【医学部受験】化学の勉強法とは?有機・無機・理論ごとの対策法・特徴について解説
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カテゴリ:勉強・対策
化学の知識は生物学や医学における多くの分野で重要な基盤となるため、ほとんどの医学部において必須科目の一つとなっています。
今回のコラムでは、医学部受験における化学の勉強法やその対策をご紹介します。
コラムでは、理科の選択を化学にすることの必要性や3つの分野別の特徴や対策法についても解説しているため、医学部受験を検討されているお子様・保護者様は是非ご参考ください。
目次
医学部受験で化学を選ぶ必要性は高い?
医学部の入試において「化学」が必須科目の一つとされる確率が高いため、化学を選択する必要性は非常に高いといえます。
理系の科目の中でも特に化学は、生物学と密接に関係するため、試験科目として選ばれやすくなっています。
生物学や物理学が必須である場合においても、化学を選ばなければ受験資格がないことが多いため、化学を選ぶ必要性は高いです。
また、医学分野では、薬理学や生化学、微生物学、臨床医学など幅広い研究において化学の知識が求められます。
これらの分野での研究や診療において、薬剤の作用メカニズム、病気の治療法など、化学的な理解が深いと有利に働くため、医学部入学後の観点からも化学を学んでおく重要性は高いといえるでしょう。
医学部入試の化学の範囲
医学部受験における化学の重要性が分かったところで、次に入試における化学の範囲の中から理論・無機・有機化学の観点から紹介していこうと思います。
理論化学
「理論化学」とは、化学現象や反応を数学的なモデルや理論に基づいて説明・予測する学問分野です。
実験的なデータに基づきながら、化学の原理を理論的に理解し、物質の性質や反応のメカニズムを数式やモデルを使って解析します。
理論化学の主な目的は、化学反応や物質の振る舞いを予測したり、未知の化学現象を解明することです。
これらによって、実験だけでは得られない情報を明らかにし、化学の理解を深めることができます。
物質の状態と平衡
「物質の状態と平衡」とは、化学や物理学において非常に重要な概念です。
物質の性質や反応がどのように進行し、どの状態で安定するのかを理解するための基本となっており、特に化学反応の進行や物質の相転移に関して深く関わっています。
物質がどの状態にあるか(固体、液体、気体)、そしてその物質が反応しているときにどのように平衡が達成されるかを理解することは、化学の基本的な理解に欠かせません。
また、化学平衡を制御することによって、産業や実験における反応の効率を高めることが可能になります。
物質の変化と平衡
「物質の変化と平衡」とは、化学や物理学の分野において重要な概念です。
物質は異なる状態(固体、液体、気体)や異なる化学組成に変化することがあり、その変化が進行する過程を理解することは非常に重要です。
特に化学反応や物理的な変化において、平衡がどのように達成されるかが関わってきます。
化学反応や物理的変化の進行は、平衡を達成することによって安定し、外部条件によってその平衡が変化することもあります。
化学や物理学の多くの現象を理解するためには、この平衡状態の概念が不可欠です。
無機化学
「無機化学」とは、化学の一分野であり、主に炭素を含まない化合物(炭化水素やその誘導体を除く)を研究する学問です。
無機化学は非常に広範囲にわたり、金属、非金属、鉱物、酸、塩、基礎的な化学元素の化合物など、多種多様な物質を対象とし、これらの物質の性質、構造、反応、および応用について探求しています。
無機物質の性質と利用
「無機物質の性質と利用」は、無機化学が扱う物質が非常に多岐にわたるため、無機物質の性質とその応用に関して幅広く理解することが重要です。
無機物質は、金属、非金属、酸化物、塩、鉱物など、さまざまな形態で存在し、それぞれが特有の性質を持ち、さまざまな産業や技術に活用されています。
特に、環境負荷の低減や新しい機能材料の開発が進んでおり、今後の応用にも期待が高まっています。
有機化学
「有機化学」とは、”炭素を含む化合物(有機化合物)”の構造、性質、合成、反応を研究する化学の一分野です。
炭素は独特の性質を持ち、多様な結合を形成するため、数百万種類以上の有機化合物が存在します。
炭素を中心とする化合物を研究する分野で、医薬品・プラスチック・燃料・食品など私たちの生活に深く関わっており、化学合成や環境に配慮した新素材の開発など、今後も発展が期待される分野です。
有機物質の性質と利用
有機物質は、主に”炭素(C)”を骨格とし、”水素(H)、酸素(O)、窒素(N)”などの元素と結びついた化合物です。
主な性質には、共有結合が主な結合形式(イオン結合より安定)、燃焼しやすい(多くが可燃性でCO₂とH₂Oを生成)、水に溶けにくいが有機溶媒に溶けやすい、異性体が多い(構造異性体・立体異性体など)、生体内でも重要な役割を果たす(タンパク質、DNA、ホルモンなど)が挙げられます。
これらの多様な性質を活かし、医薬品、プラスチック、食品、燃料など幅広い分野で利用されています。
高分子化合物の性質と利用
高分子化合物は、多数の単量体(モノマー)が共有結合で結びついた巨大な分子です。
主な性質としては、分子量が大きい、物理的・化学的性質が多様、加工が容易、高い耐久性、天然と合成の両方の存在が挙げられます。
自然界にも人工的にも存在し、プラスチック、繊維、ゴム、タンパク質など、多くの分野で利用されていますが、環境問題も懸念されており、リサイクル技術やバイオプラスチックの開発が喫緊の課題となっています。
医学部受験の化学における問題の特徴
続いては、医学部受験の化学における問題の特徴について詳しく解説していきたいと思います。
医学部受験における化学は、他学部の理系学部(工学・薬学など)と比べても難易度が高く、深い理解を求められるのが特徴です。
特に、計算問題・有機化学の構造決定・高分子化学の応用が重要視されます。
論述問題が出題される
医学部受験では、論理的思考力が重視されるため、記述・論述問題の割合が高いのが特徴です。
特に、実験考察問題では、誤差の要因や実験手順の理由を的確に説明する力が求められます。
また、化学反応の原理について「なぜこの反応が起こるのか?」を論理的に説明する問題も多く出題されています。
そのため、正確な用語を使いながら、簡潔かつ明確に解答を作成する力が必要不可欠です。
医学部の化学では、単なる暗記ではなく、深い理解に基づいた論理的な解答力が問われるため、記述式の対策をしっかりと行うことが重要です。
穴埋め式の問題が出題される
医学部受験の化学では、穴埋め式の問題が多く出題されるのも特徴のひとつです。
特に、化学反応式・計算過程・実験結果の考察など、論理的に流れを理解していないと解けない問題が頻繁に出題されています。
穴埋め式の問題では、単なる知識の暗記だけでなく、前後の文脈を読み取り、適切な語句や数値を補完する力が求められます。
例えば、反応機構の説明で適切な化学式を記入したり、計算問題で途中の式を補ったりする形式がよく見られます。
このような問題を攻略するには、化学の理論や計算のプロセスをしっかり理解し、単なる暗記に頼らず本質的な理解を深めることが重要です。
また、過去問や類題を解いて、典型的な出題パターンに慣れておくことも効果的な対策となります。
有機化学で生化学関連の問題が出題される
医学部受験の有機化学では、生化学に関連する問題が頻繁に出題されるのも特徴の一つです。
特に、アミノ酸・タンパク質・糖・脂質・核酸など、生体に関わる有機化合物の構造や反応が問われます。
具体的には、ペプチド結合の形成と加水分解、等電点の計算、糖の異性体、脂肪酸の性質、DNAやRNAの構造などが典型的な出題内容となっています。
また、医学と関連の深いビタミンやホルモンの化学構造と働きが問われることもあります。
このような問題では、有機化学の基本知識だけでなく、生体内での化学反応の理解が重要になります。
したがって、生物の知識と結びつけながら学習し、化学反応の本質を捉えることが医学部化学の攻略につながります。
医学部受験の化学で求められる力
前項では、医学部における化学の試験の特徴について解説しました。
ここからは、実際に化学の問題を解くにあたって必要な能力について4つの観点から解説していきます。
理論化学での計算力
1つ目は、理論化学における計算力です。
医学部受験の化学において、理論化学の計算力が必要とされる理由は多岐にわたります。
モル計算や化学平衡、熱化学などの計算問題は、正確かつ迅速に解く能力が求められます。
また、反応の進行やエネルギー変化を理解するためには計算力が不可欠です。試験時間内に効率的に解答するためにも計算力が必要であり、さらに医療現場での薬剤調合や反応速度の計算にも役立つため、実践的な応用力を養うことができます。
無機化学での暗記力
2つ目は、無機化学における暗記力です。
無機化学では、多くの反応式や法則、元素の特性などを暗記することが重要です。
特に、元素の酸化数、反応性、錯体の性質など、覚えるべき内容が多く、正確に理解して記憶することが求められます。
また、化学反応の傾向や周期表の法則を把握することで、試験問題を効率的に解くための土台が築けます。
暗記力が高ければ、無機化学の難解な問題にも迅速に対応できるようになります。
有機化学における生化学との関連性を理解する力
3つ目は、有機化学における生化学との関連性を理解する力です。
有機化学において生化学との関連性を理解する力は、医学部受験で重要です。
生体内での化学反応や物質の代謝、酵素反応など、有機化学の知識を生物学的な視点で理解することが求められます。
例えば、アミノ酸や脂質、核酸の構造や反応を学ぶことで、実際の生理的過程をより深く理解でき、医学的な問題にも迅速に対応できるようになります。
この知識は、医療分野での応用にもつながります。
問題を正しく理解して正確に解答する力
4つ目は、問題を正しく理解して正確に解答する力です。
化学の問題にはたくさんの用語が出てきます。その用語の意味を理解し、どのような現象が起こっているのか把握することが大切です。
溶解度、ヘスの法則、電気陰性度などたくさんの科学用語を言葉で説明することが出来るようになるまで復習しましょう。
また、図をを描いてどのような現象が起こっているのかイメージすると理解しやすくなります。
医学部受験の化学の勉強で意識すべきこと
次に医学部受験の化学の勉強で意識すべきことを3つに分けて紹介いたします。
基礎を徹底的に定着させる
1つ目は基礎を徹底的に定着させることです。
勉強をする際に一番大切なことは基礎固めになります。
基礎をしっかりと理解しておくと、応用問題にもすんなりと対応することが出来ます。
また、実験を理解する上では基礎知識が必要不可欠となります。物質の性質や器具の用途、操作手順などしっかりと理解しておきましょう。
暗記を怠らない
2つ目は暗記を怠らないことです。
たくさんの用語がある中、暗記を怠っていると問題を正確に理解することが難しくなります。
暗記をするときは、自分でノートにまとめたり、他の用語と関連付けると効率よく暗記することができます。
しかし、公式などは暗記するだけではなく、なぜこの式になるのかなど理解しておきましょう。
問題集は質と量をどちらも求める
3つ目は問題集を解く際に、質と量をどちらも大事にすることです。
勉強に長く時間をかけていても、正しい勉強法をしていないと意味がありません。
そのため、問題集を解くにあたっては質も量も重要になります。量と質をどちらも求めるには、勉強時間ではなく勉強した分量に注目することが大切です。
集中力を高く保てるような、自分に合った勉強方法を見つけましょう。
【分野別】医学部受験の化学の勉強法
次に医学部受験の化学の勉強法を理論化学、無機化学、有機化学の分野別で解説していきます。
理論化学
理論化学は文字通り、化学反応の原理や元素の知識などの化学を学ぶ上での理論について学ぶ分野です。
理論化学は無機化学や有機化学の基礎となるものなので、しっかり身につけていく必要があります。
勉強法としては教科書の索引通りに、原子やイオン構造、周期表などの基礎から始めて、熱化学や酸化還元、電気分解、化学平衡といった風に範囲を広げていきましょう。
理論化学は暗記よりも理解することによって知識を身に付けることができます。
基本用語や原理を覚えたあとは、計算問題を通して理解を深めることが重要です。
計算問題では数学のような数字の羅列による計算ではなく、化学式や原子記号の理解をもとにした計算力が求められます。
無機化学
無機化学は炭素を除いた無機化合物の性質について学ぶ分野です。
無機化学は暗記することで知識を習得することができます。
計算問題でも暗記事項を忘れたことで解けないものが多々あります。
暗記することが苦手だとしても、視覚的にキャッチして全体像を思い浮かべながら繰り返しインプットすれば、得点源となってくれる分野です。
知識の定着は掛けた時間以上に早くなるので繰り返し暗記を続けていきましょう。
有機化学
有機化学は炭素を中心に共有結合した有機化合物について学ぶ分野です。
有機化学の分野において中心となるのは、反応から有機物を特定する構造決定の問題です。
官能基それぞれの特徴をきちんと理解したうえで構造を絞り込み、どのような有機物なのかを特定していくという過程をたどりますが、いくつかのパターンがあるため、あらゆる過去問に挑戦し、医学部で出題される大まかな傾向を把握しておくとよいでしょう。
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多くの医学部受験生が化学の科目を選びますが、決して簡単な科目というわけではありません。
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まとめ
今回のコラムでは、医学部受験における化学の勉強法についてご紹介しました。
理論化学・無機化学・有機化学と分野の多い化学はそれを武器にすればさらに得点源となります。
化学は暗記、理解ともに必要となる科目であり、英語や数学など他の科目と同様に医学部受験で必須となる科目です。
今回の記事を参考に化学で受験合格率をアップして医学部受験へとぜひ役立ててください。