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総合型選抜がある医学部は?実施している大学や合格するための方法を解説

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カテゴリ:入試

医学部に入学するためには、一般受験だけでなく、総合型選抜という入試方法もあります。
総合型選抜とは、大学が求める人物を面接や小論文などで多面的に評価する入試です。
総合型選抜には、一般受験とは異なる特徴や対策があります。
この記事では、医学部の総合型選抜について、その制度や実施している大学、合格しやすい人の特徴、よくある質問の解答などを詳しく解説します。
医学部受験を目指す人は、ぜひ参考にしてください。

医学部の総合型選抜について


まずは医学部の総合型選抜について、概要や特徴を簡単にご紹介します。

医学部が求めている人間を合格させる制度

医学部の総合型選抜とは、大学が求める人物を面接や小論文などで多面的に評価する入試です。
医学部は、高度な専門知識や技術だけでなく、コミュニケーション能力や倫理観、社会貢献意識なども備えた人材を育成したいと考えています。
そのため、受験生の成績や試験だけでなく、その人柄や志望動機、将来のビジョンなども重視しています。
また、総合型選抜では、書類審査と面接、小論文が主な選考方法です。
書類審査では、高校の成績や調査書、自己推薦書などを提出します。
面接では、受験生の人柄やコミュニケーション能力、医師としての適性などをみられます。
小論文では、受験生の思考力や表現力、医学に関する知識や関心などで判断されるわけです。
このように、医学部の総合型選抜は、大学が求める人物像に合致する受験生を多角的に見極める入試です。

総合型選抜という名称は元々AO入試という名称だった

総合型選抜という名称は、令和3年度入学者の入試から変更されたもので、以前はAO入試と呼ばれていました。
この変化は文部科学省が推進する高大接続改革の一環として、AO入試の見直しによるものです。
その結果、AO入試は総合型選抜に名称が変更されるとともに、出願資格や選考方法も一部変更されました。
名称変更に伴い、出願資格では高校の評定平均値がA(4.3以上)段階であることが条件になっているケースが多いです。
また、選考方法では共通テスト(旧センター試験)が必須化されたり、小論文やプレゼンテーションなどが課されたりしています。
このように、総合型選抜という名称は、高大接続改革に伴ってAO入試から変更されたものであり、出願資格や選考方法も一部変わっています。

総合型選抜において併願は基本不可

総合型選抜においては、他大学との併願は基本的にできないことになっています。
総合型選抜は、受験生が「この大学でなければならない」という強い志望動機を持っていることを前提とした制度だからです。
そのため、総合型選抜は専願・単願のみとなっており、合格した場合は入学することが前提となります。
ただし、一部の大学では総合型選抜においても併願が可能なケースが考えられるため、併願を視野に入れる場合は事前に受験情報を確認しておきましょう。

総合型選抜を実施している主な医学部


ここからは、総合型選抜を実施する主な医学部をご紹介します。
倍率や募集人数は令和5年度における情報であり、受験年度の情報も必ず確認してください。

国公立大学の医学部

まずは国公立大学医学部における総合型選抜を実施する大学をご紹介します。

大学名 募集人数 評定 倍率
北海道大学 5人 4.3以上 2.0倍
旭川医科大学 5人(国際医療人特別選抜) 4.3以上 3.0倍
32人(北海道特別選抜) 4.0以上 4.0倍
東北大学 15人(Ⅱ期) 4.3以上 9.1倍
12人(Ⅲ期) なし 8.0倍
高知大学 30人 4.3以上 5.9倍
神戸大学 10人 なし 8.0倍
弘前大学 27人(青森県内枠) 4.3以上 3.0倍
15人(北海道・東北枠) 4.3以上 1.4倍
富山大学 10人 なし 2.4倍
愛媛大学 10人 なし 3.6倍
大分大学 22人(一般枠) 4.3以上 2.4倍
13人(地域枠) 4.3以上 2.3倍
大阪公立大学 5人 4.3以上 6.4倍
福島県立医科大学 5人 4.3以上 3.4倍

総合型選抜を実施している国公立大学は多様な特色と方針がみられます。
例えば、募集人数は大学や特別選抜によって大きく異なり、一つの大学でも複数の選抜が存在する場合があります。
評定が明示されている大学が多く、特に高い評定が求められていることから、総合型選抜は一般的に高い学力を要求していると言えます。
また、一部の大学では倍率が非常に高く、これは多くの受験生にとって非常に魅力的な大学が存在することを示しています。
地域に応じた枠を設けている大学もあり、これは地域医療に貢献する意義があると考えられます。
さらに、国立大学だけでなく公立大学も総合型選抜を実施しており、多様な選抜方法が広がっていることが確認できます。
全体として、受験生はこれらの多様な情報を踏まえて、自分に合った大学選びをする必要があるでしょう。

私立大学の医学部

次に私立大学医学部における総合型選抜を実施する大学をご紹介します。

大学名 募集人数 評定 倍率(年度)
東海大学 10人 3.8以上 2.4倍(令和5年度)
東邦大学 約10人 3.8以上(数学・理科は4.0以上) 4.9倍(令和4年度)
金沢医科大学 14人 なし 12.3倍(令和5年度)
大阪医科薬科大学 5人 なし 10.6倍(令和5年度)
岩手医科大学 8人程度 3.8以上 5.8倍(令和4年度)
川崎医科大学 約20人(中国・四国地域出身者枠)
約1人(霧島市地域枠)
約4人(特定診療科専攻枠)
なし 3.4倍(令和4年度)

私立大学における総合型選抜の医学部は、非常に競争が激しい環境であることが明らかです。
特に金沢医科大学や大阪医科薬科大学のように倍率が10倍以上と非常に高い大学が存在することから、多くの学生がこの選抜方法での入学を強く希望しています。
それだけに、選抜は非常に厳格で、多様な要素が評価される傾向があります。
評定基準が設定されている大学も多く、その基準は一般的に高いレベルが求められています。
これは、学業成績も非常に重要な要素とされていることを示しています。
一方で、評定基準が設定されていない大学もあり、これは各大学が独自の選抜基準や方針を持っている可能性が高いです。
また、募集人数が一般的に少ないことから、総合型選抜は非常に限られた枠でしか入学ができない選抜方法です。
これにより、各個人のスキルや特性がより重視される可能性があります。
特に、川崎医科大学のように地域枠を設けている大学があることから、地域に根ざした医療人材の育成も重要な目的とされています。
最後に、倍率や評定は年度によって変動する可能性があり、これはその年の受験生の数や質、さらには社会的な要因にも影響を受ける可能性があります。
私立大学の総合型選抜は多様で競争が激しい選抜方法であり、学業成績だけでなく、地域性や個々の特性も考慮される傾向と言えます。

医学部の総合型選抜に合格しやすい人の特徴


医学部の総合型選抜は、一般入試と異なる仕組みであり、合格しやすさも変化します。
ここでは、医学部の総合型選抜に合格しやすい人の特徴を解説します。

高校の評定が高い

まずは高校の評定が高い受験生は、医学部の総合型選抜に合格しやすいです。
高校の評定は、学業成績だけでなく、総合的な学力や人間性を反映する指標とされています。
多くの大学が高校の評定を重視しているため、高い評定は有利です。
特に、医学部の総合型選抜では、高い評定が求められることが多く、これは受験生の総合的な能力を評価するためです。
先述のとおり、多くの大学で高い評定を設定しているのも事実です。
これらの大学では、高い評定が持つ意味や重要性が明示されており、受験生にとっては非常に重要な選考基準となっています。

共通テストの平均点数が高い

次に共通テストの平均点数が高い受験生は、医学部の総合型選抜に有利です。
共通テストは、全国一律の基準で評価されるため、高い点数はその人の学力が全国レベルで高いことを示します。
また、共通テストの点数が高いと、多くの大学で優遇される傾向があります。
例えば、東北大学や高知大学など、共通テストの高得点者が多く合格しています。
これらの大学では、共通テストの点数が一定以上であれば、次の選考ステップに進むことができる場合が多いです。

面接や小論文に抵抗が無い

面接や小論文に抵抗がない受験生は、医学部の総合型選抜に合格しやすいです。
面接や小論文は、受験生のコミュニケーション能力や思考力を評価する重要な要素です。
これらに抵抗がないと、より高い評価を受けやすくなります。
特に、医学部ではコミュニケーション能力が非常に重要とされているため、面接や小論文での高評価は大きなアドバンテージです。
例えば、神戸大学や愛媛大学など、面接や小論文での高評価が合格につながる大学が多いです。
それらの大学では、面接や小論文でのパフォーマンスが全体の評価に大きく影響するため、これらに抵抗がない受験生は有利です。

総合型選抜についてのよくある質問の解答


総合型選抜は一般入試と異なる点が多いため、疑問点が多くでてくるものです。
そこで、総合型絵選抜について、よくある質問をまとめましたので、ご確認ください。

総合型選抜と一般受験ではどちらの方が難しい?

総合型選抜と一般受験の難易度は目的と点数、能力などによって異なります。
一般受験は主に学力テストが中心であり、高得点を取ることが求められますが、総合型選抜は面接、小論文、推薦状など多角的な評価をされます。
総合型選抜では、コミュニケーション能力やリーダーシップが評価される場合があるものの、一般受験では、過去問題に対する高い正解率で志望大学を決めることもあるでしょう。
どちらが難しいかは、一概に言えず、個人個人の強みや弱みなどで選ぶ必要があります。

総合型選抜で評定なしの医学部はある?

評定なしの医学部は少ないですが存在します。
多くの医学部では成績が一定レベル以上でないと総合型選抜に応募できません。
しかし、一部の大学では多角的な評価を重視し、評定がない場合もあります。
例えば、一部の新設医学部や地方の医学部では、地域貢献や特定のスキルに重点を置いています。
そのような大学は少数ですが、評定が不要な医学部も存在するので選択肢のひとつにしてもいいでしょう。

部活動に入部していた方が良い?

部活動に入部していると、多角的な評価で有利になる場合があります。
部活動はコミュニケーション能力や協調性を示す良い指標とされています。
しかし、学業成績が低下する可能性も考慮する必要があります。
部活動でのリーダーシップ経験は、面接でプラスに働く場合が多いですが、学業とのバランスを考慮する必要があります。

地域枠ってどういうこと?

地域枠は、特定の地域からの入学を優遇する制度です。
地域医療に貢献する目的で設けられることが多く、地域枠を利用すると一般枠よりも倍率が低いこともあります。
具体的には北海道医科大学など、地域に密着した医療を提供する大学では地域枠が設けられています。
地域枠は地域医療に貢献したい場合に有利な選択肢と言えるでしょう。

浪人生が受験できる総合型選抜はある?

浪人生が受験できる総合型選抜は存在します。
一部の大学では、浪人生でも総合型選抜に応募できます。
ただし、新卒の学生に比べて競争率が高い場合もあります。
例えば、早稲田大学医学部など、浪人生が総合型選抜で受験できる大学もあります。

社会人が受けられる総合型選抜は?

社会人が受験できる総合型選抜は限られていますが、存在します。
場合によっては社会人経験を評価する大学もあります。
しかし、ほとんどの大学では現役生などを重視しています。
希望する場合は、選択肢は限られますが、社会人が受験できる医学部を確認しても良いでしょう。

医学部の総合型選抜に合格する人


最後に医学部の総合型選抜に合格する人がどのような行動を取っているかご紹介します。
参考にしながら実践してみましょう。

早い時期に志望する大学を決めておく

早い段階で志望する大学を決定することは、成功への第一歩です。
この決定が早ければ早いほど、その大学の選考基準や試験内容に特化した勉強や準備ができます。
例えば、A大学の医学部が生物の成績を特に重視すると知っている場合、その情報を早い段階で得ることで、生物に特化した勉強が可能になります。
さらに、早い段階で志望大学を決めることで、その大学の過去問題にも早くから取り組むことができ、試験の傾向を把握する時間も増えます。

定期試験の点数にこだわる

定期試験の成績は、総合型選抜においても非常に重要です。
これは、学力の一貫性と信頼性を示す重要な指標となるからです。
多くの大学が定期試験の成績を選考に使用しており、例えばB大学では、定期試験の成績が一定レベル以上でないと、面接試験に進めない制度があるほどです。
また、高い定期試験の成績は、その他の選考要素で不足があった場合の補完ともなり得ます。

英検2級取得を最低ラインとする

医学部の総合型選抜において、英検2級の取得は最低限取得しておきたいところです。
その理由は、多くの大学が英検の成績を選考の際の材料としているからです。
さらに、英検2級は高校卒業レベルの英語力を示すものであり、医学部という高度な専門分野に進むには不十分と言えます。
このレベルの英語力では、国際的な医学論文を読む際や海外での研究・交流が行いにくい状況が想定されます。
そのため、英検2級を取得することは確かに重要ですが、それだけでは不十分です。
より高いレベルの英語力が求められる医学部においては、英検準1級やその他の国際的な英語試験(TOEIC、TOEFLなど)で高得点を取ることを目指すべきです。
これにより、医学部で求められる多様なスキルと知識に対応できるようになり、より広い選択肢が開かれるでしょう。

塾で総合型選抜の対策を受講する

専門の塾で総合型選抜の対策をすることは、合格に向けて有用です。
塾では総合型選抜に特化した指導が受けられ、その専門性と効率性は自宅学習では得られないものです。
また、塾では同じ目標を持つ仲間と出会い、互いに切磋琢磨する環境が整っています。

まとめ


医学部の総合型選抜は、一般受験とは異なる入試方法です。
大学が求める人物像に合致することが重要であり、高校の成績や共通テストだけでなく、面接や小論文なども対策する必要があります。
また、総合型選抜では併願が基本的にできないため、早い時期に志望する大学を決めておくことも大切です。
この記事では、医学部の総合型選抜に関する様々な情報をお伝えしました。
医学部受験を目指す人は、この記事を参考にして、自分に最適な入試方法を選びましょう。

この記事の執筆者:医進の会代表 谷本秀樹

医進の会代表 谷本秀樹
中学入試の希学園の集団授業で600名以上の多くの生徒を受験指導。
大学入試は四谷学院などの大手予備校や多くの医学部受験予備校で、主に生物の集団授業と個別授業で300人以上の受験生を担当。
自身の予備校『医進の会』発足後は、これまで500人以上の生徒の受験と進路指導に携わってきた。
圧倒的な医学部入試情報量と経験値、最適なアドバイスで数多くの受験生を医学部合格に導いてきた、医学部予備校界屈指のカリスマ塾長。

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