医学部の特待生制度とは?制度利用ができる大学や特待生になる方法・対策法なども解説
- 公開日
- 更新日
カテゴリ:基礎知識
医学部と聞くと、「学費が高い」と思われる方も多いのではないでしょうか。
特に私立大学は、国公立大学よりも学費が高い傾向にあります。
しかし、医学部では少しでも経済的負担を軽くしたいという方に、学費が免除される制度が設けてあります。
そこで今回は、医学部特待生制度について詳しく解説していきます。
記事内では医学部の特待生制度を利用したい方に向けた、制度利用ができる主要な大学をご紹介しています。
また、特待生になるための対策や地域枠との比較もしているので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 医学部特待生制度とは
- 医学部特待生制度がある主要5大学
- 医学部特待生になるためには
- 医学部特待生の難易度と合格ライン 医学部の特待生制度は、一般入試以上に高い学力が求められるケースが多く、競争率も非常に高いのが特徴です。特待生枠は募集人数が少なく、1〜数名のみという大学も珍しくありません。そのため、出願者が集中しやすく、結果として難易度が上がります。 多くの大学では、一般合格ライン+数%〜10%程度上の点数が特待生選抜の目安とされています。偏差値で見ると、同じ大学でも特待生合格には一般合格より1〜3程度高い水準が求められることが多いです。 また、特待生選抜では、学力試験の得点が重視される傾向が強く、過去問との相性や安定した高得点力が重要になります。年度によっては、上位層が拮抗し、数点差で特待生の可否が分かれることもあります。 特待生を目指す場合は、「合格出来れば十分」ではなく、常に上位合格を狙う意識で目標設定を行うことが重要です。一般合格+αの実力を前提に、戦略的な対策を進めていきましょう。 特待生制度と地域枠を比較
- 医学部特待生制度の注意点と最新情報
- まとめ
医学部特待生制度とは

はじめに、医学部特待生制度とはどのような制度なのかについて解説していきます。
奨学金との違い
医学部特待生制度と奨学金制度は、どちらも学生への金銭的な支援を目的としていますが、目的や条件に違いがあります。
まず奨学金は、主に経済的な支援を目的としており、家庭の経済状況が理由で学費の支払いが困難な学生に対し、返済の有無に関わらず金銭的支援を行うものです。
奨学金には2種類あり返済義務がある貸与型と、返済義務がない給付型があります。
一方の医学部特待生制度は、優秀な学生に対して学費の一部または全額を免除する制度であり、学業成績が優れていることが条件とされています。
選考基準として経済的な状況や家庭の収入などは関係なく、また返済の必要はありません。
このように、奨学金制度は経済的支援を目的とした金銭的援助制度であり、特待生制度は主に成績に基づく学費免除の制度という違いがあります。
国公立・私立医学部特待生制度の違い
私立大学の医学部は大学病院の経営に充てていたり、学生数が少ないこと、教育設備や実験の一つ一つが高額であり、さらに6年制であるため非常に学費が高額です。
そのため、特待生制度は主に私立大学で導入されています。
私立大学の特待生制度は、優秀な成績を収めた学生に対して、学費の全額または一部免除が与えられることが一般的であり、特待生には特別な奨学金や、学外活動への支援、入学金免除など様々な特典が用意される場合があります。
一方の国公立大学は、私立大学よりも学費が比較的安価であるため特待生制度が存在しないことが多く、大学独自の奨学金制度や助成金などの支援が存在します。
国公立大学では、経済的な理由で授業料の納付が困難な学生や学業成績が優秀な学生を対象に独自の奨学金や学費免除制度を設けています。これらの制度は給付型である場合が多く、返済の必要がないため卒業後の負担を軽減できます。
独自の奨学金制度を実施している国公立大学医学部は、東京大学・京都大学・東北大学・広島大学・九州大学などです。詳細については各大学の公式サイトをご確認ください。
医学部特待生制度がある主要5大学

ここでは、医学部特待生制度がある主要5大学についてご紹介いたします。
国際医療福祉大学
まずは、国際医療福祉大学の医学部特待生制度についてご紹介いたします。
特待奨学生制度の概要
国際医療福祉大学では、医師を目指す方を経済的に進学支援することを目的としています。
それぞれの入試区分において特に成績が優秀な方を医学部の特待奨学生として選抜します。
選抜基準と難易度・人数
国際医療福祉大学には「医学部特待奨学生 S」と「医学部特待奨学生 A」があります。
どちらも特別申請などは必要なく、対象者は医学部の受験者全員です。
ですが、試験結果の科目合計得点率で「医学部特待奨学生 S」は80%以上、「医学部特待奨学生 A」は70%以上と高い学力水準が求められるため、難易度は高いと言えるでしょう。
また、授業料の100%相当額や50%相当額が給付されることとなりますので、多くの受験生が目指す人気の制度のため、非常に競争率は高いと考えられます。
特待奨学金生の人数は、医学部特待奨学生 Sは一般選抜から20名を選抜、医学部特待奨学生 Aは一般選抜から25名、大学入学共通テスト利用選抜から5名、留学生特別選抜・帰国生・外国人学校卒業生特別選抜から若干名を選抜します。
給付内容・学費と継続条件
医学部特待奨学生として入学した場合には、医学部特待奨学生 Sは1年次に300万円、2~6年次には毎年次に280万円の最大6年間で1,700万円を奨学金として給付し、入学金150万円を全額免除(入学後に返還)します。
国際医療福祉大学医学部の6年間の学費は、1,850万円で、内訳は入学金150万円、初年度授業料190万円、2年度以降は毎年280万円ですが、納入金額は0円となります。
学生寮への入寮を希望する場合には、優先的に入寮を許可し、寮費を全額給付します。
医学部特待奨学生 Aは1年次に250万円を給付、2〜6年次には毎年次に230万円の最大6年間で1,400万円を奨学金として給付し、入学金150万円を全額免除(入学後に返還)します。
納入金額は初年度50万円(施設設備費)、2年度以降毎年50万円(実験実習費20万円、施設設備費30万円)となります。
学生寮への入寮を希望する場合には、優先的に入寮可能です。
どちらも給付期間は6年間ですが、留年、転学科、本学学則で定める懲戒処分、前年度の成績が不良、奨学金給付を継続することが適当でないと学長が判断したなど、いずれかに該当した場合には継続されません。
前年度成績不良の場合とは、学部内における成績順位が、医学部特待奨学生Sは上位50位以内、医学部特待奨学生Aは上位70位以内に入らなかった場合を言います。
杏林大学
続いて、杏林大学の医学部特待制度についてご紹介いたします。
特待生制度の概要
杏林大学の場合は、独自奨学金(給付型)制度として公表があり、特待生扱いで修学支援が行われており、経済的理由で修学継続が困難であること、学業成績・人物が優秀、医学部生(通常は2年次以上)といった条件に該当する学生を対象にした給付型奨学金制度です。学費免除の特待制度の詳細は好評が限られているため、詳細を大学に確認することが必要です。
選抜基準と人数
学業成績:直近の学業成績・GPAが基準に達していること(基準値は年度によって異なる)
人物評価:面接・面談などで人物面の評価も加味されることがある
経済的理由:保護者の収入状況や修学継続困難性が審査されることが多いです。
応募・申込:掲示や学生向け連絡システムで募集し、応募。書類審査を行います。
給付内容と継続条件
杏林大学奨学金(給付型):年間36万円(返還不要)
成績優秀表彰金:年度トップ者5万円(単発)
その他表彰金:特別活動等 3万円程度(単発)
このように給付は、返還不要の給付型です。上記の金額はあくまで申込・選考による奨学金であり、入学時の「学費免除」制度とは異なります。
継続条件としては、前年度の成績が一定水準以上であることが必要であり、出席率も規定に基づき確認される場合があります。
また、毎年の在籍状況・家計状況の報告の提出が必要になります。不適格事項としては、減免。給付の継続中に成績不良・長期欠席・聴解処分などがある場合、資格失効・停止になることもあります。
北里大学
次に、北里大学の医学部特待生制度についてご紹介いたします。
特待生制度の概要
北里大学特待制度の対象者は、医学部の一般試験の合格者であり、加えて優秀な成績であること、優秀な成績を学業において収めた者、将来を期待される人物です。
特待生に選抜されれば、学費が免除となります。
選抜基準と人数
一般選抜試験合格者の中から「第1種」と「第2種」に分けて特待生を選考します。成績が特に優秀な学生が選考されるため、「第1種」「第2種」ともに非常に高い学力が求められます。また、選考面接も行われます。具体的な合格ラインやボーダーライン、倍率などについては公表されていませんが、入学試験で高得点をとることが必須条件となり、定員が限られていることもあり、選抜難易度は高いと推測されます。
選考人数はどちらも若干名となっています。
給付内容と継続条件
「第1種」では、入学金や、授業料、施設設備費、教育充実費などが納入免除となり、免除金額は38,900,000円(学費全額)です。
「第2種」は入学金、授業料の一部の納入免除となり、免除金額は6年間で19,450,000円です。6年間の学費38,900,000円に対して50%免除となります。
どちらも給付期間は6年間ですが、出席状況や就学態度が不良である、学年の成績が上位1/3を下回る、学則による懲戒処分または学部長訓告を受けた、その他の理由で特待生の資格がないと教授会が認めたなどのいずれかに該当した場合には待遇を変更し、取り消すことがあります。一度取り消された特待生資格は原則として再取得することはできません。
慶應義塾大学
次に、慶應義塾大学の医学部特待生制度についてご紹介いたします。
特待生制度の概要
慶應義塾大学の特待生制度は、医学界のリーダーを育成すべく、全国から集まった医学の将来を担う成績優秀な学生を支援することを目的にした、慶應義塾大学医学部の独自の奨学金となっています。
選抜基準と難易度・人数
医学部の一般選抜成績上位者10名程度を特待生とします。医学部受験の中でもトップクラスの成績が求められるため、難易度は非常に高いです。入学試験の成績で採否が決まるため、入学前から高い学力とポテンシャルが求められます。慶應義塾大学医学部は大学全体の中でも最難関学部の一つであり、その中でも上位に入る必要があります。
給付内容・学費と継続条件
第1~4学年の各学年度で継続的に一人あたり年間200万円(総額800万円)を給付します。
MD-PhDコース選択者には、5,6年次に各学年で最大100万円が加わり、6年間で最大総額1,000万円の給付となります。
医学部の初年度納入金額は3,943,350円、2年次以降は授業料は約341万円ですが、施設費や実験実習費などが別途必要となるため、約400万円ほどとなります。慶應義塾大学医学部人材育成特別事業奨学金では50%が給付されることとなります。6年間の総額は約2,200万円と言われていますので、MD-PhDコース選択者であれば6年間の学費を大幅に軽減できる非常に価値の高い制度です。
また、給付型のため返済義務は無く、申請の際の家計の年収制限はありません。ただし、入学後の学業成績が振るわない場合、学部学則に基づき退学、停学、または原級となった場合、他学部へ編入した場合、その他奨学生としてふさわしくないと判断された場合などの一例に該当する場合は、奨学生としての資格を喪失し、返還を求める場合があります。
順天堂大学
次に、順天堂大学の医学部特待生制度についてご紹介いたします。
特待生制度の概要
順天堂大学の特待生制度は、医学部入試において、学力および人物面で卓越した評価を受けた合格者に対して減免する制度となっています。
選抜基準と難易度・人数
一般選抜A方式⼆次試験合格者の成績上位10名を特待生とします。
給付内容と継続条件
1年次は入学金200万円のみが必要となり、授業料・施設設備費・教育充実費(合計90万円)が免除となります。
2~6年次の学費は各学年100万円で、6年間の学費総額は700万円となり、減免額は合わせて1,380万円になります。
減免額は学業成績に応じて変更になる場合があります。
日本医科大学
最後に、日本医科大学の医学部特待生制度についてご紹介いたします。
特待生制度の概要
日本医科大学の特待生制度は、成績上位者のうち入学した者に対して減免する制度となっています。
選抜基準と人数
一般選抜の成績上位者(前期35名、後期3名)、グローバル特別選抜の成績上位者10名を特待生とします。
給付内容と継続条件
一般選抜の成績上位者は、1年次の授業料450万円のうち250万円が免除となり、6年間の学費合計は19,500,000円になります。
グローバル特別選抜の成績上位者は、1年次と2年次の授業料の合計800万円のうち500万円が免除となり、6年間の学費合計は17,000,000円になります。
再度その学年に在籍することになった場合は、特待生として授業料が免除されない場合があります。
医学部特待生になるためには
実際に、医学部特待生になるためにはどうしたらよいのかについて詳しく解説していきます。
学力向上を優先させる
特待生として認められるには、学力の向上が非常に重要です。
特に医学部では、入試の競争が激しく、高い学力が求められます。
学力向上のためには、まず基礎を完璧にする必要があります。
特に理系科目は、基礎がしっかりしていないと応用が利きません。
そのため、難しい問題に取り組む前に基礎学力を身につけ、基本的な知識を定着させましょう。
そして、過去問や模試を活用して、実践力を高め、応用力を養いましょう。
面接対策も行う
医学部特待生に選ばれるためには、面接対策も重要です。
特待生の認定は、学力試験の成績に加えて、人物評価が含まれる場合もあるため、面接はその大きな部分を占めます。
面接では、受験生が医学部の学生としてふさわしい人物であるかを判断する場となります。
そのため、面接対策を行うことは、合格への確実なステップとなります。
志望動機や医師としてのビジョン、社会的問題への関心などをしっかり伝えられるよう準備しておき、落ち着いて本番に臨めるようにしましょう。
志望理由書を明確にする
志望理由書を明確にすることも医学部特待生になるためには重要な要素となります。
志望理由書は、なぜ医学を学びたいのか、どのような医師を目指しているのかを明確に表現する書類となります。
志望理由書の中心となる部分は、なぜ医学部を志望するのかという点です。
この部分は特に重要であり、面接でもよく質問されています。
単に「医師になりたいから」や「安定した職業だから」という理由だけでなく、深い理由やエピソードを含めることが求められます。
また、将来のビジョンを明確にすることも大切であり、どの分野に興味を持っているのか、どのような医師として社会に貢献したいのかを具体的に述べると、より強い印象を与えることができます。
そして、志望理由書の中で、自分が医学部で活躍できる理由や、自分の強みがどのように医学の学びに役立つかを述べることも重要となります。
志望理由書は、自分の人間性や意欲、将来に対する考え方を伝える重要な書類です。
真摯に自分の気持ちを表現することが、特待生になるための第一歩といえるでしょう。
医学部特待生の難易度と合格ライン

医学部の特待生制度は、一般入試以上に高い学力が求められるケースが多く、競争率も非常に高いのが特徴です。特待生枠は募集人数が少なく、1〜数名のみという大学も珍しくありません。そのため、出願者が集中しやすく、結果として難易度が上がります。
多くの大学では、一般合格ライン+数%〜10%程度上の点数が特待生選抜の目安とされています。偏差値で見ると、同じ大学でも特待生合格には一般合格より1〜3程度高い水準が求められることが多いです。
また、特待生選抜では、学力試験の得点が重視される傾向が強く、過去問との相性や安定した高得点力が重要になります。年度によっては、上位層が拮抗し、数点差で特待生の可否が分かれることもあります。
特待生を目指す場合は、「合格出来れば十分」ではなく、常に上位合格を狙う意識で目標設定を行うことが重要です。一般合格+αの実力を前提に、戦略的な対策を進めていきましょう。
特待生制度と地域枠を比較
次に特待生制度と地域枠を比較してみます。
地域枠の特徴
まず、地域枠の特徴について説明します。
地域枠は地方の医療過疎地域への医師の配置を促進するために設けられた制度です。
卒業後一定期間、指定された地域や医療期間で勤務することが義務付けられるのが特徴です。
競争率が低いため、地方で医師として貢献したい方は地域枠を目指す方が多いです。
試験内容としては、共通テストの成績に加え個別学力検査、面接、小論文などが課されるのが一般的です。
メリットとデメリットを比較
特待生制度と地域枠のメリットとデメリットを表で比較してみました。
メリット
デメリット
特待生制度
・経済的な負担が軽減される
・卒業後は特定の地域に縛られ ることはない
・競争率が高い
・特待生枠がずっと続くわけではない
・国公立大学や難関私立大学への進学 を求められることが多い
・大学からの大きな期待が負担になる こともある
地域枠
・経済的な負担が軽減される
・一般入試に比べて倍率が低い
・地域医療への貢献ができる
・卒業後の進路が制限される
・希望する地域で医師として働けない 場合もある
・地域枠を離脱する場合は奨学金の一 部返済が求められる
特待生の一番のメリットは経済状況に関わらず学力で支援を受けられるという事です。
一方地域枠は倍率が低いことが一番のメリットとなります。
特待生の一番のデメリットは非常に競争率が高いことが挙げられます。
地域枠は進路などが制限されることです。
約15年は将来を拘束されます。
医学部特待生制度の注意点と最新情報

医学部の特待生制度を利用する際は、合格後の継続条件が厳しい点に注意が必要です。多くの大学では、学年ごとに一定以上の成績を維持できなければ、特待生資格が失効する仕組みになっています。入学後も安定して上位成績を保てるかを、事前に考えておくことが重要です。
また、特待生制度は年度ごとに内容が変更される可能性があります。免除額や対象人数、選抜方法が前年と異なるケースもあるため、昨年の情報だけで判断するのは危険です。必ず最新の募集要項を確認しましょう。
複数の私立医学部を比較する際は、免除される学費の金額だけでなく、継続条件・適用年数・特待生の人数といった点も含めて検討することが大切です。条件次第では、実質的な負担額が大きく変わります。
さらに、特待生を狙う場合は出願時期と準備期間も重要です。早い段階から制度を把握し、一般合格以上の得点力を目標に計画的な対策を進めることで、特待生合格の可能性を高めることができます。
まとめ
今回は医学部の特待制度についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
医学部は6年制で専門的なことを学ぶことから学費が高額です。
ただ、特待生になることでその負担をやわらげることができますが、特待生になるためには人並外れた入試成績が必要となります。
そのため、早くから特待生になることを目標とし着実に勉強する必要があります。
自分の目指す大学の特待制度について調べ計画的に学習しましょう。
この記事の執筆者:医進の会代表 谷本秀樹

中学入試の希学園の集団授業で600名以上の多くの生徒を受験指導。
大学入試は四谷学院などの大手予備校や多くの医学部受験予備校で、主に生物の集団授業と個別授業で300人以上の受験生を担当。
自身の予備校『医進の会』発足後は、これまで500人以上の生徒の受験と進路指導に携わってきた。
『個別の会』の代表でもあり、圧倒的な医学部入試情報量と経験値、最適なアドバイスで数多くの受験生を医学部合格に導いてきた、医学部予備校界屈指のカリスマ塾長。

医学部の特待生制度は、一般入試以上に高い学力が求められるケースが多く、競争率も非常に高いのが特徴です。特待生枠は募集人数が少なく、1〜数名のみという大学も珍しくありません。そのため、出願者が集中しやすく、結果として難易度が上がります。
多くの大学では、一般合格ライン+数%〜10%程度上の点数が特待生選抜の目安とされています。偏差値で見ると、同じ大学でも特待生合格には一般合格より1〜3程度高い水準が求められることが多いです。
また、特待生選抜では、学力試験の得点が重視される傾向が強く、過去問との相性や安定した高得点力が重要になります。年度によっては、上位層が拮抗し、数点差で特待生の可否が分かれることもあります。
特待生を目指す場合は、「合格出来れば十分」ではなく、常に上位合格を狙う意識で目標設定を行うことが重要です。一般合格+αの実力を前提に、戦略的な対策を進めていきましょう。
特待生制度と地域枠を比較
次に特待生制度と地域枠を比較してみます。
地域枠の特徴
まず、地域枠の特徴について説明します。
地域枠は地方の医療過疎地域への医師の配置を促進するために設けられた制度です。
卒業後一定期間、指定された地域や医療期間で勤務することが義務付けられるのが特徴です。
競争率が低いため、地方で医師として貢献したい方は地域枠を目指す方が多いです。
試験内容としては、共通テストの成績に加え個別学力検査、面接、小論文などが課されるのが一般的です。
メリットとデメリットを比較
特待生制度と地域枠のメリットとデメリットを表で比較してみました。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 特待生制度 |
・経済的な負担が軽減される ・卒業後は特定の地域に縛られ ることはない |
・競争率が高い ・特待生枠がずっと続くわけではない ・国公立大学や難関私立大学への進学 を求められることが多い ・大学からの大きな期待が負担になる こともある |
| 地域枠 |
・経済的な負担が軽減される ・一般入試に比べて倍率が低い ・地域医療への貢献ができる |
・卒業後の進路が制限される ・希望する地域で医師として働けない 場合もある ・地域枠を離脱する場合は奨学金の一 部返済が求められる |
特待生の一番のメリットは経済状況に関わらず学力で支援を受けられるという事です。
一方地域枠は倍率が低いことが一番のメリットとなります。
特待生の一番のデメリットは非常に競争率が高いことが挙げられます。
地域枠は進路などが制限されることです。
約15年は将来を拘束されます。
医学部特待生制度の注意点と最新情報

医学部の特待生制度を利用する際は、合格後の継続条件が厳しい点に注意が必要です。多くの大学では、学年ごとに一定以上の成績を維持できなければ、特待生資格が失効する仕組みになっています。入学後も安定して上位成績を保てるかを、事前に考えておくことが重要です。
また、特待生制度は年度ごとに内容が変更される可能性があります。免除額や対象人数、選抜方法が前年と異なるケースもあるため、昨年の情報だけで判断するのは危険です。必ず最新の募集要項を確認しましょう。
複数の私立医学部を比較する際は、免除される学費の金額だけでなく、継続条件・適用年数・特待生の人数といった点も含めて検討することが大切です。条件次第では、実質的な負担額が大きく変わります。
さらに、特待生を狙う場合は出願時期と準備期間も重要です。早い段階から制度を把握し、一般合格以上の得点力を目標に計画的な対策を進めることで、特待生合格の可能性を高めることができます。
まとめ
今回は医学部の特待制度についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
医学部は6年制で専門的なことを学ぶことから学費が高額です。
ただ、特待生になることでその負担をやわらげることができますが、特待生になるためには人並外れた入試成績が必要となります。
そのため、早くから特待生になることを目標とし着実に勉強する必要があります。
自分の目指す大学の特待制度について調べ計画的に学習しましょう。
この記事の執筆者:医進の会代表 谷本秀樹

大学入試は四谷学院などの大手予備校や多くの医学部受験予備校で、主に生物の集団授業と個別授業で300人以上の受験生を担当。
自身の予備校『医進の会』発足後は、これまで500人以上の生徒の受験と進路指導に携わってきた。
『個別の会』の代表でもあり、圧倒的な医学部入試情報量と経験値、最適なアドバイスで数多くの受験生を医学部合格に導いてきた、医学部予備校界屈指のカリスマ塾長。

