医学部追加合格や繰り上げ合格とは?国公立・私立別の実情、注意点などを徹底解説
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カテゴリ:入試
今回は、医学部における追加合格と繰り上げ合格についてご紹介していきます。
追加合格や繰り上げ合格などの言葉自体は聞いたことがある人は多いでしょう。
しかし、詳細を説明できるかといわれたらできない人が多いのではないでしょうか。
その実態について詳しくみていきましょう。
医学部志願生にとって非常に有益である情報を多く紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
医学部追加合格とは
まずは、医学部追加合格について説明していきます。
追加合格と繰り上げ合格の違い
最初に、追加合格と繰り上げ合格の違いについて説明しておきましょう。
どちらも定員に空きが出た際の欠員補充という点では共通していますが、いくつかの違いがあります。
大きな違いは、合格発表の時点で合格が決定しているかどうかです。
追加合格は、発表された時点ですでに合格が決定している人を指します。
一方、繰り上げ合格は、合格発表時にはまだ合格しておらず、欠員が出た場合に補欠合格者の中から順に合格の連絡が来る仕組みです。
また、選出方法にも違いがあり、追加合格は不合格者から、繰り上げ合格は先に述べた通りあらかじめ補欠として選ばれていた受験者の中から、成績などをもとに上位から順に選ばれます。
ただし、大学によって呼び方や選考方法が異なる場合もあるため、必ず志望校の公式サイトや入試要項を確認することが大切です。
国公立と私立の追加合格の特徴
国公立大学と私立大学では、追加合格の発表の仕方が大きく異なる場合があります。
国公立大学は後期試験がすべて終了した時点で、まとめて一斉に追加合格の通知を行うのが一般的ですが、私立大学はこれを複数回に分けて通知します。
また、私立大学は補欠合格制を取り入れてるところが多い一方で、国公立大学はそもそも制度自体を設けていない場合が多いです。
そのため、自分が志望する大学がどのような方式を採用しているのかを、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
追加合格はいつ通知されるのか
追加合格者は、正規合格者の中で入学を辞退した人が出た場合に、不合格者の上位から繰り上げで合格が決定される仕組みです。
そのため、正規合格者の入学手続きが終了したのち、数日から1ヶ月以内に追加合格が発表されることが多いです。
しかし、大学によって発表時期にはバラつきがあり、国公立大学では3月28日以降に追加合格者を発表するケースも見られます。
このような場合、入学手続きの締め切りが3月31日に設定されていることが多く、発表から手続きまでの期間が非常に短いため、特に注意が必要です。
見逃しを防ぐためのポイントとして、大学からの連絡をこまめに確認したり、合格後すぐに手続きができるように、必要書類などをあらかじめ準備しておくなど、チャンスを逃さないよう早めの準備とこまめな情報確認がとても大切です。
国公立医学部の追加合格の実情
次は、国公立医学部の追加合格の実情についてご紹介します。
追加合格が多い国公立医学部ランキング
2021~2024年度で追加合格が多かった上位3校をご紹介いたします。
大学名 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | 4年間合計 | |
1位 | 山梨大学 | 19 | 13 | 16 | 16 | 64 |
2位 | 新潟大学 | 5 | 9 | 4 | 4 | 22 |
3位 | 東京医科歯科大学 | 非公表 | 0 | 14 | 3 | 17 |
最も追加合格者が多い国公立大学は山梨大学です。
毎年、15人前後の追加合格者を発表しています。
山梨大学医学部は、前期試験がなく後期試験のみの実施となっており、国公立大学の中でも特殊な受験形態を採用しています。
そのため、後期試験の合格発表が遅くなり、受験生はそれまでに合格している他の大学への進学を決めてしまうことが多く、入学辞退者の数が多くなる傾向にあります。
次に追加合格者が多いのは新潟大学です。
新潟大学は、毎年4~9人程度の追加合格者を発表しています。
新潟大学は、東京から通いやすいという立地の良さもあり、首都圏の私立大学受験者の併願校として選ばれることが多いため、入学辞退者が多いとされています。
3番目に追加合格者が多いのは東京医科歯科大学です。
この大学では、合格者の一部が慶應義塾大学など他の名門大学に進学するため、毎年一定数の追加合格者が発表されます。
ただし、追加合格者の数は毎年大きく変動するため、注意しましょう。
前期試験と後期試験の追加合格の違い
国公立大学における前期試験と後期試験の追加合格にはいくつかの重要な違いがあります。
まず、合格者選出のタイミングと方法に関して、前期試験では正規合格者の入学手続き後に定員に空きが生じた場合、不合格者の中から成績順で追加合格者が選ばれます。
一方、後期試験では、後期試験の受験者が入学手続きを終えた後に空席が出た場合に追加合格が決定されます。
また、前期試験後に他大学へ進学した受験生の辞退も影響することがあります。
次に、発表時期と進学手続きについてですが、前期試験の追加合格は2月下旬から3月初めに発表され、入学手続きの締め切りは3月末に設定されることが一般的です。
このため、追加合格発表から手続き終了までの期間が非常に短くなることが多いです。
後期試験の追加合格は、通常、3月中旬から下旬に発表され、その後の進学手続きの締め切りも非常に短期間になることが多いため、注意が必要です。
最後に、追加合格者数ですが、前期試験では追加合格者数が比較的少なく、正規合格者の辞退者数や手続き状況に左右されます。
対して、後期試験では、進学先を決めた受験生が他の大学へ進学することにより空席が増えるため、追加合格者数が多くなることがあります。
このように、前期試験と後期試験では追加合格に関するタイミングや条件、発表時期に大きな違いがあるため、それぞれの特徴をしっかり理解しておくことが重要です。
地域枠と一般枠の追加合格状況
医学部の受験には、地域枠と一般枠が設けられている大学が多く、それぞれ異なる特徴があります。
地域枠は、大学卒業後に指定された地域で一定期間医師として勤務することが求められる制度で、学費の免除や入試倍率の低下などのメリットがあります。
そのため、地域枠を受験する学生は、第一志望として受験することが多く、卒業後の進路に対する意識が強いため、合格発表後の辞退者が比較的少ない傾向にあります。
これに対して、一般枠の受験生は、地域枠に比べて自由度が高く、入試倍率が高いため、辞退者が出やすく、その結果、一般枠での追加合格が発生することが多くなります。
つまり、追加合格者の多くは、一般枠からの入学辞退者により、追加合格が決まるという形が一般的です。
地域枠での追加合格者数が少ない理由として、地域枠受験者の辞退者数が少なく、そのため追加合格が発生しにくいという点が挙げられます。
私立医学部の追加合格の実情
続いて、私立医学部の追加合格の実情についてご紹介します。
追加合格が多い私立医学部ランキング
2021~2024年度で追加合格が多かった上位5校をご紹介いたします。
大学名 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | 4年間合計 | |
1位 | 北里大学 | 194 | 169 | 187 | 275 | 825 |
2位 | 東北医科薬科大学 | 非公表 | 186 | 236 | 237 | 659 |
3位 | 日本大学 | 88 | 131 | 136 | 166 | 521 |
4位 | 愛知医科大学 | 106 | 89 | 137 | 94 | 426 |
5位 | 金沢医科大学 | 58 | 108 | 63 | 104 | 333 |
最も追加合格者が多い私立医学部は北里大学医学部です。
この大学は繰り上げ合格者数が年によって大きく変動する特徴があり、過去には繰り上げ合格者が100人に満たない年もありましたが、近年ではその数が増加しています。
特に2024年度には194人と増加傾向を示しており、注目されています。
次に追加合格者が多いのは東北医科薬科大学です。
医学部が2016年に新設され、近隣に東北大学があるため、併願する受験生が多く、その結果、定員に達した後でも追加合格が多くなる傾向があります。
2024年度の追加合格者数は公表されていませんが、例年の傾向を考えると、一定数の追加合格者が出る可能性が高いと見られています。
続いて、日本大学医学部も規模が大きく、毎年多くの受験生を受け入れているため、繰り上げ合格者数が多いことでも知られています。
しかし、2024年度には繰り上げ合格者数が88人に減少しました。
この減少にはいくつかの要因が考えられますが、受験生の進学先の決定が早期に進んだり、定員調整が影響した可能性もあります。
また、東京慈恵会医科大学、国際医療福祉大学、岩手医科大学も比較的多くの追加合格者を出していることが確認されています。
これらの大学は追加合格を出すことが多く、受験生にとってはチャンスの一つとなっています。
ただし、同じ大学でも年度によって追加合格者数は大きく変動することがあります。
また、募集枠や受験生の動向によっても、追加合格者数が影響を受けることがあるため、前年度に多くの追加合格者が出たからといって、必ずしも翌年も同じ結果になるわけではありません。
そのため、追加合格を期待する際には、過度の期待は避け、柔軟に対応することが重要です。
補欠番号の見方や意味
補欠情報を確認する方法は、大学の公式サイトで発表されることが多く、電話連絡や郵送で通知される場合もあります。
補欠番号は大学によって表示方法が異なり、一部の大学では補欠番号を公表しないことがあります。
表示方法は、補欠の順番が回った人数を表す「〇人程度」「〇人前後」「〇番台」などや、大学が正式に発表した繰り上げ合格者数または繰り上げ連絡者数を表す「〇人」などです。
大学が正式に公表していない場合は「不明」と表示されます。
また、国際医療福祉大学では「群」で表示される場合もあります。
このように、補欠の扱いや情報の表示方法は大学ごとに異なるため、合格者や補欠に関する情報をしっかり確認することが大切です。
一般選抜と共通テスト利用選抜の追加合格の違い
一般選抜と共通テスト利用選抜の追加合格は、どちらも合格者の辞退や入学手続きの未完了により定員に空きが生じた場合に行われますが、選考基準に違いがあります。
一般選抜は、主に筆記試験や面接などの個別試験の成績で選考されます。
そのため、追加合格者も個別試験の成績順で選ばれることになります。
つまり、追加合格が決まる際には、受験生の個別試験での成績が重要な基準となります。
一方、共通テスト利用選抜は、共通テストの成績を中心に選考されます。
このため、追加合格者は共通テストの成績が重視され、共通テストの成績順に選ばれることになります。
つまり、一般選抜と共通テスト利用選抜では、追加合格者を選出する基準が異なり、一般選抜は個別試験の成績、共通テスト利用選抜は共通テストの成績が主に影響する点が大きな違いです。
追加合格後の注意点
次に追加合格後の注意点をご紹介いたします。
入学手続きの期限と必要書類を把握する
追加合格が決定したら、すぐに大学へ連絡し、入学手続きについて確認しましょう。
必要な書類や手続き方法、提出期限をしっかりと把握しておくことが大切です。
また、入学金や前期学費の支払い期日も確認し、期限内に手続きや支払いを済ませましょう。
奨学金を利用する場合は、申請手続きについても忘れずに確認し、早めに準備を進めるようにしましょう。
正規合格者とは異なり、期限に余裕がないことが多いため、迅速に行動することが求められます。
他大学との併願状況を整理する
複数の大学を受験した場合は、合格状況をきちんと把握しましょう。
複数の大学に合格している場合は、どの大学へ進学するのか決定し、進学する大学以外の大学は辞退する必要があります。
辞退する場合は、各大学の定める辞退手続きを行う必要があります。
辞退希望の大学へ連絡し、期限内に辞退手続きを行いましょう。
辞退した場合、入学金は返金されないこともありますので、事前に確認しておきしましょう。
追加合格先での学習準備を進める
追加合格となった大学へ進学するのであれば、進学先の学習準備を始めましょう。
まずは大学の公式サイトや入学案内を確認し、医学部のカリキュラムや1年目の授業の進行具合、内容を把握しておきましょう。
教科書や教材を準備し、事前に目を通すことで授業をより理解しやすくなります。
また、授業で扱う科目の問題集や過去問を準備し、復習や演習を行うことで知識を深めることができます。
図書館を積極的に活用し、さらに学びを深めましょう。
もし遠方からの進学で寮や下宿への引っ越しがある場合は、大学生活に必要な準備を済ませ、体調を崩さないように早めに生活リズムを整えておきましょう。
まとめ
今回は医学部における追加合格と繰り上げ合格についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
繰り上げ合格は、医学部受験が残念な結果に終わった場合の第二のチャンスとなります。
しかし、補欠合格者が必ずしも繰り上げ合格となるわけではありません。
また、繰り上げ合格が決まった場合、入学手続きや学費の支払い期限が迫っているため、迅速な対応が求められます。
第二のチャンスをしっかり活かせるよう、補欠合格となった際の対応を早めに決めておくことが大切です。