医師国家試験の平均点推移【過去5年】合格基準やブロック別の傾向を解説
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カテゴリ:入試
医師を志す方にとって最も重要な医師国家試験ですが、医師国家試験の平均点は、試験合格基準を決定する重要な要素です。
試験の難易度や合格率、そして試験の質を評価する上で平均点は重要な指標となります。
この記事では、医師国家試験の平均点について最新の傾向と過去5年間の推移と各ブロック別に詳しく解説していきます。
医師を志す方にとって役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
医師国家試験の平均点は?
医師国家試験は毎年多くの医学生が挑む重要な国家試験です。
例年の合格点はおおよそ380点前後(約500点満点中)で推移しており、安定した基準が設けられています。
合格率も90%前後と高いものの、わずかな点差で合否が分かれる非常に厳しい試験です。
ここでは、医師国家試験の平均点について詳しく解説いたします。
合格基準との関係性
医師国家試験における平均点と合格基準は密接に関連しています。
近年の試験では、合格基準は約380点前後(500点満点中)に設定されており、受験者全体の平均点もそれに近い数値で推移しています。
例えば、第118回(2024年実施)の試験では合格基準が約382点、第117回(2023年実施)では約378点で、平均点もこれに近い約370〜380点台でした。
このように平均点と合格基準が近いことから、合格と不合格の差はわずかな得点差で決まることが多く、受験生にとっては一問一問の正解が非常に重要です。
試験の難易度や問題構成により多少の変動はありますが、基本的に合格ラインは安定しており、受験生は合格基準を超えるだけでなく平均点以上を目指すことが合格への確実な道と言えます。
最新の医師国家試験における平均点の傾向
近年の医師国家試験では、受験生の学力向上に伴い平均点が上昇する傾向が見られます。
例えば、第118回(2024年実施)では、一般・臨床問題の合格基準が前年より引き上げられ、受験生全体の平均点も約240点前後と高い水準を維持しました。
第119回(2025年実施)においても平均点は約230点前後で推移しており、過去数年の平均点は概ね230点から240点の間で安定しています。
この平均点の上昇は、受験生の学力レベルの向上や学習環境の充実が背景にあります。
しかし、合格基準もそれに伴い高められているため、平均点と合格点が近接する状態が続いています。
医師国家試験のブロック別平均点
医師国家試験は、A〜Fの6つのブロックに分かれて出題されます。
受験生によって、得意不得意の分野や試験当日の体調・集中力に差があるため、「どのブロックで得点できたか」「平均点はどれくらいだったのか」といった情報は、自己分析や今後の戦略に大いに役立ちます。
では、実際にブロックごとの平均点は公表されているのでしょうか?
結論:ブロック別平均点は公式には存在しない
医師国家試験のブロック別平均点は、試験を管轄する厚生労働省からは公式に発表されていません。
おそらく、多くの受験生が気になる情報ではないでしょうか。
ブロック別平均点を知ることによって、自分の立ち位置を把握できるだけでなく、今後の勉強方や対策の方針を立てるうえでも参考になりますよね。
そんな大事な情報がなぜ公表されていないのか詳しく解説いたします。
理由:なぜ公表されないのか?
厚生労働省の発表によると、医師国家試験の合否は、A〜Fの各ブロックごとに判断されるのではなく、以下の3つの基準に基づき総合的に判定されます。
① 必修問題の得点(絶対基準)
② 一般・臨床問題の得点(相対基準)
③ 禁忌肢の選択数
このように、合否判定はブロック単位ではなく、全体としての医学的知識と倫理的判断力が問われる形になっています。
厚生労働省がブロックごとの平均点を公表していないのは、受験生が「特定のブロックでの得点」ではなく、「医師として必要な総合的な知識と判断力の習得」に注力してほしいという意図があると考えられます。
仮にブロックごとの平均点が公表されると、それに一喜一憂する受験生が出てしまい、本来重視すべき全体的な学習のバランスが崩れる可能性があります。
このような理由から、ブロック単位の詳細な成績や平均点が公表されていないと考えられます。
代替指標:では、何を信じれば良いのか?
ただし、ブロック別の傾向を完全に把握できないというわけではありません。
大手予備校が提供する「自己採点サービス」では、実際の受験生のデータが数千〜1万人単位で集計されており、ブロックごとの得点分布や傾向を推定することが可能です。
このような非公式データは、あくまで目安ではありますが、公式発表よりも早く、かつ詳細な戦略立案ができるため、多くの受験生にとって有益な情報源となっています。
本質的な分析が重要
医師国家試験に合格するために本当に重要なのは、「ブロックごとの点数」ではなく、科目分野ごとの正答率や問題の難易度別分析をもとに、弱点を正確に把握し、効率よく対策を進めることです。
次の章ではデータをもとに、合否を分ける本当のポイントとは何かを詳しく解説します。
過去5年間の医師国家試験平均点の推移
続いて、過去5年間の医師国家試験平均点の推移について詳しく解説いたします。
年度別の平均点の変化
医師国家試験の年度別の平均点について公式発表はありませんでした。
しかし、合格基準点や合格率は公開されているので、それらのデータから各年の難易度や受験生の得点傾向をある程度推測することが可能です。
合格基準の推移と平均点の関係の変化
・合格基準
| 一般+臨床 | 必修 | |||
|---|---|---|---|---|
| 得点基準 | 得点率 | 得点基準 | 得点率 | |
| 第119回 | 221点以上/300点 | 73.7% | 160点以上 /200点 | 80% |
| 第118回 | 230点以上/300点 | 76.7% | 160点以上 /200点 | 80% |
| 第117回 | 220点以上/295点 | 74.6% | 160点以上 /200点 | 80% |
| 第116回 | 214点以上/297点 | 72.1% | 158点以上 /197点 | 80% |
| 第115回 | 209点以上/300点 | 69.7% | 160点以上 /200点 | 80% |
出典:https://www.gomec.co.jp/mec/kokushi/back_data/
一般と臨床の合格基準は、直近5年では69~77%を推移しています。
また、必修は80%が合格基準となります。
・合格率
| 新卒 | 既卒 | 全体 | |
|---|---|---|---|
| 第119回 | 95.0% | 59.0% | 92.3 |
| 第118回 | 95.4% | 58.9% | 92.4 |
| 第117回 | 94.9% | 55.2% | 91.6 |
| 第116回 | 95.0% | 54.0% | 91.7 |
| 第115回 | 94.4% | 54.5% | 91.4 |
出典:https://www.gomec.co.jp/mec/kokushi/back_data/
新卒は95%前後と高い合格率を保っています。全体でも9割以上が合格しており、安定した合格率です。
これらのことから、第115回(2021年)は合格基準点がおよそ69.7%とやや低めに設定されており、問題の難易度が比較的高かったことがうかがえます。
一方で、第118回(2024年)は合格基準点が76.7%と近年で最も高く、全体として得点しやすい問題が多かったと推測されます。
また、合格率はいずれの年も91~92%前後で推移しており、これは全体として一定の水準を保ちつつも、年ごとの得点分布に応じて基準点が調整されていることを示しています。
このように、平均点そのものは非公開であっても、合格基準点と合格率の変化を組み合わせて見ることで、試験の難易度や受験生の得点状況の傾向を読み取ることができます。
特に、基準点が高い年は問題の平易化、低い年は難化傾向を反映している可能性があり、今後の受験対策においてもこうした動向を注視していくことが重要です。
禁忌肢と平均点の関係性
医師国家試験における「禁忌肢(きんきし)」とは、患者に重大な障害を与える可能性がある選択肢や、法令に抵触する内容など、医師として選択すべきでない選択肢を指します。
これらの選択肢を複数回選択すると、不合格となる可能性があります。
禁忌肢と平均点の関係性として、禁忌肢の出題が増えると、受験生が誤って選ぶリスクも増加し、結果として平均点が下がる可能性があります。
特に、禁忌肢を正確に見抜く力が不足している受験生が多い場合、平均点が低下しやすい傾向があります。
禁忌肢は知識の浅さや誤解が露呈しやすい部分なので、これを正しく理解し除外できる力を養うことが、平均点以上の得点を目指すうえで重要です。
まとめ
今回は医師国家試験の平均点や最新の傾向と過去の推移などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
医師国家試験は年々傾向が変化しており、平均点の推移を把握することは効果的な学習戦略を立てる上で重要です。
最新の情報を活用し、計画的に対策を進めていきましょう。本記事が皆様の学習の一助となれば幸いです。

