医師国家試験に不合格になる人の特徴とは?合格率の推移や現状、対策法も徹底解説
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カテゴリ:基礎知識
医師になるためには、医学部卒業後の医師国家試験に合格することが必要十分条件となります。
しかし、医師国家試験は非常に難易度が高く、毎年一定数の受験者が不合格となっているのが現状です。
本記事では、医学生や将来医師を目指す方々に向けて、医師国家試験で不合格となる受験者に共通する特徴や、陥りがちな失敗パターンについて詳しく解説していきます。
また、不合格を回避するために有効な学習方法や心構え、日々の勉強の進め方など、実践的な対策についても紹介しています。
これから試験を受ける方や不安を抱えている方は、ぜひ本記事を参考にして合格に向けた準備を万全に整えましょう。
医師国家試験不合格の現状
まず最初に、医師国家試験の合否の現状について詳しく見てみましょう。
医師国家試験の合格率の推移
2025年医師国家試験における合格率は92.3%であり、残念ながら8%ほどが不合格でした。
以下に、直近の合格率の推移をまとめました。
年度 | 出願者数 (人) | 受験者数 (人) | 合格者数 (人) | 合格率 (%) |
---|---|---|---|---|
2025 | 10,544 | 10,282 | 9,486 | 92.3 |
2024 | 10,614 | 10,336 | 9,547 | 92.4 |
2023 | 10,586 | 10,293 | 9,432 | 91.6 |
2022 | 10,353 | 10,061 | 9,222 | 91.7 |
2021 | 10,160 | 9,910 | 9,058 | 91.4 |
新卒生および既卒生の合計での人数と合格率を示しており、既卒生のみでは、合格率は59.0%(2025年度)とかなり下がってしまいます。
また、卒業から年数が経過するとともに合格率も下がる傾向にあることがわかります。
不合格者数の統計
続いて、不合格者数について詳しく見てみましょう。
年度 | 不合格者数 | ||
---|---|---|---|
全体 | 新卒 | 既卒 | |
2025 | 796 | 478(9,507) | 318(775) |
2024 | 789 | 441(9,489) | 348(847) |
2023 | 861 | 487(9,459) | 374(834) |
2022 | 839 | 458(9,232) | 381(829) |
2021 | 852 | 510(9,159) | 342(751) |
※表()内の数値は受験者数
全体の不合格者数は増減しながら、減少してきているようです。
2025年度は難易度が上がったこともあり、2024年度よりは若干増加していますが、2021年度と比較するとかなり減少していることがわかります。
既卒生の合格率は59.0%ほどで横ばい状況で、40%ほどは不合格となっています。
新卒生でも毎年500人ほどの不合格者が出ているといった状況です。
医師国家試験に不合格となる人の特徴
では、医師国家試験に不合格になる人にはどのような特徴があるのでしょうか。
考えられる特徴を以下に4つ示します。
学習習慣と時間管理に問題がある
学習習慣や時間管理に問題があると不合格の要因となります。
医師国家試験は、決まった時間内で膨大な問題を解かなければなりません。
問題の難易度および配点などを判断して、時間配分を適切に行うことが重要です。
日頃の学習で適切な時間配分を判断できるよう時間管理能力を養っておかなければ、問題を解くことに追われ、学習効果を引き出すことができなくなってしまいます。
時間に追われることなく、日頃の学習の効果を発揮できるように時間管理能力を身につけましょう。
基礎知識が不足している
医師国家試験の合格を目指すためには、まず基礎医学の知識がしっかりと身についていることが不可欠です。
基礎知識が不足していると、臨床現場で求められる高度な理解力や応用力を試される国家試験に対応するのは非常に困難になります。
また、医学は解剖学・生理学・病理学・薬理学など多岐にわたる分野を含んでおり、単なる試験対策だけの短期的な勉強では、必要な知識を網羅することは難しいでしょう。
そのため、日頃からの積み重ねが重要であり、長期間にわたって継続的に学習を行い、実習や臨床経験を通じて実践的な理解を深めていくことが求められます。
知識の定着と応用力の強化を意識した学習こそが、合格への近道といえるでしょう。
問題解釈の能力がかけている
さらに、問題解釈能力が欠けていると、医師国家試験において問題文を正確に読み解くことが難しくなります。
医師国家試験の問題文は専門的かつ複雑な内容で構成されており、設問の意図を正しく把握できなければ、適切な選択肢を導き出すことは困難です。
文脈を読み取る力や論理的に考える力が不可欠であり、単なる知識だけでなく、それをどう活用するかという判断力も問われます。
そのため、日頃から出題傾向を分析し、どのように問われるのかを理解したうえで、正しい解答方法を導き出す練習を積み重ねるということが重要となります。
メンタル面で課題がある
加えて、メンタル面での課題が挙げられます。
試験直前や本番で強い不安や緊張に襲われると、普段の実力を発揮できず、冷静な判断ができなくなることがあります。
また、長期間の勉強によるストレスやプレッシャーから、モチベーションの低下や集中力の欠如に陥るケースも少なくありません。
自己肯定感の低さや過度な完璧主義も、精神的な負担を増やし、効率的な学習を妨げる原因となります。
心身の健康を維持しながら学習を継続することは、合格への大切な要素です。
適度な休息や気分転換、周囲のサポートを受けることも重要です。
不合格を防ぐための効果的な対策方法
ここからは、不合格を防ぐための効果的な対策方法について、5つの観点からご紹介していきたいと思います。
長期的な学習計画を立てる
医師国家試験で不合格を防ぐためには、長期的な学習計画を立てることが非常に重要です。
膨大な試験範囲を短期間で網羅するのは難しく、無計画な学習では知識の定着や理解が不十分になりがちです。
まずは試験日から逆算して、基礎知識の習得、応用問題の演習、過去問の分析、模試の活用といった各段階をバランスよく配置したスケジュールを作成しましょう。
また、自分の得意・不得意分野を把握し、弱点補強の時間も計画に組み込むことが効果的です。
メリハリのある行動を促す計画は、モチベーションの維持にも効果的です。
定期的に進捗を確認・見直すことで、より実践的で柔軟な学習が可能となり、合格への確かな一歩となります。
必修問題と一般・臨床問題をバランスよく勉強する
また、医師国家試験に合格するためには、必修問題と一般・臨床問題の両方をバランスよく勉強することが重要です。
必修問題は基礎的な内容が中心ですが、一定の正答率を下回ると不合格となるため、確実な得点が求められます。
一方、一般・臨床問題は応用力や実践的な判断力が問われるため、深い理解と経験に基づく知識が必要です。
どちらかに偏った学習では合格基準を満たすことができないため、計画的にバランスを取りながら学習を進めることが不可欠です。
日々の勉強では、必修問題で基本を確認しつつ、臨床問題で知識の活用力を鍛えると効果的です。
過去問や模試を活用し、出題傾向を意識した学習を行うことで、より実践的な力を養うことができます。
模擬試験のを効果的に活用する
さらに、医師国家試験の合格を目指すうえで、模擬試験を効果的に活用することは非常に重要です。
模試は本番を想定した形式で出題されるため、自分の現時点での実力や理解度を客観的に把握できます。
模試の結果から弱点や知識の抜けを明確にし、復習や今後の学習計画に反映させることがポイントです。
また、時間配分や問題の読み取り方など、実践的な対応力を養う機会にもなります。
模試を受けっぱなしにせず、必ず復習を行い、なぜ間違えたのか、どのように解くべきだったのかを分析することが大切です。複数回受験することで成績の推移も確認でき、自信にもつながります。
模擬試験は知識の確認だけでなく、試験慣れや精神的な準備にも有効なツールです。
オンライン学習で時間を有効に使う
医師国家試験対策において、オンライン学習を活用することで時間を有効に使うことができます。
通学や移動の時間を省略でき、自宅や空き時間に効率よく学習を進められる点が大きな利点です。
動画講義や問題演習、解説コンテンツなど、必要な学習内容を自分のペースで進めることができるため、理解が不十分な分野に重点を置いた学習が可能になります。
また、スマートフォンやタブレットを使えば、場所を選ばずに勉強できるため、スキマ時間も有効活用できます。
さらに、オンラインでは最新の出題傾向や模試結果の分析データを得やすく、学習の質を高めることにもつながります。
自己管理が求められる反面、計画的に活用すれば、合格に向けた大きな武器となります。
合格者の学習方法を参考にする
医師国家試験の合格を目指すうえで、実際の合格者の学習方法を参考にすることは非常に効果的であるといえます。
合格者は限られた時間の中で効率よく知識を定着させ、実力を発揮してきた経験を持っており、その学習スタイルやスケジュールの立て方、使った教材などは大きなヒントになります。
また、どのようにモチベーションを維持したか、試験直前に何を重点的に学習したかといった実践的なアドバイスは、自分の学習に応用しやすく、勉強の方向性に迷ったときの指針にもなります。
SNSやブログ、書籍、合格体験記などさまざまな情報源から複数の合格者の方法を比較することで、自分に合ったスタイルを見つけやすくなります。
成功事例を取り入れることで、合格への道のりをより確かなものにできます。
まとめ
本記事では、医学生や将来医師を目指す方々に向けて、医師国家試験で不合格となる受験者に共通する特徴や、よく見られる失敗パターンについて詳しくご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
合格を勝ち取るためには、有効な学習方法や心構え、日々の勉強の進め方など、実践的な対策を取ることが大切です。
これから試験を控えている方や不安を感じている方は、ぜひ本記事を参考にして、合格に向けた準備をしっかりと整えていきましょう。