コラム - 大阪の医学部予備校

HOME コラム一覧 勉強・対策 医師国家資格の難易度を徹底解説!落ちる人の特徴や効果的な学習方法も紹介

医師国家資格の難易度を徹底解説!落ちる人の特徴や効果的な学習方法も紹介

  • 公開日
  • 更新日

カテゴリ:勉強・対策

医師になるためには避けて通れない医師国家試験。
医師国家試験の難易度はどのくらいなのか気になりますよね。
今回の記事では、医学部生や医師を目指す方向けに、医師国家試験の合格率が高い理由や、効果的な学習方法、さらには大学別の傾向までを網羅的に解説します。
医師への道をしっかりと歩むための参考に、ぜひご一読ください。

医師国家試験とは

「医師国家試験」とは、日本において医師として働くために必須となる国家試験です。
医師国家試験は、厚生労働省が実施する国家資格試験で、医師免許を取得するための最終関門です。
医学部の6年間の課程を修了し、受験資格を得た者が受けることができます。
合格することで、正式に医師免許を取得し、日本国内で医療行為を行うことが可能になります。
以下に試験の概要をまとめました。

試験日程 2日間(毎年2月頃)
問題数 400問(1日200問)
問題形式 各論(150問)、必修(100問)、総論(150問)の3形式

各論→疾患ごとの知識を問う

必修→研修医になるための最低限の知識を問う

総論→疾患をまたいで横断的に行う

合格発表 3月中旬

出題される問題は、特定のテーマが明示され、その知識が問われる「一般問題」と〇歳の△性などの症例が提示される「臨床問題」の2つに分けることができます。
また、答え方にもさまざまなタイプがあります。
A問題→五者択一
X2、X3問題→五者択二、択三
多肢選択問題→選択肢の数が6つ以上ある
計算問題→数字で解答する
の4種類になります。

医師国家試験の難易度

次に医師国家試験の難易度について解説します。

約90%の高い合格率

2025年度の第119回医師国家試験は、受験生10,282人に対し合格者9,486人と全体で92.3%の合格率でした。
例年合格率は90%を超えます。
合格率が90%を超えると聞くと、簡単な試験なのではないか、と想像する人もいるかもしれませんが、医師国家試験の合格基準は、必修問題は200点満点中160点以上、一般問題及び臨床問題については300点満点中221点以上、禁忌肢問題の選択数は3問以下、となっており、非常に難易度の高い試験です。
しかしながら90%以上の合格率があるのは、そもそも医学部への入学が非常に困難で偏差値の高い学生が受験している、さらにそういう学生たちが6年という長い時間をかけて医学の知識を積み重ねているためにほかなりません。

試験内容

医師国家試験では、特定の分野だけでなく、内科・外科・小児科・産婦人科・精神科・救急集中治療・皮膚科・公衆衛生や法医学の社会医学など全身・全科にわたる医学知識が必要です。
また、疾患だけではなく、症候・検査・治療などの臨床的思考過程を求められるような内容も多いです。
そして、知識だけではなく、判断力や倫理観も評価対象の1つです。
医師としての総合的な資質が備わっているかを問われ、臨床推論能力やチーム医療、インフォームドコンセントといった内容の問題となっています。
このように、医師国家試験の問題は複雑で範囲が非常に広いため、対策なしでは合格をすることは難しいでしょう。

合格基準

医師国家試験の合格率は例年90%前後と高い水準を維持していますが、これは受験者の多くが十分に準備された医学部卒業見込みの学生であるためであり、決して試験自体が易しいわけではありません。
合格するためには、以下のような明確で厳格な基準をすべて満たす必要があります。

・必修問題での80%以上の得点率
・禁忌択と呼ばれているものを4つ以上選択しない
・一般・臨床問題での70%以上の得点率

これらの基準からもわかる通り、医師国家試験では基礎知識だけでなく、臨床判断力や倫理的視点も含めた総合的な医学的能力が問われます。
合格率の高さに油断せず、十分な対策をもって試験に臨むことが求められます。

医師国家試験の難易度(合格率)の推移

次に医師国家試験の難易度(合格率)の推移について解説いたします。

過去10年間の難易度(合格率)の推移

過去10年間の難易度(合格率)の推移をまとめました。

年度(回次) 合格率
2025年度(第119回) 92.3%
2024年度(第118回) 92.4%
2023年度(第117回) 91.6%
2022年度(第116回) 91.7%
2021年度(第115回) 91.4%
2020年度(第114回) 92.1%
2019年度(第113回) 89.0%
2018年度(第112回) 90.1%
2017年度(第111回) 88.7%
2016年度(第110回) 91.5%

この10年間、合格率は毎年ほぼ90%前後で推移しており、非常に安定しています。
直近2年間は92%越えと、比較的高めの合格率であり、学生の対策が進化していることや、各大学の国家試験対策の充実が背景にあると考えられます。

出題傾向の変化と難易度への影響

近年の医師国家試験では、出題傾向に明確な変化が見られ、それが試験の難易度に直接的な影響を与えています。
まず顕著なのは、臨床現場を強く意識した実践的な症例問題の増加です。
これは、単なる知識の暗記だけでなく、臨床推論や適切な判断力が求められる内容であり、受験生にとってはより高度な理解力と応用力が必要とされます。
また、長文のケーススタディ形式の問題や、選択肢が非常に紛らわしい問題の増加も難易度を押し上げています。
こうした問題では、設問を正確に読み解き、重要な情報を取捨選択しながら回答する能力が要求されます。
さらに、一般・臨床実地問題においても細かい知識の確認や複数領域にまたがる総合的判断が求められるようになり、単元ごとの対策だけでは対応しきれない傾向が強まっています。
これらの出題傾向の変化により、医師国家試験は従来よりも「考えさせる試験」となり、知識量だけでなく臨床的判断力と試験対応力の両面が問われる構造に移行しているといえます。
その結果として、表面的な合格率が大きく下がることはないものの、受験生にとっての実質的な難易度は確実に上昇しています。

最新の試験内容の特徴を

2025年に実施された第119回医師国家試験では、医師としての実務能力や臨床判断力がこれまで以上に重視され、最新の医療トピックや社会的課題に対応できる力が問われる内容へとシフトしました。
試験全体の難易度はやや上昇し、特に臨床実地問題では、外科や救急など現場で即戦力となる知識や対応力が求められる設問が多く、従来の暗記中心の学習では対応しきれない問題が目立ちました。
受験生の間では「昨年よりも難しかった」という声が多く聞かれ、とくに一般臨床問題では、選択肢が紛らわしいものや長文の症例問題が増加したことで、思考力や読解力がより強く求められる内容となっていました。
今後の試験対策としては、単に知識を詰め込むだけではなく、実際の臨床現場で応用できる「使える知識」を意識した学習が必要です。
また、最新の医療情報や制度の動向にも目を向け、実務に直結する理解を深めていくことが、より重要になるといえるでしょう。

大学別の合格率から見る医師国家試験の難易度

次に大学別の合格率から見る医師国家試験の難易度について解説していきます。

国公立大学と私立大学の合格率の違い

2025年に実施された第119回医師国家試験において、国公立大学と私立大学の合格率には一定の違いが見られました。
厚生労働省や各種教育機関の統計によると、全体としてはいずれの大学種別においても合格率は90%を超える高水準で推移していますが、私立大学の方がわずかに高い合格率を示す傾向があります。
たとえば、2024年のデータでは、国立大学の合格率は約92.8%、公立大学は93.8%、一方で私立大学は94.1%と、私立大学が最も高い合格率を記録しています。
特に私立の中でも自治医科大学は新卒・既卒ともに合格率100%を達成し、順天堂大学や東京慈恵会医科大学も非常に高い合格率を維持しています。
これは、これらの大学が医師国家試験対策に特化した教育体制やサポートを整えていることが背景にあると考えられます。
一方で、国公立大学も合格率は高く、特に旧帝大や難関国立医学部では例年95%前後の高水準を保っており、教育内容の質の高さや学力の高い学生層が影響していると見られます。
このように、国公立・私立の別に関係なく、多くの医学部が高い合格実績を持っていますが、私立大学の一部には国家試験に特化した指導体制がより明確に構築されている例があり、その点が合格率に反映されているといえるでしょう。

上位校と下位校の合格率の違い

医師国家試験において、いわゆる「上位校」と「下位校」の合格率には明確な差が見られます。
上位校は一般的に偏差値が高く、入学時の学力水準が高い学生が集まることに加え、国家試験対策に特化した教育体制やサポート体制が整っていることが多いため、合格率も高くなる傾向があります。
例えば、東京大学や京都大学、東京慈恵会医科大学、自治医科大学などは例年90%以上の高い合格率を維持しており、中には95%を超える学校もあります。
一方で、下位校とされる大学は入試の難易度が比較的低い場合が多く、学生の学力にバラつきが生じやすいため、国家試験の合格率も低めになる傾向があります。
合格率が70〜80%台にとどまる大学も存在し、大学によっては対策強化や教育改革に取り組んでいるケースも見られます。
ただし、合格率が低い大学でも学生一人ひとりの努力や大学のサポートにより、合格者数を着実に増やす取り組みが進んでいるため、今後の改善も期待されています。

大学による国試対策の違い

医師国家試験の合格率は、大学の入試偏差値に必ずしも比例するものではなく、偏差値が中堅〜やや低めであっても、国試対策が充実している大学では高い合格率を誇るケースがあります。
たとえば三重大学は、国公立医学部の中では中堅クラスの偏差値ながら、医師国家試験の合格率は全国3位という高水準を維持しています。
学生の自主性を尊重する校風の中、互いに切磋琢磨できる学習環境が整っており、自然と国試への意識が高まる仕組みになっています。
香川大学も同様に、偏差値は比較的控えめですが、国試合格率では全国4位と好成績を収めています。
少人数制の講義や実習、講義の録画配信など、知識を定着させやすい仕組みが整っており、質の高い教育が合格率の高さにつながっています。
私立大学では、国際医療福祉大学がその代表例です。偏差値は中堅レベルですが、初めての国家試験から合格率99.2%を記録するなど、徹底した指導体制が特徴です。
成績に応じた個別指導や補講が行われ、全学生を合格に導く体制が整えられています。
また、兵庫医科大学も同様に偏差値はやや低めながら、合格率は97.4%と非常に高く、早い段階からの国試対策と個別支援によるサポート体制が功を奏しています。

合格率が高い大学の特徴

合格率が高い大学にはいくつかの共通した特徴があります。
まず、国家試験合格を念頭に置いた体系的で計画的なカリキュラムが整備されており、基礎から臨床まで段階的に学べる授業が提供されています。
次に、過去問演習や模擬試験が充実しており、学生が効率よく弱点を克服できる環境があることも大きなポイントです。
また、経験豊富な教員によるきめ細やかな指導や個別サポート体制が整っているため、学生一人ひとりの学習進捗に応じたフォローが受けられます。
さらに、最新の教材やオンライン学習ツールを活用し、問題傾向に合わせた対策が可能なことも特徴です。
加えて、学生同士の勉強会やグループ学習が活発で、競争意識や学習意欲が高い学習文化が根付いている点も合格率向上に寄与しています。
これらの要素が総合的に整っている大学ほど、医師国家試験の合格率が高い傾向にあります。

医師国家試験に落ちる人の特徴

次に、医師国家試験に落ちる人の特徴について解説していきます。

基礎力が不足している

医師国家試験に不合格となる人の多くに共通する特徴のひとつが、「基礎学力の不足」です。
国家試験では臨床的な知識や判断力が重視されますが、それを支える解剖学、生理学、生化学などの基礎医学の理解が不十分なままだと、応用問題や臨床実地問題に対応できません。
合格のためには、まず基礎からの確実な積み上げと、計画的で実践的な学習が何よりも重要です。

必修問題対策を怠っている

医師国家試験に不合格となる学生の中で、必修問題対策を怠ったことが主な原因となっているケースも少なくありません。
必修問題は全受験生がクリアしなければならない絶対条件であり、合格には8割以上の得点が求められます。
この基準を満たさなければ、他の科目で高得点を取っていても不合格となってしまいます。
「倫理や感染症への対策、災害医療などの基礎知識」、「生命にかかわる初期の対応」、「禁忌選択肢の判断」、「公衆衛生、医療制度に関する知識」などは絶対に正解しなければいけない問題となっています。
必修問題だけで基準を下回れば不合格になってしまったり、意外とミスをしてしまいやすい問題が多かったりするので注意してしっかり対策をしなければなりません。

メンタル面での課題を抱えている

メンタル面での課題を抱えていることも医師国家試験に落ちる人の特徴の一つです。
例えば、医師を目指す動機が「親に言われたから」や「安定した職業だから」といった外的要因に偏っている場合、内から湧き上がるやる気が不足し、積極的な学習が難しくなりがちです。
また、浪人生など再受験生は、試験直前や結果発表後に強い不安や焦り、うつ状態に陥ることがあり、これが集中力や意欲の低下を招き、再度の不合格につながることもあります。
このようなメンタル面の課題を克服するためには、まず自分の志望動機を見つめ直し、内発的なモチベーションを再確認することが重要です。
加えて、気分転換できる趣味や十分な休養を取り入れたり、深呼吸や簡単な瞑想などで心身をリラックスさせる方法を実践するのも有効です。
さらに、家族や友人、同じ目標を持つ仲間とのコミュニケーションを大切にし、孤立せず支え合う環境を作ることが、精神的な安定に役立ちます。
医師国家試験は知識だけでなく、精神面の強さも必要とされる試験です。
メンタル面の課題に早めに気づき、適切に対処することで、合格への可能性を高めることができます。

学習方法が確立されていない

医師国家試験合格への道は、効果的な学習方法を確立し、計画的かつ継続的に学習を進めることにあります。
不合格となる人の多くは、効率的な学習計画を立てられず、勉強の焦点が定まらないために、知識が中途半端にしか定着しないケースが目立ちます。
例えば、映像授業を視聴することに時間をかけすぎて問題演習を疎かにしたり、基礎固めが不十分なまま試験に臨むことで、実践的な知識の応用力が不足することがあります。
また、短期集中型の学習に依存し過去問の丸暗記に終始するなど、応用力を養う時間が取れない場合も多いです。
さらに、情報収集が不十分で古い教材を使い続けたり、最新の試験傾向やガイドラインの変化に対応できていなかったりすることも、不合格につながる要因となっています。
このような課題を克服するためには、長期的かつ計画的に学習を進め、科目ごとの進捗管理や過去問演習を通じて弱点を把握し重点的に対策することが重要です。
また、最新の教材を活用し、常に新しい知識を取り入れることも欠かせません。

学習環境が整っていない

学習環境が整っていないことも、医師国家試験で不合格となる大きな要因の一つです。
具体的には、集中して勉強できる場所が確保できなかったり、周囲からのサポートや理解が十分に得られなかったりする場合が該当します。
たとえば、自宅の環境が勉強に適していなかったり、スマホやSNSなどの誘惑が多くて学習の妨げになってしまうことがあります。
また、勉強仲間や指導者がいないことで、モチベーションの維持が難しくなったり、効率的な学習方法を共有できなかったりすることも不利に働きます。
こうした環境を整え、計画的かつ継続的に学習を進めることで、合格の可能性は大きく高まるでしょう。

医師国家試験に合格に向けた効果的な学習方法

ここからは、医師国家試験に合格に向けた効果的な学習方法を5つご紹介いたします。

長期的な学習計画を立てる

医師国家試験に合格するためには、まずしっかりとした長期的な学習計画を立てることが欠かせません。
これは、試験範囲が非常に広く膨大であり、一夜漬けや短期間の集中学習だけでは対応しきれないためです。
そのため、計画的に学習スケジュールを組み、各科目に必要な時間を配分しながら効率よく知識を定着させましょう。
また、長期的な視点で学習を進めることで、基礎から応用まで段階的に理解を深め、試験で求められる応用力や問題解決力も養うことができます。
さらに、定期的に進捗を振り返り、計画を見直すことで、自分の弱点を把握し、重点的な対策に取り組むことが可能です。

過去問題を効率的に活用する

次に過去問題を効率的に活用しましょう。
過去問題を繰り返し演習することで、試験の出題傾向や問題形式に慣れ、実践的な解答力を養うことができます。
また、自分の弱点や理解が不十分な分野を把握し、重点的に対策を進められる点も大きなメリットです。
さらに、過去問を解いた後は、ただ答え合わせをするだけでなく、なぜその答えが正しいのかをしっかり理解することが大切です。
解説をしっかり読み込み、関連知識の確認や疑問点の解消を行うことで、知識の定着がより確実になります。

弱点分野を重点的に強化する

次に弱点分野を重点的に強化しましょう。
試験範囲は広く、多くの分野が出題されるため、すべてを完璧にするのは難しいですが、弱点を放置しておくと合格ラインに届かないリスクが高まります。
過去問や模試を活用して苦手な分野を明確にし、その部分に時間と労力を集中させることで効率的な学習が可能になります。
弱点克服のためには、基礎から丁寧に復習し、理解を深めることが大切です。
また、繰り返し問題演習を行うことで、知識の定着と応用力の向上を図れます。

目標を共にする人と一緒に学習する

次に同じ目標を持つ仲間と一緒に学習することも効果的な学習方法の一つです。
仲間と学習することで、お互いに質問し合い、理解を深めることができるほか、効率的な学習方法や情報交換も可能になります。
また、切磋琢磨する環境は集中力を高め、勉強に対する緊張感や責任感を持つことにもつながります。

模擬試験を通じて実践力を養う

最後は模擬試験を積極的に活用し、実践力を養いましょう。
模擬試験は、試験本番と同じ環境や時間制限の中で問題に取り組むことで、試験形式に慣れるだけでなく、時間配分や解答ペースの調整能力を身につけることができます。
また、模擬試験の結果を分析することで、自分の理解不足や弱点を明確にし、重点的な復習や対策につなげることが可能です。
定期的に模擬試験を受けることで、実力の変化を把握し、計画的に学習内容を見直すこともできます。

まとめ

今回は、医学部生や医師を目指す方向けに医師国家試験の難易度や落ちる人の特徴、効果的な学習方法などについて解説いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
医師国家試験は決して簡単な試験ではありませんが、正しい学習方法と計画的な努力を続けることで、必ず合格に近づくことができます。
今回の内容が、皆さんの学習の参考になり、合格への一助となれば幸いです。
これからも自信を持って、着実に目標に向かって頑張ってください。

記事一覧はこちら