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医学部への転部は可能?編入との違いや転部可能な大学、準備方法も解説

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カテゴリ:入試

医学部以外の学部から医学部への転部はできるのか、現在医学部に通っているが他大学の医学部に編入したいと考える方もいるでしょう。
本記事では、医学部への転部や編入を考えている方に向けて、転部・編入の方法、メリット・デメリット、準備のポイントなどを詳しく解説しています。
医学部への転部を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

医学部への転部・編入を考える理由

まず、医学部への転部・編入を考える理由について解説します。
結論からいうと、医学部への転部・編入は可能であるが非常に狭き門であり、一般的に難しいと言わざるを得ません。
医学部への転部・編入を考える理由の1つとして、1度医学部への夢を諦めたが、他の学部で学んでいくうちに医学への興味が捨てられなくなった、これまで考えていなかったが人の命を救う医師という仕事に魅力を感じるようになった、などが挙げられます。
一度医学部を諦めたが、何かしらのきっかけで転部・編入制度があることを知り、もう一度医学部を目指すきっかけになった人もいるでしょう。
他にも、医学部でも現在通っている大学では満足した知識や経験を得られず、他大学の医学部で学びたいなども編入をしたいと考えるきっかけになります。

医学部への転部と編入の違い

次に、医学部への転部と編入の違いについて解説します。

転部とは

医学部への転部とは、医学部以外の学部に所属している生徒が、医学部へ所属することです。
ごく一部の大学で、同じ大学内の学部から医学部への転部制度を設けている場合があります。
しかし、実施している大学は非常に少なく、転部できる人数もごくわずかです。
成績上位者のみが対象となるなど、非常に厳しい条件が設けられていることがほとんどです。
その理由として、医学部は専門性が非常に高く、基礎医学から臨床医学まで段階的に学ぶため途中からの合流が難しい、医学部の定員は国によって厳しく管理されており転部を受けれる余裕がない、他学部で取得した単位が医学部の専門科目にほとんど認められないなどが挙げられます。

編入とは

医学部編入とは、医学部以外の学部を卒業した人が、医学部2年次、または3年次に編入できる制度の事です。
現在編入が可能な国公立大学は30校近くありますが、私立大学は5校程度となっており国公立大学のほうが、盛んに編入制度が実施されていることがわかります。
編入制度は、他の学部で学んだ専門分野を活かし、医療の発展のために貢献してほしいという思いのもと始められました。
そのため、編入制度は多様なバックグランドを持つ人材を医学部に集めることを目的としています。

それぞれのメリット・デメリットを比較

転部と編入それぞれのメリット・デメリットを表にまとめました。

メリット デメリット
転部 ・転部するまでに取った単位を利用できる

・受験料や入学金がかからない

・キャンパスが変わらないなどこれまでの生活との変化が比較的少ない

・実施されている大学が限定的で、実施されていても、一部の学部からしか編入資格がないことが多い。

・難易度が高く、現実的ではない

編入 ・少ない入試科目で受験できる

・複数の国公立大学を受験できる

・6年間通う必要がない

・社会人であっても目指しやすい

・交友関係を築くことが難しい

・募集人数が少なく、倍率が高い

・受験科目が特殊

転部・編入ともに募集人数が少なく、倍率が高いため非常に難易度が高いことには変わりありません。
転部のメリットとしては、これまで通っていた大学にそのまま通い続けることができるため、手続きや入学金が必要でないことが挙げられます。
一方、編入では国公立の前期試験の場合、日程がすべて同じのため1つの大学しか受験することができませんが、編入試験の日程はそれぞれ異なっているため、複数の国公立大学を受験することができるのがメリットといえます。

医学部への転部が可能な大学と条件

ここからは、医学部への転部が可能な大学と条件についてご紹介します。

国公立大学

まずは国公立大学で医学部への転部が可能な大学をご紹介いたします。

試験内容・条件
東京大学 1、2回生のときの成績をもとに3年次以降の専攻を決める進振り制度(進学選択)が実施されており、理科Ⅲ類以外でも医学部への転部が可能だが、定期試験で平均9割以上とトップの成績を取る必要がある。
北海道大学 総合入試とよばれる文系・理系の区別のみの入試区分で入学した生徒は、一年次では教養科目を学び、その後専攻する学部に転部する。
1年次の成績をもとに移行点が与えられ、志望者のなかから移行点が上位のもののみが医学部に転部することができる。
千葉大学 大学在学中の成績だけでなく、入学時の大学入学共通テストや個別学力検査等の成績も加味されたうえで、面談や筆記試験が行われ転部することができる。
しかし、転部は医学部に欠員がでた場合のみ可能となっている。

上記の3つの国公立大学は、入学時に医学部でなくても医学部に転部することが可能です。
ですが、医学部以外でも入学が難しい国公立大学であるにもかかわらず、医学部は各大学の最難関学部であるため、転部の難易度はかなり高いでしょう。

私立大学

続いて私立大学で医学部への転部が可能な大学をご紹介いたします。

試験内容・条件
岩手医科大学 歯学部から医学部への3名以下の転部が認められており、歯学部以外の学部は認められていない。
2年次に進学する時期に転部が認められており、書類審査や学科試験、面接、小論文が必要である。
北里大学 転部や転入学が特例として認められることはありますが、これは非常に稀なケースであり、制度上も明確な定員が定められていません。
制度上可能であっても、実際には非常に狭き門であり、特例的な対応となることが多いです。
昭和医科大学 薬学部や保健医療学部から医学部への転部は、1年次から2年次への進級時に限って認められる可能性があります。
しかし、必ずしも認められるわけではなく、実際には許可されないケースも多いです。

上記の3つの私立大学は、入学時に医学部でなくても医学部に転部することが可能です。
ですが、認められない場合があるなどの条件が厳しく、定員なども定められていない大学もあるため、転部の難易度はかなり高いものだと思われます。

医学部編入のための準備

次に、医学部に編入するためにはどのような準備が必要なのかを見ていきましょう。

編入試験の種類や特徴を正確に把握する

まずは、編入制度をしっかりと理解するようにしましょう。
どの大学が医学部編入制度を実施しているかを調べ、受験資格の確認をすることが必要です。
多くの大学では、以下に示すような条件がある場合が多いです。
・大学を卒業、または卒業見込みであること
・自然科学分野の基礎知識があること
・TOEFL/TOEICスコアの提出が求められる場合もある
・年齢制限や職歴制限がある大学もある
自分が受験資格を満たしているのか確認するようにしましょう。
また、英語や自然科学、数学、小論文、面接など自分が編入したい大学での試験科目をしっかりと把握しておきましょう。

文系からの編入対策

文系出身者であっても、戦略的に準備すれば医学部編入は十分に可能です。
編入試験は主に国公立大学で実施されており、文系学士でも受験できる大学があります。
試験科目は英語、生命科学、化学が中心で、場合によっては物理も必要です。
これらはいずれも大学初年度レベルの基礎学力が求められるため、文系出身者は理系科目の基礎から丁寧に学び直す必要があります。
特に生命科学はほぼすべての大学で出題される科目であり、医学部編入試験の中心的な内容です。
独学が難しいと感じる場合は、医学部編入に特化した予備校を活用するのも一つの方法です。
また、小論文や面接も重要な選考要素です。小論文では、医療や社会問題に対する自分の考えを論理的に展開する力が求められ、面接では「なぜ文系出身でありながら医師を志すのか」という動機を明確に伝える必要があります。
医療現場での体験や、実際に医師と話す機会を持つことで、より具体的で説得力のある志望動機を構築することができます。
文系出身者には、文章力やコミュニケーション能力といった強みがあります。
これらは医師という職業においても非常に重要な資質であり、うまくアピールすれば他の受験者との差別化にもつながります。

理系から編入対策

理系出身者が医学部編入を目指す場合、基礎学力にアドバンテージがある一方で、医学部特有の出題傾向や面接・小論文への対策が合格の鍵を握ります。
編入試験では、英語・生命科学・化学が中心に出題されます。
理系学部での学習経験を活かせる部分も多くありますが、生命科学は医学部編入特有の出題形式(医療応用、実験考察、論述型問題など)があるため、過去問を分析しながら対策を行うことが重要です。
英語も一般的な学術英文だけでなく、医学系論文の読解が問われるため、専門用語や背景知識にも慣れておく必要があります。
さらに、小論文や面接では、医師を志す動機や医療に対する理解が重視されます。
理系的な知識だけでなく、人間性や倫理観も評価の対象となるため、医療現場の見学や医師との交流などを通じて、自分のビジョンを明確にしておくことが大切です。
理系出身という強みを活かしつつ、医学的視点や人間性をバランスよく備えることが、合格への近道となります。

医学部転部・編入のよくある質問(Q&A)

それでは医学部転部・編入に関するよくある質問とそれに対する答えを確認していきます。

転部・編入後の学生生活は?

医学部へ転部・編入を果たした後の学生生活は、一般的な学部とは大きく異なり、独特の緊張感と密度の高い学びが続きます。
特に、2年次や3年次からの編入者は、既に築かれたクラスの人間関係の中に途中から加わる形となるため、最初は環境への適応に苦労することもあります。
学業面では、専門科目の講義や実習が本格化しており、編入生には「短期間で多くのことを吸収する」柔軟さと粘り強さが求められます。
たとえ理系出身でも、医学特有の語彙や体系的な知識には初めて触れる内容も多く、日々の復習と継続的な学習が欠かせません。
また、試験の頻度も高く、定期試験・実技評価・レポート提出などが重なりやすいため、計画的な時間管理が必要です。
グループワークや実習を通じて協調性が求められる場面も多く、学力だけでなく人間関係の構築も学生生活を円滑に送る鍵となります。
一方で、編入生は社会経験や他学部での学びを持つ「多様な背景の持ち主」として、ポジティブに受け入れられることもあります。
自身の経歴を活かし、主体的に学びに取り組む姿勢が周囲から信頼され、学年全体に良い影響を与えることも少なくありません。
転部・編入後の学生生活は決して楽ではありませんが、強い動機と目的意識を持って臨めば、充実した学びの場となるでしょう。

医師国家試験受験資格は得られる?

医師国家試験の受験資格は、「大学の医学部医学科を卒業すること」が基本条件です。
つまり、転部や編入で途中から医学部に入った場合でも、その後に医学部医学科を正規に卒業すれば、問題なく受験資格が得られます。

年齢制限はある?

医学部への転部や編入について、大学側が明確な年齢制限を設けていることはほとんどありません。
出願資格として問われるのは、「学士の取得」「必要単位の修得」「出願時点での成績」などであり、年齢は基本的に問われません。

文系からの転部は可能?

文系から医学部への転部は可能な場合もありますが、非常に稀であり、大学ごとの規定や条件に大きく左右されます。
多くの大学では、医学部への転部は認められていないか、限定的な条件下でのみ許可されているため、文系学部からの転部は学問分野の違いや学力の差もあり、実際には非常に難しいとされています。
したがって、転部を目指すよりも、医学部の編入試験を受ける方法のほうが、より現実的で効果的な選択肢と言えるでしょう。

まとめ

今回は医学部への転部・編入の方法や転部可能な大学について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
医学部への転部や編入は募集定員が非常に少なく、競争が激しいため合格は容易ではありません。
多くの大学では、高い学業成績が求められ、特に医学部の専門科目が試験に含まれることが多いため、理系科目の十分な準備が必要です。
また、転部は進級のタイミングで一度だけのチャンスであることが多く、逃すと再挑戦が難しい点も覚えておきましょう。
さらに、編入後は新しい環境に適応する努力も求められます。
こうした理由から、事前の情報収集と計画的な準備が成功の鍵となります。

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