【医学部受験生必見】総合型入試(旧AO入試)のメリット・デメリットを解説!
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カテゴリ:入試
医学部に進学したいと考えている方は多いと思いますが、医学部の入試は非常に難しいと言われています。
特に、医学部の総合型入試(旧AO入試)は、大学が求める人物を面接や小論文などで選抜する試験で、受験生にとっては高いハードルやリスクも伴います。
しかし、総合型入試にはメリットもあります。
総合型入試について知りたい方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
この記事では、医学部受験のプロの目線で、総合型入試とは何か、メリットとデメリット、合格するためのコツとやり方、注意点とリスク、手順と流れなどを解説します。
目次
医学部の総合型入試(旧AO入試)とは?

まずは医学部の総合型入試の概要や実施大学などをご紹介します。
総合型選抜(旧AO入試)の基本
医学部の総合型選抜とは、大学が掲げる「求める人物像(アドミッション・ポリシー)」に合致する受験生を、多角的な視点から評価して選抜する入試方式です。従来は「AO入試」と呼ばれていましたが、2018年の中央教育審議会の提言を受け、より学力評価を重視しつつ多面的・総合的な選抜を行う制度へと再整理され、2021年度入試から「総合型選抜」という名称に統一されました。
総合型選抜では、共通テストなどによる学力の評価に加え、面接、小論文、活動実績、志望理由書、探究活動の成果などを用いて、医療者として求められる非認知能力(思考力、主体性、コミュニケーション力、協働性など)を総合的に確認します。医学部では特に、学力だけでなく、人間性や医療への適性を丁寧に見る点が特徴です。
選抜時期は通常、出願が9〜10月頃、面接・小論文などの選考が10〜11月頃に行われ、合格発表は11〜12月にかけて実施されることが多いとされています(大学により差があります)。
このように総合型選抜は、名称変更の背景を踏まえて「多面的評価」を制度的に強化した入試であり、受験生の学力・人物像・適性をバランスよく確認する仕組みへと発展しています。
出願資格と条件
医学部の総合型入試に出願できる資格や条件は、大学によって異なります。
一般的には、以下のような要件が設けられています。
高校の成績:評定平均値がA(4.3以上)段階など、高い基準が求められることが多いです。
特に国立医学部では、ほとんどの大学がA段階を要求しています。
年齢制限:現役生のみや1浪まで可など、浪人生の出願を制限することが多いです。
ただし、例外として浪人生でも出願できる大学もあります。
科目履修:数学や理科の指定科目を履修していることを要求することが多いです。
また、英語の4技能検定試験を受験していることを求める大学もあります。
各大学で詳細な出願資格や条件が異なるため、志望校の募集要項で確認が必要です。
評定平均・浪人に関する出願条件
医学部のAO入試では、評定平均を必須条件としない大学もあり、調査書の記述内容や面接・提出書類を重視するケースが増えています。評定が基準に満たなくても、学習姿勢や活動実績で総合的に判断される枠が存在する点を明記するとよいでしょう。
また、浪人生の出願については、多くの大学が「現役・既卒いずれも可」としており、特別な年齢制限もほとんどありません。中には「卒業後○年以内」といった条件を設ける大学もありますが、明確な制限がない場合は社会人や再受験生でも応募可能です。
医学部総合型選抜の倍率と傾向
医学部の総合型選抜は募集人数が極めて少ないため、一般選抜以上に高倍率になりやすい入試方式です。国公立医学部では倍率はおおむね5〜10倍程度で、東北大学や北海道大学などの人気校では10倍前後、場合によっては15倍近くになることもあります。一方、私立医学部は募集人数がさらに少なく、受験生層も広いため、10〜20倍以上の高倍率になるケースも珍しくありません。
倍率が高くなる理由としては、募集人数が数名〜十数名と少ないこと、出願条件が比較的緩やかで挑戦者が集まりやすいこと、書類・面接中心の選考で「受けてみよう」と考える受験生が多いことが挙げられます。選考では活動実績の量よりも、志望理由の一貫性や医療への理解度が重視され、面接力が合否を大きく左右します。そのため、志望理由を具体的に深め、大学の評価ポイントに合わせた書類作成と面接対策を早期から行うことが、高倍率でも合格可能性を高める鍵となります。
難易度と合格率
医学部の総合型入試は、一般選抜よりも難易度が高いと言われています。
その理由は、以下のような点にあります。
共通テスト:多くの科目の受験を要求する大学が多く、幅広い科目の知識を身につけておく必要があります。
また、基準点も高く設定されており、安定的に高得点を取れることが求められます。
面接・小論文:自分の強みや志望動機を明確に伝えることができるかどうかが重要です。
医師や医学生として必要な資質や人間性を見極められることもあります。
総合判定:共通テストや面接・小論文だけでなく、高校の成績や出願書類なども含めて総合的に判断されます。
そのため、一つの試験で良い成績を取ったからといって安心できません。
以上の点から医学部の総合型入試の難易度は難しさがあります。
また、合格率に関しては20%〜30%の場合もありますが、大学によっては数%の場合も考えられます。
医学部総合型選抜の実施大学と特徴
総合型入試を実施する医学部がある大学は下記のとおりです。
| 大学名 | 地域枠・特定枠 | 募集人数 | 主な評価ポイント |
|---|---|---|---|
| 旭川医科大学 | 北海道特別選抜(地域医療貢献を条件) | 40名 | 書類・課題論文・面接・共通テスト。地域医療への意欲と適性を重視 |
| 弘前大学 | 青森県内枠/北海道・東北枠 | 42名(県内枠27名、北海道・東北枠15名) | 書類・個人面接・ケーススタディ・共通テスト。地域医療志向、人間性、コミュニケーション力を評価 |
| 東北大学 | 地域枠特別選抜 | 不明 | 適性試験・小論文・面接。探究心、人間性、医療志望の一貫性を重視 |
| 筑波大学 | 地域枠 | 不明 | 基礎学力に加え、思考力・表現力・地域医療志向・医師としての適性を評価 |
| 大阪公立大学 | 総合型入試枠 | 不明 | 書類・共通テスト・面接/口述(ディスカッション型)。人物像と志望理由を重視 |
上記以外にも、神戸大学、高知大学、愛媛大学、徳島大学、広島大学、大分大学といった国公立大学に加え、獨協医科大学、東海大学、東邦大学、藤田医科大学、大阪医科薬科大学、川崎医科大学など、多くの私立大学で医学部総合型入試が実施されています。
国公立大学の総合型入試は、地域医療や地域枠を重視する大学が多く、募集人数は少なめです。選考は面接・小論文・志望理由書に加え、共通テストや学力試験を含めた総合評価が中心で、コミュニケーション能力や医療志望の一貫性が重視されます。一方、私立大学は幅広い受験生を対象とし、募集人数も比較的多い傾向があります。書類・面接中心の評価が多く、医療への志望動機や課外活動の実績が重視され、学力試験が課される場合でも比重は低めです。
最新の実施内容や条件については、必ず各大学の募集要項や公式ホームページで確認してください。
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医学部の総合型入試(旧AO入試)を受験するメリットとデメリット

ここからは医学部の総合型入試を受験するメリットとデメリットを3点ずつ解説します。
受験方法を検討する際の参考にしてください。
メリット①:応用問題の対策が不要
医学部の総合型入試のメリットの一つは、応用問題の対策が不要なことです。
一般選抜では、数学や理科の問題が非常に難しく、高度な応用力や論理力が求められます。
しかし、総合型入試では、共通テストの問題が基礎的な内容に限られており、応用問題は出題されません。
そのため、受験生は基礎知識をしっかりと身につけることに集中できます。
また、応用問題の対策に時間をかける必要がないため、面接や小論文など他の試験に備える時間も確保できます。
メリット②:合格が早い時期に決まる
医学部の総合型入試のメリットのもう一つは、合格が早い時期に決まるということです。
一般選抜では、共通テストや二次試験が1月から3月にかけて行われ、合格発表も3月下旬になることもあります。
しかし、総合型入試では、共通テストや面接・小論文などの試験が早い段階から行なわれ、合格発表も2月中旬になります。
そのため、受験生は早く結果を知ることができ、合格した場合は大学への進学準備や自由な時間を楽しめるでしょう。
メリット③:ライバルが少なくなることも
医学部の総合型入試のメリットとして、ライバルが少なくなることが挙げられます。
一般選抜では、多くの受験生が医学部を目指しており、競争率も高くなります。
しかし、総合型入試では、下記の背景からライバルが少なくなる傾向です。
出願資格や条件が厳しいため、応募者数が少なくなることが多い
専願・単願でしか出願できないため、他の大学への併願者数が減る
面接や小論文など主観的な評価が多いため、自分に自信がある受験生しか挑戦しない
受験生は自分の強みをアピールすることで、合格のチャンスを高めることができます。
デメリット①:専願・単願のみであり併願は不可
医学部の総合型入試のデメリットの一つは、基本的に専願・単願のみであり併願は不可であることです。
一般選抜では、共通テストの成績を使って複数の大学に出願することができます。
しかし、総合型入試では、共通テストの成績を使って出願できる大学は一つだけです。
そのため、受験生は自分が本当に入りたい大学を選ばなければなりません。
また、万が一不合格になった場合は、他の大学に挑戦する機会がなくなります。
デメリット②:面接や小論文など主観的な評価が多い
医学部の総合型入試のデメリットのもう一つは、面接や小論文など主観的な評価が多いことです。
一般選抜では、数学や理科の問題は客観的に正誤や得点が判定されます。
しかし、総合型入試では、面接や小論文などは主観的に評価されます。
そのため、受験生は自分の意見や思考を明確に伝えることができるかどうかが重要です。
また、面接官や採点者によって印象や評価が変わる可能性もあるでしょう。
デメリット③:高校の評定や共通テストの成績が重視される
医学部の総合型入試のデメリットのさらにもう一つは、高校の評定や共通テストの成績が重視されることです。
一般選抜では、二次試験で高得点を取れば、高校の成績や共通テストの成績が低くても合格する可能性があります。
しかし、総合型入試では、高校の成績や共通テストの成績が基準点として設定されており、それに満たない場合は出願できないか面接・小論文に進めない場合があります。
そのため、受験生は高校時代から安定的に高い成績を取り続けることが必要です。
医学部の総合型入試(旧AO入試)に合格するためのコツとやり方

総合型入試では課される試験科目や内容、さらには高校生活での評定などで総合的に評価されます。
合格のためにはコツや具体的なやり方(取り組み方)を押さえることが大事です。
それを解説していきます。
コツ①:日頃の授業態度や定期テストで高評価をもらう
医学部の総合型入試のコツの一つは、日頃の授業態度や定期テストで高評価をもらうことです。
この入試制度では、高校の成績が重要な要素となります。
特に評定平均値がA(4.3以上)段階など、高い基準が求められることが多いです。
そのため、受験生は日頃から授業に積極的に参加し、定期テストで良い成績を取ることを心がける必要があります。
また、高校の先生からの推薦書や意見書も出願書類の一部として提出する場合があります。
その際には、授業態度や学力だけでなく、人間性や活動歴なども評価されます。
コツ②:共通テストで8割5分が安定的に取れるようにする
医学部の総合型入試のコツのもう一つは、共通テストで8割5分が安定的に取れるようにするということです。
この入試制度では、共通テストも重要な要素となります。
特に、基準点も高く設定されています。
国立医学部ではほとんどの大学が8割5分以上
私立医学部でも7割5分以上
また、共通テストでは多くの科目の受験を要求する大学が多いです。
国立医学部では数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・英語・国語・理科(物理・化学・生物)・地理歴史・公民
私立医学部でも数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・英語・国語・理科(物理・化学・生物)
受験生は幅広い科目の知識を身につける必要があります。
コツ③:面接や小論文が得意になる
医学部の総合型入試のコツのもう一つは、面接や小論文が得意になることです。
総合型入試では、面接や小論文も重要な要素となります。
特に、自分の強みや志望動機を明確に伝えることができるかどうかが重要です。
また、医師や医学生として必要な資質や人間性を見極められることもあります。
そのため、受験生は面接や小論文で自分をアピールする方法を習得する必要があります。
また、面接や小論文では、時事問題や医療問題などに関する知識や意見も問われます。
そのため、受験生は日頃から新聞や雑誌などで情報収集を行い、自分の考えをまとめる練習をする必要があります。
やり方①:自分の適性や志望動機などを確認する
医学部の総合型入試に合格するためのやり方の一つは、自分の適性や志望動機などを確認することです。
受験生の多面的な能力や適性を評価することを目的としており、大学が求める人物像に合った受験生を選抜するからです。
そのため、受験生は自分が本当に医師や医学生になりたいかどうか、自分に医師や医学生として必要な能力や資質があるかどうか、自分がどのような医師や医学生になりたいかどうかなどを確認する必要があります。
また、受験生は自分が出願したい大学の特色や教育方針なども調べておきましょう。
これらのことは、面接や小論文で自分の志望動機を伝える際にも役立ちます。
やり方②:入試に関する情報収集を怠らない
医学部の総合型入試に合格するためのやり方のもう一つは、入試に関する情報収集を怠らないということです。
この入試制度では、出願資格や条件、試験内容や時期、合格基準などが大学によって異なります。
そのため、受験生は各大学の公式ホームページや募集要項で最新の情報を確認する必要があります。
また、受験生は過去の入試データや合格者の体験談なども参考にすることが可能です。
収集した情報は、受験生が自分の目標設定や学習計画を立てる際にも役立ちます。
志望大学別対策の重要性
医学部入試は、大学ごとに出題傾向や評価基準、求める学生像が大きく異なります。そのため、志望大学にあわせた対策を行うことが合格への最短ルートになります。
まず、各大学が公表しているアドミッションポリシーを確認し、どのような人物像を求めているのかを理解しましょう。「学力重視」「思考力・判断力評価」「医師としての適性」を重視するなど、大学によって重点が異なります。
次に、過去問分析は必須です。出題形式が独特な大学も多く、特に数学の誘導の使い方、英語の長文テーマ、理科の深い理解を必須とする問題など、相性が分かれます。数年分を分析し、傾向に合わせた学習計画を立てましょう。
さらに、面接や小論文の内容も大学によって特徴があります。面接で医療倫理を重視する大学、ディスカッション形式の面接を行う大学、具体的な地域医療の過大を問う大学などがあります。小論文も科学的テーマから社会問題まで幅広く、志望大学に特化した練習が必要です。
また、地域枠・推薦枠の有無や要件も重要な情報です。地域枠は将来の勤務要件がある代わりに、地元志向の学生にとっては大きなチャンスになります。募集要項は毎年変わるため、最新情報を必ず確認しましょう。
このように、志望大学に合わせた具体的な戦略を立てる事で、無駄のない学習と準備が可能になります。情報収集を徹底し、志望校合格に向けた最適な対策を進めていきましょう。
やり方③:入試に関する参考書や問題集などを活用する
医学部の総合型入試に合格するためのやり方のもう一つは、入試に関する参考書や問題集などを活用することです。
総合型入試では、共通テストや面接・小論文などさまざまな方法で評価されます。
そのため、受験生はそれぞれの試験に対応した参考書や問題集などを使って学習する必要があります。
共通テストでは、基礎知識を確認するための参考書や問題集、過去問題集などを利用する
面接では、自己分析や志望動機の整理、時事問題や医療問題の知識の習得、模擬面接の受け方などを学ぶための参考書や問題集などを利用する
小論文では、文章力や論理力の向上、テーマの選び方や構成の作り方、文章の書き方や添削の仕方などを学ぶための参考書や問題集などを利用する
上記のように、受験生は入試に関する参考書や問題集などを活用して、自分の弱点を克服し、自分の強みを伸ばすことができます。
やり方④:学習塾に入会する
医学部の総合型入試に合格するためには、学習塾に入会することです。
試験に向けて高いレベルの学力や適性が必要ですが、自分だけで準備するのは大変です。
学習塾に入会すると、次のメリットがあります。
専門的な指導を受ける
カリキュラムやスケジュールを管理してもらう
他の受験生と切磋琢磨できる
特に、面接や小論文などは自分では客観的に評価できないことが多いので、学習塾ではプロの講師からアドバイスやフィードバックをもらうことが有効です。
また、学習塾では医学部受験に特化したコースやクラスが用意されていることも多いです。
ハイクラスの学習塾であれば、受験に必要な科目や内容に絞って学習できたり、最新情報やノウハウを得られたりします。
受験対策に困ったら、学習塾への入会も検討しましょう。
医学部の総合型入試(旧AO入試)に関する注意点とリスク

医学部の総合型入試に関して、注意点やリスクがあります。
それらを踏まえて、対策を考えていきましょう。
注意点①:国立大学は推薦枠が少なく私立大学は授業料が高い
医学部の総合型入試は、国立大学と私立大学で実施されていますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
国立大学のメリットは、授業料が安く、医師免許取得後の就職先や給与にも有利なことです。
しかし、デメリットは、推薦枠が少なく、出願条件も厳しいことです。
一方、私立大学のメリットは、推薦枠が多く、出願条件も緩やかなことです。
しかし、デメリットは、授業料が高く、医師免許取得後の就職先や給与にも不利なことです。
したがって、医学部の総合型入試を受験する場合は、国立大学と私立大学のメリットとデメリットをよく比較検討する必要があります。
注意点②:社会人や大学生は出願資格が限られる
医学部の総合型入試は、社会人や大学生も受験できる場合がありますが、出願資格は大学によって異なります。
例えば、社会人や他大生が受験できるのはほぼありません。
また、私立大学医学部でも社会人や他大生が受験できるところは限られています。
したがって、社会人や他大生が医学部の総合型入試を受験する場合は、出願資格をよく確認する必要があります。
社会人・再受験生が医学部総合型選抜を目指すには
社会人や再受験生が総合型選抜を受ける際は、社会人受験を受け入れる大学かどうかを先ず確認しましょう。大学によっては年齢・職務経験などの出願資格が決まっているため、募集要項のチェックは必須です。
面接では「なぜ医師を目指すのか」「経験を医療にどう生かすか」が問われ、医療系職務経験はアピール材料になります。合格に向けては、出願条件の確認、志望理由と経験のストーリー作り、医療倫理や社会問題の基礎理解がポイントです。
再受験に比較的寛容な大学の例として、弘前大学、群馬大学、神戸大学、浜松医科大学などがあります。それぞれ年齢や社会経験に柔軟で、過去に社会人合格者の実績があります。募集要項は年度ごとに変わるため、最新情報の確認が重要です。
注意点③:自己PR文などの作成には時間と労力がかかる
医学部の総合型入試では、自己PR文などの書類審査が必須となっています。
これらの書類は、受験生の人柄や適性、志望動機などを表現するために重要なものですが、作成には時間と労力がかかります。
自分自身を客観的に分析し、自分の魅力や適性を伝えるために工夫する必要があるからです。
また、複数の大学に出願する場合は、それぞれの大学に合わせて内容を変える必要もあります。
したがって、医学部の総合型入試を受験する場合は、自己PR文やエントリーシートの作成に十分な時間と労力を割く必要があるわけです。
リスク①:不合格後に一般選抜に出願できないこともある
先述のとおり、医学部の総合型入試は基本的に専願・単願であり、他大学との併願はできません。
また、総合型入試で不合格になった場合でも、同じ年度内に同じ大学の一般選抜(一般入試)に出願できるかどうかは、大学によって異なります。
医学部の総合型入試を受験する場合は、不合格後に一般選抜に出願できるかどうかをよく確認する必要があります。
リスク②:医学部の学費や生活費が負担になることもある
医学部の総合型入試で合格した場合でも、医学部の学費や生活費が負担になることもあります。
医学部は他の学部と比べて、授業料や教材費が高く、また6年間の長期間にわたって支払う必要があります。
特に、私立医科大学では国立医科大学の約4倍〜6倍の授業料がかかります。
また、教材費や実験費なども含めると、さらに高額になります。
さらに、医学部は6年間で卒業することが一般的ですが、その間に生活費や交通費なども必要です。
地方から都市部へ進学する場合や、実習先へ通う場合は、家賃や交通費が高くなりやすいです。
したがって、医学部の総合型入試で合格した場合でも、医学部の学費や生活費をどのように賄うかを考える必要があります。
リスク③:医学部の勉強や実習が厳しいこともある
医学部の総合型入試で合格した場合でも、医学部の勉強や実習が厳しいこともあります。
医学部では、基礎医学や臨床医学など多くの分野を幅広く深く学ぶ必要があります。
また、実習では、患者さんと接することや手術を見ることなどもあります。
これらの勉強や実習は、受験生が想像している以上に難しく、また重圧に感じることもあります。
医学部の総合型入試で合格した場合でも、医学部の勉強や実習に対応できるかどうかを考えておきましょう。
医学部合格後の準備と心構え

医学部に合格した後も、学習量は非常に膨大であることを理解しておく必要があります。入学前から基礎学力の復習や予習を行い、授業についていける準備をしておくと安心です。
解剖学実習や臨床実習など、体力・精神力を要する実習もあります。健康管理や生活リズムの確保、効率的な学習法の習得が重要です。
また、学費や生活費は高額になりがちなので、奨学金やアルバイト、親族の支援などを含めた具体的な計画を立てることが必要になります。
さらに、学生生活の中で利用できるサポート体制(学習相談、メンタルヘルス相談、先輩や同級生との勉強会など)を積極的に活用することで、厳しい学習環境も乗り越えやすくなります。
医学部の総合型入試(旧AO入試)の手順と流れ

最後に医学部の総合型入試の手順と流れを解説します。
受験する際は、手順に従って滞りなく進めましょう。
手順①:出願期間に応募書類を提出する
まずは、自分が受験したい大学の出願期間と出願資格を確認しましょう。
出願期間は大学によって異なりますが、一般的には10月から11月にかけて行われます。
出願資格も大学によって異なりますが、多くの場合、高校の成績や評定平均値、数学や理科の指定科目の履修などが要求されます。
また、一部の大学では地域枠や国際医療人枠などの特別な枠が設けられており、卒業後に一定期間地域医療や国際協力に従事することが義務付けられています。
そのため、自分が希望する枠に応募する場合は、その条件や義務をよく理解しておく必要があります。
出願期間内に、必要な書類を大学に提出します。
書類は大学によって異なりますが、一般的には以下のものが必要です。
入学願書
整理票
自己推薦書
志望者評価書
高校調査書
検定料用紙
受験番号通知はがき
出願用封筒
これらの書類は、大学から送付されるものや自分で作成するものがあります。
自分で作成するものは、特に自己推薦書や志望者評価書は重要な選考資料となるので、丁寧に作成しましょう。
自己推薦書・志望理由書の効果的な書き方
医学部の総合型選抜では、自己推薦書や志望理由書が合否に大きく影響します。これら御書類は、あなたの人柄や経験、志望の動機、将来の医師像を1枚で伝える重要なツールです。ポイントを押さえて整理すれば、読み手に強く印象付ける文章になります。
1.冒頭の書き出し(ひとことで惹きつける)
文章の最初に、あなたが目指す医師像を結論として示すと、全体の方向性が明確になります。
例:「私は、患者さん一人ひとりの生活背景に寄り添い、最適な医療を提供できる医師になりたいと考えています。
この一文があるだけで、読者は「この文章は何を伝えたいのか」をすぐに理解できます。
2.医師になりたい理由(動機)
なぜ医師を志すのか、原体験や具体的な経験を交えて示します。
例:子どもの頃、身近な家族の病気を通じて医療の大切さを実感した経験や、高校で参加した医療ボランティアで患者さんと関わった経験など、具体的なエピソードを加えると説得力が増します。
3.自己PR(経験・強み)
学業や部活動、ボランティア、研究など、自分の強みや成果を具体的に示します。
PREP法(結論→理由→具体例→結論)を使うと整理しやすいです。
例:「私はチームで課題解決する力があります。医療ボランティアでの活動では、チームメンバーの意見をまとめ、効率的に準備を進めることで、患者さんへの対応をスムーズに行うことができました。この経験から、協働しながら課題を解決する力が身につきました。」
4.大学を選んだ理由(志望動機)
なぜその医学部で学びたいのかを明確に示します。カリキュラムや施設、教育方針などと自分の経験や志望を結びつけると説得力が増します。
例:「御校の臨床実習が早期から充実している点に魅力を感じています。高校時代のボランティア経験を活かし、実践的な学びを通じて地域医療に貢献できる医師を目指したいと考えています。」
5.将来の展望(まとめ・意気込み)
入学後にどう学び、将来どのように社会や医療に貢献したいかを簡潔にまとめ、文章を締めます。
例:「入学後は知識と技術を磨き、地域の患者さん一人ひとりに寄り添った医療を提供できる医師になることを目標としています。」
〇ポイント
・文章全体で冒頭の医師像を軸にすると一貫性が出る
・書き始める前に、自分自身の経験・強み・志望を整理し、大学のカリキュラムや教育方針も深く理解することが重要
・自己PRは医師志望の動機と結び付けると説得力が増す
・大学選択理由と将来展望で文章を締めることで、入学後の学びや社会的貢献の意欲がつたわる
・抽象的表現は避け、具体的な経験や成果を盛り込む
・第三者に添削してもらうと、文章のわかりやすさや印象が格段に向上する
手順②:1次選考(共通テスト)を受ける
次に、1次選考として共通テストを受けます。
共通テストでは、多くの科目の受験を要求する大学が多く、幅広い科目の知識を身につけておくことが必要です。
特に数学や理科は重要な科目となるので、しっかりと対策しましょう。
共通テストでは基準点(900点中765点以上など)をクリアしなければならない場合もあります。
共通テストは、総合型入試の1次選考としてだけでなく、一般選抜や推薦入試などの他の入試にも利用されることがあります。
そのため、共通テストで高得点を取ることは、医学部入試において非常に重要です。
共通テストで8割5分を安定的に取れるようにすることが目標です。
手順③:1次選考合格発表を確認する
共通テストを受験した後は、自分が受験した大学の基準点や選考方法を確認し、自分が1次選考に合格したかどうかを判断しましょう。
1次選考に合格した場合は、2次選考に進むことができます。
1次選考に不合格だった場合は、総合型入試は終了となります。
その場合は、一般選抜や推薦入試などの他の入試に挑戦することが可能です。
手順④:2次選考(面接や小論文など)を受ける
2次選考では、面接や小論文などの方法で受験生の能力や適性を評価します。
2次選考の内容は大学によって異なりますが、ほとんどの大学では以下のようなものがあります。
面接
小論文
面接では、自分の志望動機や強みや弱み、医師としての将来像などを問われることが多いです。
面接官と対話することで、自分の人柄やコミュニケーション能力をアピールしましょう。
小論文では、与えられたテーマについて自分の意見や考え方を文章で表現します。
小論文では、自分の主張を明確にし、根拠や理由を示すことが重要です。
これらの2次選考は、大学によって実施時期や方法が異なりますが、一般的には2月に行われます。
2次選考では、自分の能力や適性を多角的に評価されるので、準備や対策をしっかりと行うことが必要です。
手順⑤:2次選考合格発表を確認する
2次選考の結果は、大学によって異なりますが、一般的には2月中に発表されます。
2次選考に合格した場合は、最終選考に進むことができます。
2次選考に不合格だった場合は、総合型入試は終了となります。
その場合は、一般選抜や推薦入試などの他の入試に挑戦することができます。
まとめ

この記事では、医学部の総合型入試について詳しく解説しました。
総合型入試は、医師や医学生として必要な能力や適性を見極められるという点では、有意義な制度ですが、受験生にとっては多くの手順や流れを踏まなければなりません。
そのため、この制度に挑戦する場合は、注意点やリスクをよく理解しておくことが必要です。
また、総合型入試だけでなく、一般選抜や推薦入試などの他の入試も存在します。
自分に合った入試を選ぶことも重要です。
医学部の入試は難しいですが、夢を叶えるためには努力が必要です。
この記事の執筆者:医進の会代表 谷本秀樹

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