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難易度が高い診療科とは?医師が働くのが難しいと考える診療科も解説

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カテゴリ:基礎知識

医師にとって診療科選びは今後の人生を大きく左右する決断の一つです。
希望の診療科があって医師になる人も多いと思いますが、中には実際の忙しさを知って診療科を決めたいという人やまだ進路を迷っている人もいるでしょう。
本記事では難易度が高い診療科や働くのが難しい診療科、勤務時間が長い診療科や短い診療科について詳しく解説しています。
記事内では転科が可能かどうかについても詳しくまとめているため、どの科に進もうか迷っている方や転科を考えている方は必見です。

診療難易度が高い診療科とは?

まずは、診療難易度が高い診療科について紹介します。

脳神経外科

脳神経外科は、脳や血管などの繊細な臓器に対して、顕微鏡を用いた手術を行うため、高度な技術が必要となり、診療技術の難易度がとても高い診療科の一つです。
また、神経系の治療は全身の影響を考慮する必要があり、膨大な知識量を要求されます。
また、専門医が少なく、圧倒的に呼び出しが多い、常に救急で呼び出されている等の声も寄せられています。
脳神経外科は、体力、知力、技術の3点全てが要求される診療科のようです。

心臓外科及び麻酔科

心臓外科と麻酔科は、いずれも高度な専門性と技術が求められる診療科です。
心臓外科は心臓や血管という非常に繊細な臓器を扱い、心臓を直接操作するためリスクが高く、高度な手術技術と深い医学知識が不可欠です。手術は長時間に及ぶことが多く、集中力と体力も求められます。
麻酔科は全身麻酔や局所麻酔、神経ブロックといった多くの麻酔方法があり、それぞれに技術的な難易度が伴います。
また、麻酔には薬剤アレルギーなどによるアナフィラキシー反応や麻酔が深すぎた場合、呼吸抑制や心停止の状態が起こるなど常に合併症のリスクが伴います。
麻酔科医は、これらのリスクを事前に予測し、事前準備や術中の管理を徹底しなければなりません。
これらのことから心臓外科及び麻酔科は非常に難易度が高い診療科といえます。

医師が一番きついと思う診療科ランキング

次に、医師が一番きついと思う診療科ランキングについて紹介します。

◇どの科も同じ

順位 回答 占有率
どの科も同じ 24.4%
産婦人科医 21.9%
外科医 14.5%
救急科医 11.6%
小児科医 7.1%

引用元:「メドピア株式会社」https://ishin-kai.info/record/voice/morikawa/

最も多かった意見は「どの科も同じ」で、全体の4分の1を占めました。
理由としては、何科でも同じくらい、勤務している病院の勤務形態や配置されている人数による、本人の受け止め方によるなどの意見がありました。

産婦人科

次に多かった意見は「産婦人科」でした。
理由としては、訴訟のリスクが高い、産科では24時間待機で労働時間が不規則などの意見がありました。

外科医

3番目に多かった意見は「外科医」でした。
理由としては、緊急手術が多く家に帰ることさえできない、手術をして術後管理や外来フォローもされていて勤務時間が長すぎるなどの意見がありました。

学会や研究会の参加が多い診療科とは?

医師が学会や研究会へ参加する診療科は、専門分野の特性や最新医療の情報の習得を求められる分野に多いです。
その中で特に参加が多い診療科を紹介します。
まずは消化器内科・外科です。消化器系の疾患は一般的であり、関連する学会や研究会が他の診療科よりも多く存在しています。
次に循環器内科です。
心血管系の疾患は、高い関心を集めているので、循環器専門医のための学会や研究会が活発です。
例でいうと脳心血管抗加齢研究会などです。
次に腎臓内科です。
腎疾患の専門医は、腎癌研究会などの専門的な研究会に参加し、最新の研究や治療法について情報交換をしています。
次に神経内科です。
脳卒中や認知症などの神経系疾患に関連する学会や研究会が活発であり、専門医のスキル向上や最新の情報の共有が行われています。
次に糖尿病内科です。
糖尿病の専門医は、糖尿病学会などにも参加しており、最新の治療法や研究結果について学び、情報交換を行っています。
これらの診療科は最新の医療法や専門知識の深化を目的として、学会や研究会への参加が推奨されています。
これらの活動により、より良い医療を提供することが期待されます。

診療科ごとの勤務時間の長さの違い

次に、診療科ごとの勤務時間の違いについてご紹介していきます。

勤務時間が長い科

勤務時間が長い診療科には、外科、脳神経外科、救急科が主に挙げられます。
これらの診療科の勤務時間がなぜ長いのか、詳しく説明していきます。

外科

外科医の勤務時間が長い理由は他の診療科と比べて、緊急度の高い業務があることや手術に長い時間を要すること、夜勤などがあることが原因と考えられます。

脳神経外科

脳神経外科の勤務時間が長い理由は、手術の件数が多いだけでなく、緊急性が高い疾患も扱うからです。
1週間当たりの労働時間の平均は53.3時間で、救急科の次に勤務時間が長いです。

救急科

救急科は患者が救急搬送されてくるので、搬送のタイミングや重症度が予想できないです。
急変や緊急手術の場合に病棟での業務が後回しになってしまうので、結果的に長時間勤務になってしまいます。

勤務時間が短い科

勤務時間が短い科は、臨床検査科、精神科、リハビリテーション科が主に挙げられます。
これらの診療科の勤務時間がなぜ短いのか、説明していきます。

臨床検査科

臨床検査科は厚生労働省の「第9回 医師の働き方改革のマイシンに関する検討会」で、臨床検査科の週当たりの勤務時間が最も少なく、46時間10分と報告されています。

精神科

精神科の労働時間は、他の診療科と比べて短いと言えます。
臨床検査科の次に勤務時間が少ないです。その理由は、緊急の対応や、手術の業務が少ないこと、夜間や休日の勤務が少ないことです。

リハビリ科

リハビリテーション科は、臨床検査科、精神科に続いて勤務時間が少ない診療科です。
リハビリテーション科は、外来のみの対応なので、比較的勤務時間が短くなります。

医師は転科するのが難しい?

医師の転科は、診療科目やこれまでのキャリアによって難易度が変わってきます。
病院やクリニックの受け入れの状況によっても左右されるでしょう。
例えば、消化器外科から消化器内科の場合は、知識、技術の面で共通点が多いので、比較的簡単に転科できます。
内科から皮膚科、精神科、耳鼻科、婦人科への転科は難しいです。
また、違う病院に転科するのか同じ病院内で転科するのかによっても変わってきます。
他には、過去に転科した人が在籍している場合、転科について理解されやすいため、転科した人がいないよりも働きやすいと考えられます。
転科はかなり難しいことですが、どうしても、という場合は若いうちにしておいた方が良いでしょう。

まとめ

今回は診療科ごとの難易度や働く時間量について解説しました。
ですが、医師の仕事は予測できないことにも柔軟に対応しなければならなかったり、膨大な知識の量が必要になってくるので、どの科でもそれぞれ違ったしんどさがあるでしょう。
他には、病院や勤務の形態にも左右されると思います。
それぞれにあった働き方や診療科を見つけて、無理なく働くことが大切だと言えるでしょう。

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