矯正医官修学生
矯正医官修学生とは矯正医官修学資金貸与制度の対象となる、矯正医官を希望する医学生のことです。
矯正医官修学資金貸与制度とは、将来矯正施設への勤務を希望する学生に対し、修学資金を貸与することを目的とした法務省が定めた制度です。
応募資格は大学医学部医学科第3学年以上の在学生で、大学を卒業し、医師法規定の臨床研修終了後すぐに矯正移官として勤務を3年以上した場合は返還債務全学あるいは一部が免除されます。
法務省のホームページにて募集を行っておりますので、詳細をご確認ください。
防衛医科大学校医学科
最後に奨学金制度とは少し異なりますが、防衛医科大学校医学科についてご紹介します。
一般的な大学医学部とは全く異なる独自の教育課程を持ち、医師免許を持つ幹部自衛官を目指します。
合格後は学生ではなく「特別職国家公務員」となり、入学金や授業料の納入はありません。
毎月手当が支給され、年2回の期末手当の支給もあります。
その他様々な待遇が用意されています。
ですが、地域枠同様卒業後は指定された部署での勤務が求められ、9年間は自衛隊に所属する必要があります。
9年未満で退職した場合は年数に応じた償還金が必要となります。
医学部で利用できる民間の奨学金制度とは?
続いて医学部で利用できる民間の奨学金制度も数多くあります。代表的な制度についてご紹介します。
公益社団法人地域医療振興協会
公益社団法人地域医療振興協会では僻地に勤務する医師の育成及び確保のため、大学医学部に入学決定または在学中の学生を対象にした奨学金制度があります。
貸与期間は大学の修学年限(最大6年)で、貸与額は月額200,000円で、書類および面接による選考となります。
卒業後すぐに臨床研修に従事し、終了後すぐに協会が指定する病院などで奨学金貸与期間と同期間勤務した場合には奨学金の返済が全額免除になります。
民医連奨学金
民医連では医師を志す医学生を支援する医学部奨学金制度を設けています。
全国の大学医学部に在籍する医学生を対象としており、民医連の医療機関で勤務するなどの条件を満たすことで、返済が免除される場合があります。
貸与内容や金額、返済免除に関するきまりはそれぞれの都道府県の民医連によって異なります。
そのため、申込や詳細については各都道府県の民医連の相談窓口への問い合わせをおすすめいたします。
徳洲会奨学金
徳洲会奨学金とは、医学部に在籍している学生あるいは医学部に入学予定の方で、卒業したのち徳洲会グループの病院に勤務する方を対象とした徳洲会グループが貸付支援する制度です。
貸付限度額は月額150,000円で利息は年2.0%、貸付期間は貸付決定月から卒業月の翌月までで最大6年間となります。
まずは、医学部を卒業し、医師免許取得後に徳洲会グループで初期研修を行います。
その後、徳洲会グループの病院にて貸付期間の3分の2の期間を勤務することで返済免除と同等の処理となります。
ただし、大学を退学された場合や卒業後に徳洲会グループ病院にて勤務されなかった場合には貸付金額に利息年2.0%を加算した金額を一括返済しなければなりません。
民間財団・地方公共団体奨学金
民間財団や各地方自治体でも様々な奨学金制度を設けております。
民間財団は主に在籍する学校から申し込みを行いますが、申し込みの条件・対象・支給金額・給付期間・返済の有無は各奨学金ごとに違いますので、必ず募集要項の確認をお願い致します。
また、団体によっては入学一時金の支給を実施しているところもあります。
地方自治体における奨学金制度は各都道府県および市町村が設けており、月額およそ1〜5万円を支給しています。
貸与型と支給型の2種類あり、家計状況や成績によって採用が決定されます。
ただし、地方自治体の全てに設けられているわけではありません。
また、募集数も少なく、希望の奨学金制度を利用できないことも多いようです。
医療法人社団善仁会小山記念病院
小山記念病院は地域中核病院として茨城県を中心として地域医療に貢献しています。
小山記念病院奨学金制度は、小山記念病院の医療理念に共感し、高い向学心を持つ学生を支援するための制度です。
詳細については、医療法人社団善仁会小山記念病院へお問い合わせください。
社会医療法人明和会医療福祉センター
社会医療法人明和会医療福祉センターが行っている、医師奨学金制度をご紹介していきます。
医師奨学金制度は、医学部医学科に在籍している学生で、将来、明和会医療福祉センターで勤務を希望する方、明和会の理念・地域医療に共感できる方を対象としています。
月額最大20万円、支給期間は医学部在学中の最大6年間(既に在学している場合は残りの就学年数)の支給になっています。
入学金や教材費の支援も相談は可能です。
返済の免除条件は、卒業後、医師免許を取得後、一定期間明和会の指定された施設で勤務することになります。
医療法人久幸会
医療法人久幸会の医師奨学金制度についてご紹介していきます。
この奨学金制度は、医療法人久幸会グループの職員や将来このグループに就職を希望される方が、医師、歯科医師、薬剤師、看護師の資格を得るために大学に在学中や入学が決まった場合に、修学に必要な奨学金を貸与することを目的にしています。
貸与の金額等詳細は医療法人久幸会までお問い合わせください。
医療法人陶朋会平成記念病院
医療法人陶朋会平成記念病院の奨学金をご紹介していきます。対象は以下の通りになります。
・大学に進学しようとする方
・医療法人陶朋会平成記念病院にて決まった期間、就業する意思のある方(在学中)
月額150,000円、入学金は一時金として別途300,000円の貸与となります。
貸与期間は最長8年間です。
返還の免除は、貸与を受けた期間と同年数、平和記念病院で内科医師として勤務した場合、全額免除されます。
ただし、平成記念病院に勤務しなかった場合、奨学金を全額返還しなければなりません。
医療法人社団和敬会
富山県を中心に精神の医療を提供している医療法人社団和敬会の奨学金制度をご紹介していきます。
ひと月当たりの貸与額は200,000円となっており、一定の期間医療法人社団和敬会が指定する医療機関で勤務することで返還が免除される場合があります。
詳細は医療法人社団和敬会にお問い合わせください。
医療法人北斗会
医療法人北斗会の奨学金についてご紹介していきます。
日本国内の医学部に在学している人の中でも、将来医療法人北斗会で医師として勤務できる方を対象としています。
期間は最長6ヶ月で、金額は月額15万円です。
奨学金返済免除の対象は、卒業したのち2年以内で医師免許を取得し、さらに、医師として医療法人北斗会で貸与期間の1.5倍の金部期間を終えると、奨学金の全額の返還を免除されます。
【私立医学部向け】奨学金制度
次に、私立医学部向けの奨学金制度について、いくつか種類があるのでご紹介していきます。
慶應義塾大学医学部
慶應義塾大学医学部の奨学金には2つ種類があります。
1つ目は、入学前予約型の学問のすゝめ奨学金というものです。
この奨学金は、首都圏以外の日本全国のいずれかの高校を卒業した者で、成績が優秀で、経済的な理由で入学が困難な受験生に経済支援することが目的とされています。
返済の義務はなく、奨学金額は医学部は90万円です。
入学金が別途20万円給付されます。2つ目は合格時保証奨学金というものです。
この奨学金は、医学生のみを対象とした奨学金で、一般入学試験における成績上位10名に、1〜4学年で継続して年間200万円を給付する奨学金です。
給付型の奨学金で、返済義務がありません。
これら2つの他に、慶應義塾大学全体の奨学金制度がホームページに記載されていますので、そちらもご確認ください。
自治医科大学医学部
自治医科大学医学部の奨学金の制度には2つ種類があります。
1つ目は修学資金貸与制度というものになります。
修学金貸与制度では、入学するすべての学生に対して、学生納付金相当額と入学時の学業準備費が貸与されます。
この修学資金は、大学を卒業したのち、都道府県が指定する公立病院で医師として勤務し、貸与を受けていた期間の1.5倍の勤務期間を満たすと、返還が免除されます。
2つ目は奨学資金貸与制度というものになります。
奨学資金は、生活費や学費の一部を貸与する制度で、条件なしで月額50,000円が貸与されます。
さらに、いろいろな条件で選考し、最高月150,000円まで無利息で貸与されます。
こちらは奨学金なので、9年以内に返済する必要があります。
産業医科大学医学部
産業医科大学で医学部生が利用できる奨学金には、医学部修学資金貸与制度というものがあります。
この制度では、医学部に入学した学生に対して学生納入金の一部を卒業まで貸与し、卒業後に産業医などの職務に従事して、貸与期間の1.5倍の期間勤務することで、貸与された金額の全額が返済免除となる仕組みです。
概要はホームページをご確認ください。
国際医療福祉大学医学部
国際医療福祉大学医学部では、選抜において成績が優秀な合格者の中から、医学部の特待生が選ばれます。
医学部特待生Sは、1,700万円が給付され、6年間の学費がゼロになります。
また、入学金として支払う必要がある150万円も免除されます。(入学後返還)
入寮される場合、寮費も無料になります。
一般選抜で20名を選抜します。
医学部特待奨学生Aは、6年間で最大1,400万円の奨学金が給付されることで、6年間での学生納付金総額は300万円と、国公立よりも低額で進学できます。
北里大学医学部
北里大学で医学生が利用できる奨学金は3種類あります。
1つ目は北里大学学生表彰による奨学金です。
この奨学金は、前年度の学業・人物がともに優秀な人(各学年、各学科ごとに2名程度)に対して、10万円が給付されます。
2つ目は、北里大学給付奨学金です。
この奨学金は学費年額の2/1の金額が給付されます。
出資資格は6つあるため、公式HPをご確認ください。
3つ目は、北里大学貸与奨学金です。
この奨学金にはA種とB種があります。
A種は学費の2/1の金額が貸与され、B種では学費相当額が貸与されます。
貸与奨学金ですので、返還が必要になります。
返還方法や出資資格などは公式HPをご確認ください。
まとめ
今回は、医学生が利用できる奨学金制度について解説していきましたが、いかがでしたでしょうか。
医学部は勉強も大変ですが、それ以上に膨大な学費が必要となってきます。
金銭面で負担をかけず、医学部に通うためにも、この記事でご紹介した奨学金制度の利用をお考え下さい。
条件が厳しいものや返還しなければいけないものもあるので、奨学金は慎重かつ計画的に利用しましょう。