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医学部編入制度とは?合格するために気をつけるべきポイント

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カテゴリ:社会人・編入

「社会人からでも医師を目指せる?」
「医学部学士編入制度ってどんな制度?」
「編入試験を突破するための対策が知りたい」と考えている方もいるでしょう。

本記事では、医学部学士編入を実施している大学、制度の特徴やメリット・デメリット、編入試験内容や試験対策について解説していきます。

医学部学士編入試験制度について知りたい方や、社会人から医師を目指している方は、ぜひ最後までお読みください。

医学部学士編入制度とは


4年制の大学卒業者や卒業見込みの方が、今まで専攻していた場所と違う学部に行きたいと検討している場合に、教育課程を経ずに専門課程から学べる制度を指します。

医学部の学士編入は、社会人経験者のなかから医師となるべき優秀な人材を確保し、教育することが目的です。主に4年制大学を卒業しており、学士の学位を持っている方が編入対象になります。

しかし、学士編入制を採用している大学によっては、短大卒や4年制大学に2年以上在学していたと証明される方も対象としているのが特徴です。

制度のなりたち

医学部編入は、どのような経緯で作られたのでしょうか。この制度は、1975年、大阪の医学部が全国に先駆けて実施したのが始まりとされています。

2000年頃、文科省より、大学卒業後に社会人経験を積んだ方の医学部編入を推進する取り組みが始まります。良医育成を目的としたこの活動によって、各大学も次々と編入制度を取り入れていきました。

日本で医師を目指すためのメジャーな方法は、高校卒業後すぐに医学部を受験して入学し、医学教育を受けるコースです。高校卒業後すぐに医学の道へ進むと、現役の医師として働ける年数が長くなり、経験をしっかりと詰めるメリットが期待できます。

一方、アメリカで主流となっているのは、4年制大学を卒業後にメディカルスクールへ入学して医学教育を受けるスタイルです。
医師免許を取得する前に、医学はもちろんさまざまな学問を学び、人としての成熟度を高めた後に医師になれるのが大きなメリットです。

今日の日本における医学部編入制度は、日本の医学教育システムにアメリカ式のメリット部分を取り入れたものといえるでしょう。

学士取得を前提としない編入も

多くの大学では、学士を取得もしくは学士号の取得見込みの方を編入試験の対象としています。

しかし、なかには4年制大学に2年以上在籍して指定の単位を取得した学生※1や、短大や高等専門学校を卒業した方※2を対象としている大学もあるのが特徴です。(※1・2は卒業見込みを含みます)

医学部編入は、一般的に年齢制限が設けられていません。社会人としての経験を重ねてからの試験となるため、現役学生とは異なるスキルや知識が求められることがあります。

学校によっては、出願の際、TOEICやTOEFLのスコア提出が要件となっているケースもあるため、募集要項をしっかりと確認しておきましょう。

医学部学士編入の特徴


医学部編入とは、4年制もしくは6年制大学を卒業して既に学士資格を取得している社会人が、医学部に編入できる制度を言います。一般入試とは性質が異なり、6年次のうち途中の年次から編入できるのが特徴です。

学士編入制の導入が開始されたのは、2000年を過ぎた頃からとされています。
その頃より、医師として優れた人材の育成を目的に、社会人経験があり、かつ他学部の知見を備える人材を医学部へと編入させる動きが見られるようになったのです。

そのため、医師として経験を積みたい、働きたいという強い意欲のある人材ならば、年齢を問わずに医学部へ入学できる見込みがあります。

2020年には全国82校のなかで、地方の国公立大学をメインとした31校の大学が学士編入試験を始めました。
大学受験時に医学部を目指していたけれど断念してしまった方はもちろん、医学部の受験を考えていなかった方も医師として働けるチャンスとなる制度です。

メリット

ここでは、医学部学士編入を利用するメリットについて、詳しく紹介していきます。

受験科目が少ない

編入試験は、学校によっては生命科学と英語から受験可能です。一般試験で私立大学の医学部を受験する場合、基本的には数学と英語、理科2科目が必須とされています。

国立大学医学部を一般入試で受験する場合、共通テストのため、さらに多くの科目について勉強する必要があります。
もとより現在学士を有する人にとって、共通テストは未経験の分野であるため、改めて勉強する際はしっかり取り組まなければなりません。

一方、学士編入試験ならば科目が少ないので、大学生であれば卒業後の受験を見据えて学校の勉強と並行して学習できますし、社会人も働きながら勉強可能です。

国公立大学も併願可

国公立の一般入試では、前期と後期でそれぞれひとつの大学しか受験はできません。
しかし、学士編入の場合は大学独自の入試日程になるため、各校の日程次第では併願も可能です。

ひとりの受験生が複数の学校を受験する可能性もあるため、入学辞退による追加合格も起こり得ます。
たとえば非常に倍率の高い状態であったとしても、実際はもっと低いケースもあり得るのです。

学士編入を本気で目指す場合は、あらかじめ各大学の入試日程を調べておき、複数の学校への出願を積極的に検討しましょう。

専門課程から学べる

学士編入制度は、大学の3年次もしくは2年次に編入して専門課程から学べるのが特徴的な制度です。
基本的には、大学の最初の1~2年は教育課程とされているため、専門的な授業はあまり行われないケースが多いです。

そのため、すでに教育課程を完了している学生ならば、いきなり専門課程からした編入したとしても問題ないと考えられています。

文系出身でも受験可能

医学部と聞くと理系のイメージがありますが、実は文系出身でも合格は十分目指せます。
大学によって試験科目の構成が異なるため、自分の得意な科目で勝負可能な大学を受験しましょう。

とりわけ英語は、どの大学を受験する場合も必須の重要科目のため、国際教養学部や英文学部出身の方は有利だと言えます。

デメリット

次に、医学部学士編入を利用するとどのようなデメリットがあるのか、チェックしていきましょう。

学士編入制度導入校が少ない

令和元年度の文部科学省の調査によると、医学部を設置する大学は国立42校、私立31校、公立8校となっています。

一方、令和2年医学部編入制度を導入している学校は、国立と私立を合わせて29校となっており、一般入試で入れる医学部より導入校が少ないことがわかります。

以上のことから、社会人から医師を目指す場合、学校に入学するだけでも難関のため、試験対策を万全に行っておく必要があるでしょう。

競争率が高い

大学によって異なるケースが多いですが、編入試験の倍率は高い傾向にあり、たとえば弘前大学は令和3年に10倍以上の倍率でした。
なかにはさらに倍率の高い学校もあり、とくに文系を卒業している方に人気の大学は、倍率が高くなりやすいとされています。

先述のとおり、複数の学校を出願すれば合格の可能性は上がりますが、どうしても入りたい特定の医学部を希望する場合、非常に厳しい試験になると予想されます。

勉強時間の確保が難しい

大学生や社会人は何かと多忙であり、1日に確保できる勉強時間が限られているケースが多いです。
いくら科目数が少ないとはいえ、しっかりと受験勉強をしていなければ、合格は困難でしょう。

とくに社会人は、強い意志がないと毎日勉強を継続するのは非常に大変です。
仕事でどれだけ疲れていたとしても、毎日決まった時間しっかり勉強時間を確保できるかどうかで、結果が異なってきます。

勉強は継続が重要なので、ルーティーンにできるかどうかが合否を大きく左右すると言っても過言ではありません。

一般受験に比べ相談相手が少ない

学生時代であれば、受験で悩みごとが生じた際には先生や友達など相談相手がいるケースが多いため、ひとりで思い悩んでしまうおそれは少ないと言えます。

しかし、社会人になって学士編入を目指す場合、一般受験と比較すると相談相手が少ないため、孤独との戦いになる方も多いです。

学士編入の経験者とつながりを持ちにくいだけではなく、社会人になると勉強につまずいてしまった際に、相談できる相手も少なくなる傾向にあります。

人の脳は時が経つにつれて、必要がなくなった知識や記憶はほとんど忘れてしまう習性があります。
医学部編入を目指そうと決めたものの、いざテキストを開くと、身につけていたはずの知識をほとんど忘れていたということも珍しくありません。

また、これまでの間に知見のない分野を独学で合格レベルまで引き上げるのは、集中力はもちろん、相当の忍耐力が要求されます。

医学部学士編入実施大学


医学部編入実施大学は、以下のとおりです。

■北海道・東北
・北海道大学
・弘前大学
・旭川医科大学
・秋田大学
・【私立】岩手医科大学

■関東
・筑波大学
・群馬大学
・東京医科歯科大学
・【私立】北里大学

■中部
・金沢大学
・福井大学
・富山大学
・名古屋大学
・浜松医科大学

■近畿
・滋賀医科大学
・大阪大学
・神戸大学
・奈良県立医科大学

■四国・中国
・岡山大学
・鳥取大学
・島根大学
・香川大学
・高知大学
・山口大学
・愛媛大学

■九州・沖縄
・大分大学
・長崎大学
・鹿児島大学
・琉球大学

編入試験内容


医学部編入試験では、どのような内容の試験を行うのでしょうか。
ここでは、試験内容について詳しく紹介していきます。

選考時期

医学部学士編入試験の選考時期は、医学部の一般入試と異なるのが特徴です。
学士編入試験の時期は大学によって異なりますが、7〜11月に試験を実施する学校が多い傾向にあります。

学士編入の出願時期については、試験日の3か月前など早めとなっています。
出願を検討している場合、あらかじめ大学の公式ホームページで確認しておくとよいでしょう。

入試日程が被っていない場合は、複数の学校を受験できるため、合格率を高めるためにも複数の大学を併願しておくのが望ましいです。

筆記試験

筆記試験で重要な科目は、英語と生命科学です。
大学によってはそれにプラスして、化学や物理、数学も実施するケースもあります。

また、一次試験あるいは二次試験で小論文を実施している大学も多いため、受験予定の大学の試験内容をしっかり確認しておきましょう。

医学部では、解剖用語や各主要科目の用語について、英語でも覚えなければなりません。
したがって、英語も生命科学については大学レベルの能力が必要なため、高校レベルのテキストでは内容をすべてカバーできないでしょう。

医学部で用いるメインテキストは、洋書が翻訳されているものが多く、新しい医学知識は海外論文で発表されるケースが多々あります。
英語は医師にとって、必要な知識を吸収するために必須だと言えます。

また、生命科学は、医学部の主要科目である生化学や生理学、生物学、分子生物学の内容すべてが含まれ、医学部で本格的に学ぶための基礎知識となる科目です。
以上のことから、英語と生命科学はとくに重要な科目だと考えられます。

面接

一般入試と学士編入の面接を比べると、学力ややる気はもちろん、人柄なども問われます。
一般入試の面接では、倫理観や最低限のコミュニケーション能力があるかチェックされます。

一方、学士編入試験の面接ではさらに「大学の求める人材にいかにマッチしているか」「なぜ進路を変えてまで医学部を目指しているのか」「大学などの学生生活や社会人経験で得た能力をどのように医学分野に活かしたいのか」を重点的に質問されます。

就職活動の面接と類似している点があり、もし一次試験の成績も同じくらいであれば、大学の求める人材とマッチしている方が合格する可能性が高まるはずです。

また編入試験の場合、圧迫面接を行っている大学も少なくありません。
これは受験者のやる気はもちろん、ストレス耐性を見抜くためだといわれています。

「最初は違う学部に入ったのだからそこまで医師になりたいと思っていないのでは?」「現役高校生を合格させれば若い人材を育てられる」という態度をとられる可能性があります。面接官の態度に物おじせず、自分の意見をしっかりと伝えられるよう練習しておきましょう。

さらに学士編入試験では、集団討論を実施する学校もあります。
面接対策はもちろん、集団討論を行う学校であれば対策をしておかなければなりません。

模擬面接や集団討論の練習は、予備校に依頼するのがおすすめです。
予備校なら、各大学の面接試験の傾向を熟知しているため、効率よく対策していけるでしょう。

医学部編入試験で合格するために


医学部編入試験を合格するためには、どのような点に気をつけるべきでしょうか。
ここでは、合格を勝ち取るためのポイントについて、詳しく説明していきます。

志望校の情報収集を欠かさない

先述してきたとおり、医学部編入試験は試験日が被らなければ複数の学校へ出願できるため、各大学の試験日はもちろん、受験科目などの情報収集をしっかりと行う必要があります。

自分ひとりでは情報収集を行う自信がない方は、予備校を活用するのがおすすめです。
予備校なら、学校に関する情報や過去問などを手軽に入手できるため、効率的に受験戦略を立てられます。

計画的に準備する

医学部編入に挑戦する場合、計画的に準備して進めていく必要があります。
なぜなら計画を立てずに挑戦すると、失敗を招くからです。
準備はこれまでの基礎学力はもちろん、日々の勉強にどのくらいの時間を確保できるかによって異なります。

試験日から逆算して、何をいつまでに準備するべきか整理し、時間に余裕をもって準備しておきましょう。

スケジュール管理を徹底する

仕事と並行しながら学士編入を目指す場合、タイムマネジメントを徹底しなければなりません。

とくに社会人は何かと多忙なため、スケジュール管理をしっかりと行っておかないと、準備期間でつまずいてしまったり、万全の状態で臨めなかったりするなど、失敗する可能性があります。

体調や仕事を考慮しながら、無理なく勉強を進められるスケジュールを組むようにしましょう。
イレギュラーな事態も想定し、1日にどれくらい進められるか、現実的かつ具体的な目標設定を行ってください。

学士編入志望者は、現役高校生とは異なり、社会人経験を積んできた大きな強みがあります。
年齢を重ねた分、管理能力も上がっているはずです。

医学部予備校に通う

予備校に通って、プロによる指導のもと自分に合ったスケジュールを組み、しっかりと管理していくと勉強を効率的に進められるはずです。

先述のとおり、医学部編入では英語や生命科学は大学レベルの知識を要求されます。
しかし、試験に必要なものが網羅されたテキストがほぼないのが現状です。

医学部編入を専門としている予備校に通えば、身につけるべき知識や問題を教えてくれるため、何から始めればよいか迷う心配もありません。

失敗しない医学部予備校選びや、大阪で体験授業が受けられる予備校について、こちらで紹介しています。

まとめ


医学部学士編入制度は、年齢制限が設けられていないケースが多いため、社会人として経験を積んだ後に医師を目指せます。しかし全国的に制度を取り入れている大学が少ないので、倍率が高く、入学を勝ち取るまでが至難の業です。

社会人は何かと多忙なため、自分ひとりだと試験対策を十分行えない可能性があります。
そのような方は、医学部を専門にしている予備校を検討するとよいでしょう。
大阪のおすすめ医学部予備校13選を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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