英語の仮定法を完全解説!過去・完了・未来の使い分けと基本ルール
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カテゴリ:勉強・対策
英語学習者がつまずきやすい文法の一つに「仮定法」があります。
特に、過去・現在・未来での使い分けや、条件文との違いに混乱しがちです。
この記事では、仮定法の基本的な仕組みから、各時制ごとの使い方、代表的な例文までをわかりやすく解説していきます。
仮定法をしっかり理解することで、表現力や読解力が大きく向上しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
英語の仮定法とは?
まずは、仮定法とは何かについて詳しく見ていきましょう。
仮定法の基本的な意味
仮定法とは、現実とは異なる状況や、実際には起こらなかった出来事を仮に想像して表現するための文法です。
「もし〜だったら」「もし〜ならば」といった表現で用いられ、たとえば実際には雨が降っていない状況で「もし雨が降っていたら、出かけなかったのに」と言うような場合に使います。
直訳が難しく、通常の時制のルールとは異なる点が多いため、英語学習者にとっては少し難しく感じられるかもしれませんが、パターンを理解すれば応用もしやすく、現実と異なる状況を柔軟に表現できる便利な文法です。
直説法との違いと見分け方
仮定法と対になるのが「直説法」です。
直説法は、事実や現実のことをそのまま述べる表現で、普段の会話や文章の大半がこの直説法で成り立っています。
一方、仮定法は「事実でないこと」を話すため、使われる動詞の形や時制に独特のルールがあります。
見分けるポイントは、「話している内容が現実に起こっているか、起こっていないか」です。
現実に起きている・可能性が高い→直説法。起きていない・非現実的→仮定法、となります。
仮定法が使われる3つの時制一覧
仮定法には主に「現在の仮定」「過去の仮定」「未来の仮定」の3種類があります。
それぞれ、伝えたい時制によって使い方や文の形が異なります。以下に簡単な比較表を示します。
| 時制 | 仮定の内容 | 文の形の例 |
|---|---|---|
| 現在の仮定 | 今の現実とは違うこと | If I were rich, I would travel a lot. |
| 過去の仮定 | 過去の事実と違うこと | If I had studied, I would have passed. |
| 未来の仮定 | 未来のあり得る仮定(非現実) | If it were to rain, the event would be canceled. |
それぞれの文型をしっかり覚えておくと、場面に応じた仮定表現がスムーズに使えるようになります。
英語の仮定法過去の使い方と例文
次に、英語の仮定法過去の使い方と例文について説明していきます。
現在の事実と反する仮定を表す方法
仮定法過去は、実際には起こっていないこと、現実とは違うことを前提にして話すときに用いられます。
例えば、「もし私がもっと背が高ければ、バスケットボールが上手くできるのに」というように、「本当はそうではないけれど、もしそうだったら、、、」と仮定する表現です。
このような場合、現実ではないので「過去形」を使いますが、話している内容は過去のことではなく「今この瞬間の非現実」です。
「If + 主語 + 過去形」の基本構造
仮定法過去の基本構文は次のようになります。
If+主語+過去形,主語+would/could/might+動詞の原形
この構文で、if節の中では動詞を過去形に、主節では「would」「could」「might」などの助動詞と動詞の原形を使います。
【例文】
・If I had more free time, I would read more books.
(もしもっと自由な時間があれば、もっと本を読むのに。)
・If she knew the answer, she could help us.
(もし彼女が答えを知っていれば、私たちを助けられるのに。)
仮定法過去でのbe動詞の特別ルール
仮定法過去では、be動詞の「was」は使わず、主語に関係なくすべて”were”を使うのが基本です。
【例文】
・If I were you, I wouldn’t do that.
(もし私があなただったら、それはしないかな。)
この”I were you”は、ネイティブの会話でもよく出てくる定番表現です。
日常会話でよく使う仮定法過去の例文
日常会話でもよく登場する、使える例文を紹介します。
・If I had a car, I could go anywhere.
(車があったら、どこへでも行けるのに。)
・If he were taller, he might play basketball.
(彼がもっと背が高ければ、バスケットボールをするかもしれないのに。)
・If we lived in the city , life would be more convenient.
(もし都会に住んでいたら、もっと便利な生活なのに。)
英語の仮定法過去完了で過去の可能性を表現する
「もしあのとき〜していたら、結果は違っていたのに、、、」そのような過去のたらればを英語で表すには、仮定法過去完了を使います。
これは、実際には起こらなかった過去の出来事を想像して話すときに使う表現です。
ここでは、仮定法過去完了について詳しく説明していきます。
過去の事実と反する仮定を表す方法
仮定法過去完了は、「過去の事実とは違う状況を仮定する」ための表現です。
例えば、試験に合格しなかった人が「もっと勉強していれば受かっていたかもしれない」と言いたいとき、これがぴったり当てはまります。
実際には勉強しなかった=事実と異なる過去、そこに焦点を当てるのが仮定法過去完了です。
「If + 主語 + had + 過去分詞」の構造
仮定法過去完了の基本の形は以下の通りです。
If+主語+had+過去分詞,主語+would/could/might+have+過去分詞
この構造の中で、if節は「過去完了」、主節は「助動詞+have+過去分詞」で構成されます。
【例文】
・If I had studied harder, I would have passed the exam.
(もっと勉強していたら、試験に合格していただろう。)
・If she had left earlier, she could have caught the train/
(もっと早く出発していれば、電車に間に合っていたかもしれない。)
・If they had known the truth , they might have acted differently.
(もし彼らが真実を知っていたら、違う行動を取っていたかもしれない。)
仮定法過去と仮定法過去完了の違い
仮定法には主に「仮定法過去」と「仮定法過去完了」の2つがありますが、それぞれ扱う”時制”が異なります。
・仮定法過去は「今」の事実と異なる仮定(例:If I were rich , I would travel the world.)
つまり、「今どうだったら〜なのに」と言いたいなら仮定法過去、「あのとき〜していたら、〜だったのに」と言いたいなら仮定法過去完了を使います。
実用的な仮定法過去完了の例文
日常会話でも、過去の後悔や反省、振り返りの中で仮定法過去完了はよく使われます。
以下に、自然な表現の例をいくつか挙げてみましょう。
・If we had taken a taxi , we wouldn’t have been late.
(タクシーに乗っていれば、あんなミスはしなかったのに。)
・If I had listened to your advice, I wouldn’t have made that mistake.
(君のアドバイスを聞いていれば、あんなミスはしなかったのに。)
・If it had not rained, the game would have continued.
(雨が降らなければ、試合は続いていたはずだ。)
英語の仮定法現在と仮定法未来の使い方
英語の「仮定法」と聞くと過去や過去完了がよく取り上げられますが、実は現在や未来を扱う仮定法も存在します。
特に「仮定法現在」は提案や要求、願望などを表す場面で使われ、「仮定法未来」は非現実的な未来の出来事を想像するときに使われます。
ここでは、仮定法現在と仮定法未来の使い方について詳しく説明していきます。
仮定法現在で願望や提案を表現する
仮定法現在は、形式的でややフォーマルな印象をもつ表現ですが、会議や論文、ニュースなどの場面ではよく使われます。
この用法では、提案や命令、願い、必要性などを示す特定の動詞や形容詞の後に「that」節が続き、その中で動詞は原形になります。
「that + 主語 + 動詞の原形」の構造
仮定法現在の基本構文は以下のようになります。
主語+動詞(提案・要求・命令・願望)+that+主語+動詞の原形
【例文】
・I suggest that he go to the doctor.
(彼は医者に行くべきだと私は提案します。)
・It is essential that she be present at the meeting.
(彼女が会議に出席することが不可欠です。)
この構造では、三人称単数でも動詞に「s」はつきません。動詞の原形が使われるのが特徴です。
仮定法未来の特殊な形「were to」と「should」
仮定法未来は、現実には起こりそうにない未来の出来事を想定するときに使われます。
使われるのは、「were to+動詞の原形」または「should+動詞の原形」といった形です。
・If she were to quit her job, what would she do next?
(もし彼女が仕事を辞めるとしたら、その後どうするだろう?)
・If it should snow tomorrow , the event might be canceled.
(もし明日雪が降るようなことがあれば、そのイベントは中止になるかもしれない。)
どちらもやや堅い表現ですが、想像や仮定の幅を広げるためには非常に便利な構文です。
仮定法現在・未来の例文
仮定法現在【例文】
・The teacher recommended that he study more.
(先生は彼がもっと勉強するよう勧めた。)
動詞は三単現でも原形のままです。
仮定法未来【例文】
・Should+主語+動詞の原形 未来の仮定
万が一~なら(可能性が低い未来を仮定)
Should you need any help,please let me know.
(万が一お手伝いが必要なら、お知らせください。)
・If+主語+should+動詞の原形
上と同じく、万が一~ならの意味。丁寧な言い回しです。
If she should call,tell her I’m not available.
(万が一彼女が電話してきたら、私は不在だと伝えて下さい。)
・Were to+動詞の原形
実現する可能性が非常に低い(非現実的な)未来の仮定
If he were to win the lottery,he would travel the world.
(もし彼が宝くじに当たったら、世界を旅行するだろう。)
仮定法に似た表現と関連フレーズ一覧
仮定法に似た表現と関連フレーズ一覧を表にしました。
| 表現 | 意味 | 文法構造 |
|---|---|---|
| 1. I wish +仮定法 | 実現しそうにない願望 | I wish+S+過去形/過去完了形 |
| 2. If only +仮定 | 強い願望や後悔 | If only+S+過去形/過去完了形 |
| 3. As if / as though | 比喩 | As if+S+過去形/過去完了形 |
1. I wish~
・過去、現在の現実とは違うことを願うときに使います。
I wish は、仮定法と関係があり、「現実とは違う前提」を前提にして使います。
2. If only~
・「I wish」よりも感情が強い願望、後悔を表します。
「I only」も非現実的な条件を仮定しますので仮定法と同じように、過去形・過去完了が用いられます。
3. As if / As though~
・「まるで~であるかのように」という比喩的な表現。
動詞の時制により現実とのズレを表現しています。
英語の仮定法を使いこなすための学習方法
ここからは、英語の仮定法を使いこなすための学習方法をご紹介していきます。
例文の変換練習で仮定法を身につける
まずおすすめするのは、通常の文を仮定法に書き換える、という練習です。
【例文】
・I am busy now.
(私は今忙しい)
この文を↓
・If I weren’t busy, I would go out.
(もし忙しくなければ出かけるのに)
このように変換してみましょう。
このような練習を繰り返すことによって、仮定法特有の構文、現実との違いを理解できます。
自分で仮定の文を作ることで慣れていきましょう。
日常的な表現から仮定法を学ぶ
仮定法を難しい、と感じてしまう原因は、日常生活とかけ離れている例文ばかりに触れているからです。
ですから、身近な話題や自分の興味があるものを使って関心を深めて学ぶことが効果的でしょう。
自分の願望、状況を仮定法で表現できるようになりましょう。
SNSや日記に「こうなればいいのに」、「こんなふうだったらな」という内容を英語で書くこともお勧めです。
読解と聴解で仮定法の感覚を養う
仮定法をマスターするには実際ネイティブがどのように使っているかを観察してみることも良いです。
英語の小説、洋画、ドラマで自然に英語で会話をしています。
それらを積極的に取りこみ、多くの文脈に触れることによって仮定法がどう使われるかの感覚が自然に身につきます。
短い文章作成で仮定法を応用する
インプットのみの学習ですと、理解することは簡単ですが、使いこなすことは難しいです。
そこで、アウトプットの練習も必要になります。仮定法が使われている一文を自分で作ってみましょう。
自分の気持ち、空想を簡単に表す短い文で大丈夫です。
書き出した文は音読してみましょう。
声に出して発音する事で、実際の会話にも使えるようになります。
プロ講師による仮定法のアドバイス
仮定法が難解に感じる理由には、「現在の事を過去形で書く理由」や「過去の事を過去完了で表す理由」、さらに “if” の役割や “would” の使い分けの難しさが挙げられます。
また、It節を伴わない仮定法表現の訳し方にも戸惑う生徒が多いです。
医進の会では、生徒一人ひとりの理解度に合わせて、これらの疑問を丁寧に解消し、確実に得点源に変える指導を行っています。
仮定法でお悩みの方は、ぜひ医進の会にご相談ください。
まとめ
今回は、英語の文法「仮定法」について時制、例文、学習方法を基礎から応用まで詳しく解説いたしました。
似たような表現も沢山ありまぎらわしいですが、繰り返し練習して学ぶことで力が身につきます。
今回の記事で仮定法への理解がより深まり、これからの学習の役に立っていれば幸いです。

