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医学部留年率ランキング!留年しないための対策や進級しやすい大学も徹底解説

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カテゴリ:大学情報

医学部の留年率を知っていますか?医学部を目指す多くの方が気になっている事項の一つが医学部の留年率であるはずです。
せっかく医学部に入れても留年してしまったらどうしよう…、学費が無駄になってしまうのではないか…。
そんな悩みを皆さん一度は考えてしまったことがあるのではないでしょうか。
今回はそんな皆さんの疑問に答えるとともに、その主な理由や原因、またその対策を紹介していきたいと思います。

医学部留年率ランキング

まずは、国公立大学と私立大学それぞれの医学部留年率ランキングをご紹介いたします。

国公立大学医学部留年率ランキング

大学名 H29年度入学者数 最低修行年度での6年次在籍者数 最低修行年限での6年次進級率
1位 宮崎大学 110 72 65.5%
2位 福井大学 114 84 73.7%
3位 鳥取大学 115 85 73.9%
4位 奈良県立医科大学 113 86 76.1%
5位 九州大学 112 86 76.8%
6位 岐阜大学 119 93 78.2%
7位 熊本大学 116 92 79.3%
8位 香川大学 114 91 79.8%
9位 名古屋市立大学 97 78 80.4%
10位 弘前大学 132 107 81.1%

出典:https://melurix.co.jp/blog/info/medical/c869

1位から10位までをみてみると、10校中9校が西日本の大学となっています。
圧倒的に西日本の国公立大学医学部の進級率が低く、中でも宮崎大学は唯一ストレートでの進級率が7割を切っているため、医学部の中でも特に進級するための条件が厳しい大学といえるでしょう。
また、旧帝国大学医学部である九州大学が5位にランクインしていることから、入試難易度と留年率との相関関係はないと考えられます。

私立大学医学部留年率ランキング

大学名 H29年度入学者数 最低修行年限での6年次在籍者数 最低就業年限での6年次進級率
1位 杏林大学 117 79 67.5%
2位 埼玉医科大学 130 98 75.4%
3位 岩手医科大学 130 100 76.9%
4位 近畿大学 118 91 77.1%
5位 川崎医科大学 128 99 77.3%
6位 福岡大学 111 86 77.5%
7位 日本大学 122 95 77.9%
8位 昭和大学 119 102 80.3%
9位 帝京大学 127 102 80.3%
10位 北里大学 119 96 80.7%

出典:https://melurix.co.jp/blog/info/medical/c901

私立大学では、国公立大学以上に入試難易度とストレートでの進級率の相関性が高くなっています。
また、10校中5校が東京の大学であることが分かります。
私立大学医学部では最低修行年度での6年進級率を緩和させると、学力が不十分な学生も卒業し国家試験を受けることになり、その結果合格率が低下するという恐れがあるため、合格率維持のためにも進級条件を厳しくせざるを得ないといった背景もあるようです。

男女別の医学部留年率

続いて男女別の医学部留年率について解説いたします。

男女別で留年率は違う?

男女別の留年率には、多少の差があることが文部科学省や一部大学の内部資料、研究論文などで報告されています。
一般的な傾向としては、一部の国公立大学の調査において、男子学生の方が女子学生よりも留年率がやや高いという結果が見られます。
この違いの背景には、学習習慣、支援の求め方、メンタルヘルスへの対処方法など、複数の要因が関与していると考えられています。
一方で、女子学生は計画的に学習を進める傾向が強く、また、困難に直面した際にも周囲に支援を求めることが多いとされており、これらの要素が進級や成績に良い影響を与えている可能性があります。

男女別の留年率比較

2016年度とやや古いデータではありますが、大学における留年に関する男女差の詳細な調査がありますので、参考までにご紹介いたします。
この調査は、北海道大学、信州大学、名古屋大学を含む全国77大学、総学生数411,802人を対象とした大規模なものです。
その結果、男子学生の留年率は6.1%、女子学生は2.8%と、女子の留年率は男子の半分以下という顕著な差が見られました。
このような大きな差は意外に思われるかもしれませんが、休学率や退学率についても女子学生の方が低いという傾向が示されています。
もっとも、このデータは全学部を対象としたものであり、医学部に限定されたものではない点には注意が必要です。
それでも、全体傾向として男子学生の方が留年や学業の中断に直面しやすい可能性があることを示唆しているといえるでしょう。

医学部で留年しやすい理由と主な原因

次に医学部で留年しやすい理由には何があるのでしょうか?主な原因とともにご紹介します。

カリキュラムの過密さと難易度

医学部では6年間にわたるカリキュラムが非常に過密に組まれており、多くの大学では1科目でも単位を落とすと留年になるケースが少なくありません。
さらに、医学部の授業は各科目の内容も高度である点が特徴です。
1・2年次の低学年では主に基礎医学を学び、3・4年次の中学年になると臨床医学の学習が本格化します。
5・6年次の高学年になると実際の医療現場での臨床実験が始まります。
中でも基礎医学は特に難易度が高く、解剖学・生理学・生化学といった科目は非常に情報量が多く、広範囲の知識を習得する必要があります。
また、全学年を通じて実習が行われることが多く、講義と並行して実習に取り組まなければならない点も医学部特有の大変さの一つです。

試験制度の厳しさ

医学部では試験の数が非常に多く、1つひとつの試験の難易度も高いのが特徴です。
近年は、国家試験の合格率を上げるために、大学で行われる試験の難易度が年々上がってきている傾向があります。
また、留年に関する規定が厳しい大学も多いため、試験に力を入れて勉強する必要があります。
また、進級試験などになると1年間で勉強したことがテスト範囲になるので、暗記量は膨大なものになります。
一時の試験対策だけではしのぐことは不可能で、普段からの勉強習慣が大切になります。
しかし、勉強をしているのに単位を落としてしまうというところが医学部の試験の怖いところです。
過去問を手に入れて、効率よく勉強していきましょう。

メンタルヘルスの問題

カリキュラムの過密さや試験の多さ、実習の多さから医学生はスケジュール的に忙しくなります。
さらに厳しい試験、実習では準備が必要で多忙なスケジュールの中、勉強の時間も取らなければいけません。
連日徹夜なんてことも珍しくないでしょう。
そうなるとメンタルが不安定になります。
メンタルが不安定になると自己効力感が下がり、「自分だけ講義についていけてないかも」「今回の試験もダメかも」と不安が募り、悪循環が生まれてしまいます。
医学生の4人に1人にうつ症状やうつ病を抱えているというデータもあり、メンタル面の健康には注意する必要があります。

進級が比較的緩い医学部大学リスト

次に進級が比較的緩い医学部をご紹介いたします。

国公立大学編

大学名 H29年度入学者数 最低修行年度での6年次在籍者数 最低修行年限での6年次進級率
1位 岡山大学 112 112 100.0%
2位 名古屋大学 113 110 97.3%
3位 琉球大学 117 113 96.6%
4位 東京大学 110 106 96..4%
5位 信州大学 120 115 94.7%
6位 京都大学 113 107 94.0%
7位 金沢大学 117 110 94.0%
8位 大分大学 110 103 93.6%
9位 三重大学 125 117 93.6%
10位 浜松医科大学 119 110 92.4%

出典:https://melurix.co.jp/blog/info/medical/c869

名古屋大学、東京大学、京都大学などの旧帝国大学は比較的進級しやすい大学になります。
また、岡山大学は進級率が100%となっているため、留年になる可能性は極めて低いのではないといえます。

私立大学編

大学名 H29年度入学者数 最低修行年度での6年次在籍者数 最低修行年限での6年次進級率
1位 順天堂大学 138 133 96.4%
2位 東北医科薬科大学 100 96 96.0%
3位 国際医療福祉大学 140 134 95.7%
4位 慶應義塾大学 114 108 94.7%
5位 自治医科大学 123 116 94.3%
6位 東京慈恵医科大学 110 103 93.6%
7位 東京女子医科大学 114 107 93.9%
8位 聖マリアンナ医科大学 115 105 91.3%
9位 東海大学 119 105 88.2%
10位 東邦大学 115 100 87.0%

出典:https://melurix.co.jp/blog/info/medical/c901

上位に並んでいる大学は偏差値上位校が多くなっています。
偏差値上位校は学力の高い学生が多く、授業や試験に対応できるため留年が起きにくく、大学側も進級で学生を選別する必要がありません。
そのため、偏差値が高い私立医学部ほど、6年間ストレートで進級しやすい傾向があるといえます。

進級の緩さと医師国家試験合格率の関係性

医学部における「進級の緩さ」と「医師国家試験の合格率」には、密接な関係があります。
進級の基準が比較的緩やかな医学部では、知識や学力に不安のある学生でも次の学年へ進むことができる場合があります。
しかし、そのような学生が卒業を迎えても、医師国家試験に必要な学力が十分に備わっていないことが多く、結果として国家試験の合格率が下がる傾向にあります。
一方で、進級判定が厳しい大学では、学年ごとの試験や出席などに対するハードルが高く、基準を満たさない学生は留年や退学となることもあります。
これにより、卒業までにふるいにかけられ、国家試験を受験する段階では、一定以上の実力を持った学生のみが残るため、自然と合格率が高くなる傾向があります。
このように、進級の厳しさは国家試験の合格率を左右する大きな要因となっており、各大学が「進級の厳格さ」と「国家試験合格実績」のバランスをどう取るかは、教育方針の重要な一環となっています。

医学部での留年しないための効果的な対策

次に、医学部での留年しないための効果的な対策について見ていきましょう。

学習計画や時間管理のコツをつかむ

まずは、長期的、中期的、短期的の3段階にわけて計画を立てていきましょう。
定期試験、CBT、OSCE、解剖実習、臨床実習などの山場となる時期を把握し、そこから月間、週間、日間などの中期的、短期的な計画を立てましょう。
試験1ヶ月前には全範囲を一通り終えて、復習に切り替えるといった目標を立て、計画的に試験に取り組んでいきましょう。
また、すべてを完璧にこなそうとするのではなく、優先順位をつけて解いていきましょう。
1番に必修や頻出分野、次に苦手分野、最後にその他の分野などに分けてみましょう。
そうすることで、効率よく学習することが可能になります。

効率的な勉強法を実践する

医学部のように情報が多く試験範囲も膨大である場合には、知識を効率よくインプットし、確実にアウトプットする勉強方法が重要になってきます。
3:7くらいの割合でアウトプット中心の勉強方法を行っていきましょう。
何も見ずに白紙の用紙に今日学んだことを書き出していったり、友達に説明できるかを試していったりとアウトプットの方法は多く存在しています。
また、1日後→3日後→1週間後→2週間後といった効果的な復習のタイミングで復習を行っていきましょう。
一度で完璧に理解しようとせずに複数回に分けて学習していくことも効果的な勉強方法の1つです。

先輩や教授との効果的にコミュニケーションを図る

先輩や教授との積極的なコミュニケーションは、成績向上や情報収集、モチベーション維持の面において非常に効果的です。
教授とのコミュニケーションでは、授業の内容が明確になったり、試験対策やレポートについての詳細やコツが掴めたりします。
研究室配属など後々にも関わってくるため、長期的で良好な関係を構築していきましょう。
先輩とのコミュニケーションでは、試験情報や過去問を入手することが可能であり、実習、進級、国試などリアルな体験を聞くことができます。
先輩、教授とのコミュニケーションにおいて、感謝の気持ちを忘れないように心がけましょう。

メンタルヘルスケアに取り組む

医学部生は、学業のプレッシャーや長時間の拘束、将来への不安からメンタルに不調を抱えやすいです。
そのため、セルフケアの習慣化と心理的サポートの利用が重要になってきます。
起床、就寝時間をできるだけ一定に保ち食事をきちんと取るといった生活リズムを整える方法や集中力の回復や睡眠の質の向上にもつながる運動の習慣化などがセルフケアの種類として挙げられます。
また、大学の学生相談室や友人に頼ることは心理的サポートの利用として挙げられます。
ほとんどの医学部に臨床心理士などの学生相談員が常駐しています。
自分の中で溜め込むのではなく、話すことによって自分の心を軽くしていきましょう。

まとめ

今回は、医学部の留年率というテーマで記事を書きました。
医学部での留年は学習量の多さや精神的負担が原因で誰にでも起こり得ます。
重要なのは、早めの対策と自己管理です。
計画的な学習、生活リズムの安定、メンタルケアを意識し、自分に合った方法で継続することが進級への鍵となります。
焦らず、自分に合ったペースで周りを頼りながらがんばっていきましょう。

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