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医学部では何を学ぶのか?勉強する内容や実習内容・スケジュールについても解説

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カテゴリ:基礎知識

みなさんは「医学部」と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?
医師になるための準備期間”、”医学を学ぶ”、といった漠然としたイメージはあるけれど、”どんなことを学ぶのか”、”具体的な部分まではよくわからない…”という方がほとんどではないでしょうか。
そこで今回の記事では、医学部では何を学ぶのか、について解説します。
医学部に興味をもたれている方におすすめの内容となっていますので、ぜひ最後までご一読ください。

この記事を読むとわかること
  1. 医学部とは?種類や学年ごとに学ぶ内容は?
  2. 医学部の実習内容や学習内容
  3. 自分にあった大学の選び方

医学部の種類と特徴

まずは、医学部の基本情報として、医学部の種類と特徴について解説します。

医学部の特徴

医学部は、その名の通り医学について研究・学習をする学部です。
ただし、一口に「医学部」といっても、医学科・看護科・保健科・栄養科・生命科学科など、さまざまな科にわかれていることがあります。
医学部は6年制・そのほかの学部は4年制が主となっています。
以下では、医学部の中でも特に「医学部医学科」について解説していきます。

単科大学と総合大学がある

医学部を設けている大学には、単科大学と総合大学の2種類があります。
違いがわかるように、それぞれの特徴を解説します。

単科大学とは

単科大学とは、1つの分野に特化した大学を指します。
これは医学に限らず、工学や音楽など、そのほかの専門分野においても同様で、それぞれ単科大学が存在します。
医学系の単科大学は「●●医科大学」などの名称が多く、医学に特化した大学であることがわかるようになっている傾向にあります。
医学に特化している、という特徴からもわかるように、高い専門性と高度な技術を学べる点が特徴です。
例えば、東京医科歯科大学・浜松医科大学・京都府立医科大学などが、医学系の単科大学にあたります。

総合大学とは

一方で、総合大学とは、さまざまな学部・学科を扱う大学を指します。
そのため、総合大学の医学部は、大学における学部の1つ、という位置づけです。
さまざまな学部・学科が設置されている総合大学で学ぶことで、広い視野と、多岐にわたる分野の学生との人間関係構築が望めます。
例えば、東京大学理科三類・慶應大学医学部・大阪大学医学部などが医学部のある総合大学にあたります。

医師国家試験対策を行う

医師国家試験の受験資格を得られるのは、6年制の医学部医学科を卒業後となります。
日本国内で医療行為を行うために、医師試験試験への合格は必須です。
医学科では、医師国家試験の出題範囲を踏まえて学習カリキュラムが設定されているため、医学科での学習がそのまま医師国家試験の対策につながっています。

医学部生の各学年でやることについて

では、実際に医学部に入学したあとはどのようなことを行うのでしょうか。
医科では、一般的な医学部制が各学年でどのようなことを学ぶのかについて解説します。

入学~1年次

総合大学における他学部と同様、教養科目(第2外国語・英語・情報学・統計学など)の受講が中心となります。
また、医学系の必修科目や、リハビリ施設や医療現場の実習などを設けている大学もあります。

2~4年次

2~4年次には何を学ぶのでしょうか。順に解説します。

2年生

2年生からは、徐々に医学系の専門科目の履修が始まり、医師として必要な学習が本格的に始まります
また、解剖実習や組織学実習など、実習科目が開始されるのも2年制からです。

3年生

3年生でも、2年生に引き続き医学の基礎となる専門科目を学習していきます。
専門科目としては、解剖学・組織学・病理学といった基礎医学に加え、薬理学・生化学・ウイルス学・免疫学などを学びます。

4年生

4年生からは、本格的な臨床医学の履修が始まります。
臨床医学とは、疾患の診断方法やそれに対する治療法といった、現場での対応の具体的な手法に関する領域を指します。
臨床医学は20科目ほどあること、加えて5年次からの臨床実習に参加するために合格が必須条件であるCBT・OSCEの試験科目に含まれていることから、医学部生として非常に忙しい一年となります。

5・6年次

5~6年次には何を学ぶのでしょうか。順に解説します。

5年生

5年生からは臨床実習が始まります。
臨床実習とは、それまでの基礎医学・臨床医学の知識を活用し、実際の医療現場で患者と触れ合いながら、対応を実践的に学びます
臨床実習では、全ての診療科に数週間ずつ配属され、各科ごとの特徴・性質を学びます。

6年生

5年生から始まった臨床実習は6年生の夏頃まで続きます。
6年生の後半は就職試験や卒業試験、医師国家試験の準備に奔走します。
医学科の卒業試験に合格しなければ国家試験を受験することができないため、卒業試験と国家試験の学習を並行して進めます。

医師国家試験~卒業~研修医

国家試験合格後は、大学附属の病院などで研修医としての勤務が始まります。
卒業してすぐに医師としてバリバリと働き始めるわけではなく、2年程度は医師見習いとしての勤務を行います。
この2年間で専門とする診療科を検討することとなります。

医学部生が入学後に学ぶこと

ここまで、医学部生が入学後にどのような流れで学習するかを解説しました。
次に、実際どのような内容を学ぶのか、もう少し深掘りしていきましょう。

医師として人間性の教養

医学部では、医師としての人間性の育成を重要なカリキュラムとして設定しています。
医学部では、コミュニケーションスキルやエンパシーを身につけるため、臨床実習やロールプレイなどが実施されます。

信頼関係や人間性が重視される

また、患者さんとの信頼関係を築くため、自己理解や他者理解を深めるワークショップが行われることもあります。
さらに、倫理や法律についての講義があり、患者のプライバシー保護や医療ミスの防止など、人間性のある行動をとるために必要な裏付けとなる知識も学びます。
人間性を磨くために、ボランティア活動や地域との交流も奨励されており、積極的に参画することで医師としての使命感や社会貢献に対する高い意識が醸成されます。

医師として必要な知識

医学部では、医師として必要な知識に基づいた厳しいカリキュラムが展開されます。
生物学、解剖学、病理学、薬理学などの基礎科目から始まり、内科学、外科学、小児科学、産婦人科学など、さまざまな臨床科目へと進んでいきます。
疾患の診断・治療に関する最新の医学的知見や手法にも触れます。

実践的な技術や知識が重要

さらに、臨床実習を通じて実践的な技術を身につけます。
また、医療情報の扱い方や研究論文の読み方、統計学なども学び、専門職としての確かな知識と学問的な視野を養成します。
医師としての自覚と専門性を高めるために、学外でのセミナーやカンファレンスへの参加も奨励されます。

医学部の実習内容について

医学部では、医学の知識を身につけるためのさまざまな実習が実施されます。

  1. 教養科目
  2. BLS講習
  3. 地域医療実習
  4. 臨床実習(病院実習)

教養科目

医学部では、医療に関連しない一般的な科目、いわゆる教養科目の履修があります。
これらの科目では、医学的な知識だけでなく、広い視野と柔軟な思考力を養うことを目的としています。
例えば、人文科学や社会科学の講義では、医療現場での倫理的な問題や患者の背景に配慮する重要性を理解します。
また、外国語や情報技術科目は国際的な視点や最新情報の習得に貢献します。
教養科目を通じて学生は多様な知識を身につけ、医師としての専門性だけでなく、社会での活躍に必要な総合力を向上させます。

BLS講習

BLSとは、Basic life supportの略で、医学部学生にとって重要な実習の1つです。
心停止時の基本的な救命処置を学び、心肺蘇生やAEDの使用方法を実践的に習得します。
緊急時の対応能力を高め、医療現場での即戦力としての役割を果たすために欠かせません。
学内や学外で定期的に開催されます。
BLS講習を通じて、危機管理力と責任感を養い、医師としての自信や責任感を育みます

地域医療実習

地域医療実習は、医学部学生にとって地域社会とのつながりを深める実習です。
大学附属病院以外の地域医療機関や診療所で、実際の地域医療の現場に携わります。
地域住民とのコミュニケーションを通じて、地域の医療ニーズや課題を理解することで、地域医療の必要性や、貢献の意識を高めます。
地域医療実習をきっかけに、医学部学生は地域の健康への関わりを実感し、医師としての社会的使命を改めて認識します。

臨床実習(病院実習)

臨床実習は、専門医の指導のもと、実際の病院で患者ケアに参加します。
診断や治療のプロセスを身近に体験し、臨床能力を向上させます。
各診療科へのローテーションを経て、様々な症例に触れることで幅広い知識を蓄積します。
一方で、患者とのコミュニケーションや倫理的な問題にも直面し、成長と共に精神的な成熟も促されます。
臨床実習を通して、医学部学生は本物の医療現場での責任感と情熱を育み、将来の医師としての自覚を高めます。

医学部は卒業が難しい?

「医学部は卒業が難しい」「せっかく医学部に入っても、留年してしまうことがある」など、
医学部に入ったあとも進級や卒業が難しい印象をもたれている方も多いかと思います。
以下では、実際に医学部は進級や卒業が難しいのか、また、その理由はなぜかという部分について解説します。

医学部生は留年もあり得る

まず、結論から申し上げますと、医学部生は留年することもあり得ます
更に言うと、6年生まで履修・実習を終えても、卒業試験に合格できなければ卒業できません。
医師国家試験の受験資格は、医学部を卒業して初めて得られるため、医学部生にとって卒業は最重要事項です。
ではなぜ、難関の入試を突破した医学部生が、留年や卒業不可といった事態に陥ってしまうのでしょうか。
以下では、考えられる4つの理由をご紹介します。

  1. 受験合格で燃え尽きてしまう
  2. 実習や専門領域の学習についていけない
  3. 進級の規定が難しい
  4. 医師国家試験に合格できない

受験合格で燃え尽きてしまう

医学部合格は多くの受験生にとって夢の実現ですが、受験期間は激務でストレスも多いものです。
そのため、合格後にホッとしてしまい、学習意欲が低下することがあります。
一生懸命に努力した後のゆとりの中で、遊びやリラックスに時間を費やすことが習慣化されると、学習に対する意欲が薄れてしまうこともあります。
計画的な学習スケジュールを立て、目標を設定して努力を続けることが、留年を避ける秘訣です。

実習や専門領域の学習についていけない

医学部では入学後、実習や専門領域の学習が増加し専門知識の理解が求められます。
受験勉強とは異なり、実践的なスキルを身につける必要があり、戸惑うことも少なくありません。
特に臨床実習では、実際の患者ケアに責任を持ちながら学ぶため、プレッシャーが増すことも。
過度のストレスや不適切な学習方法、遅れたことが原因で、学業の遅れや留年のリスクが高まることがあります。
十分なサポートを受けつつ、効果的な学習を心掛けることが重要です。

進級の規定が難しい

医学部の進級規定は非常に厳しく、科目の単位取得や試験の合格基準をクリアしなければなりません。
繰り返しの受験や特定の科目での苦戦が続く場合、進級が難しくなります。
時には体調不良や個人的な事情も影響し、進級に必要な要件を満たせないことが留年の要因になります。
さらに、医学部のカリキュラムは密度が濃く、時間の余裕が少ないことも留年リスクを高めます。
入学当初から計画的な学習と努力を継続することが、留年回避の鍵となります。

医師国家試験に合格できない

医学部を卒業しても、医師国家試験に合格しなければ医師免許を取得できません。
国家試験は難関であり、膨大な知識と実技が要求されます。
試験の合格率が低いため、何度も挑戦しても合格できないケースもあります。
試験対策や精神的な準備が不十分だと、留年となる可能性が高まります
国家試験の対策を怠らず、入学当初から着実な学習を積み重ねることが留年を回避し、医師としてのキャリアを築くために必要な要素となります。

卒業するためには

繰り返しになりますが、医学部を卒業しなければ、医師国家試験の受験資格がないことは本記事の前半でお伝えしました。
そのため、医師になるための第一歩としてまずは医学部を無事に卒業しなければなりません
以下では、医学部卒業のために必要なポイントを3点ご紹介します。

  • 課題の提出は確実に行う
  • 試験の情報をとにかく集める
  • 試験勉強を怠らない

課題の提出は確実に行う

医学部では、レポートや実習記録・実習報告など、教科によってさまざまな課題が課されます。
特に実験・実習の報告は、「自分自身の知識をどのように実験や実習で発揮したのか」、「その経験が今後医師としてどのように活きるのかな」ど、自分自身の経験を言語化する必要があります。
医師として働く以上、「当たり前のルールを当たり前に守る」ことが求められます。
そういった観点からも、決められた内容の課題を提出日までに提出することは他の学部以上に厳守されるべき事項と考えられる傾向にあります。
一つの課題の提出遅れが留年につながる厳しい大学も少なくないため、課題の提出は確実に行いましょう。

試験の情報をとにかく集める

医学部は必修科目が多く、何年次で何の科目を履修するかがおおよそ決定されています。
そのため、過年度の試験情報は非常に有益な教材となります。
単純に、その場の定期試験対策を行うための策ではありません。
試験情報を収集することで、「どういったポイントが医療の現場で重要視されるのか」が可視化されます。
重要なポイントを踏まえて学習をすることで、周辺知識をより積極的に得ることができます。
そのため、医学部において試験情報を積極的に収集することは、卒業に向けて有効な手法と言えます。

試験勉強を怠らない

本記事の前半で、医学部の学習は医師国家試験の対策につながっている、とお伝えしました。
すなわち、医学部の定期試験の学習はそのまま国家試験対策へとつながります。
つまり、医学部の定期試験で頻出の内容をきっちりと取得することで、国家試験への対応力も身につけられます。
医学部の担う使命の1つとして、学生たちが医師国家試験に合格できる力をつけさせることがあります。
そのため、医学部では定期試験にて実力が不相応であれば、容赦なく不合格の判断をする傾向にあります。
試験勉強を行うことは卒業だけでなく医師国家試験にもつながるということを肝に銘じ、勉強を怠らないことが重要です。

充実した学習のためには大学選びが大切

さまざまお伝えいたしましたが、医学部で充実した日々を過ごすためには、大学選びが重要です。
以下では、大学選びの際に押さえておきたいポイントを3つご紹介します。

  • 志望校選びを慎重に行う
  • 各大学の細かい特徴を捉える
  • 将来どのような医者になりたいかをイメージする

志望校選びを慎重に行う

まず、当然のことではありますが、志望校選びは慎重に行う必要があります。
第一志望はもちろんのこと、もしもの場合を考えて、国公立の第一志望~第三志望、私立大学の第一志望~第三志望を、日程・受験料・入学金納入日まであらかじめ確認しておきましょう。
志望度が低い大学であっても、場合によっては母校となる可能性がありますので、特色や強み、通学方法などきちんと想定しておきましょう。

各大学の細かい特徴を捉える

一口に「医学部」と言っても、大学によって特徴はさまざまです。
それぞれの大学の特徴を知ったうえで、自分の目指す医師像と合致しているかどうかをよく検討しましょう。

富山大学の例

例えば富山大学では、一般の医学部とは異なり、西洋医学だけでなく東洋医学の学習にも力を入れています。
そのため、東洋医学(薬物療法・漢方医学など)を学びたいと考える学生にとって、非常に魅力的な大学であると言えます。

京都大学の例

また、京都大学では、再生医療教育に力をいれており、iPS細胞や組織再生といった分野を研究したいという学生が多く通学しています。
このように、大学ごとの強みや、得意な研究分野をあらかじめ理解しておくことが重要です。

将来どのような医者になりたいかをイメージする

ここまで、志望校決定のためのポイントを2つお伝えしましたが、何よりも重要なのは「自分が将来どのような医者になりたいか」という心構えです。
医師は、医療行為を介して社会貢献を行う職業です。
病理医として病気の特性を研究したり、麻酔医となり大規模な手術を支えたり、外科医として大病から人々を救ったりと、その活躍の形はさまざまです。
どのような医師として社会に貢献するか」を考え、その自己実現が可能な環境、すなわち大学を選ぶことが、志望校選定においてなによりも重要です。

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まとめ

医学部における卒業は、あくまでも医師としてのスタート地点に過ぎません。
医学部入学後には、人間的にも学力的にも、飛躍的な成長が求められます。
「医学部に入ること」を目標とするのではなく、「医師として社会に貢献する」人物を目指し、万全の準備をしましょう。
記事を通して、医学部入学後の学習や生活をイメージいただけましたら嬉しいです。

この記事の執筆者:医進の会代表 谷本秀樹

医進の会代表 谷本秀樹
中学入試の希学園の集団授業で600名以上の多くの生徒を受験指導。
大学入試は四谷学院などの大手予備校や多くの医学部受験予備校で、主に生物の集団授業と個別授業で300人以上の受験生を担当。
自身の予備校『医進の会』発足後は、これまで500人以上の生徒の受験と進路指導に携わってきた。
圧倒的な医学部入試情報量と経験値、最適なアドバイスで数多くの受験生を医学部合格に導いてきた、医学部予備校界屈指のカリスマ塾長。

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